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一人ひとりのコントリビューションが、サステナブルな社会をつくる

「コントリビューション(貢献)しなさい」

アメリカに留学していた2年間、幾度となく言われた言葉です。

ビジネスパーソンとして、労働に対する対価を受け取っていた僕は、初日から衝撃を受けました。お金を払って勉強しに来たはずなのに、コントリビューションを求められるなんて、いったいどういうことだろう、と。

留学先のMBAでは、授業中にクラスの議論を深めるような意見を述べること、リーダーシップを持ってグループをまとめること、チームメンバーをモチベートする行動や発言をすること、などがコントリビューションとして評価されます。まじめに授業に出て、テストで高い点数をとったところで、評価してもらえません。

英語が苦手だった僕は、一瞬で絶望の淵に追い詰められました。そもそも、当初は授業で話されている言葉が聞き取れず、隣のクラスメイトに”Is that English?”って聞いたほど、最初はまったく英語が分からない状況だったんです(Englishでした笑)。議論になってもトンチンカンなことしか言えないし、理解してないのはバレているだろうし、何を聞かれても浅い回答しかできないし…。
チーム内の議論が白熱してくるにつれて、自分自身貢献することができず、途中から空気のように扱われ、家に向かう橋の上で悔し泣きをしたことを今でも鮮明に覚えています。

お先真っ暗な状況で始まった留学生活でしたが、2年後に迎えた卒業式ではクラス代表として、クラスのみんなを先導していました。クラス代表は、クラスメイトによる投票で決まるので、みんなが僕を選んでくれたことになります。12クラス中、インターナショナルな学生は一人だけ。心に残る、ありがたい出来事でした。

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英語が劇的にうまくなったわけではありません。でも、必死で他のメンバーに対して、またクラスのディスカッションにコントリビューションしようとする姿勢が認められたのかも知れません。積極的に日程調整や場所取りのようなオペレーションを買って出たり、英語が下手なりに短いフレーズで切り込んでチームを盛り上げたり、様々なクラスイベントや飲み会にも積極的に参加してみんなとじっくり話したり。とにかく必死で貢献できる方法を考えて、自分なりにチャレンジした2年間だったと思います。

偏見に気づくことから、コントリビューションは始まる

そんな僕を見て、クラスメイトのKyleは「Yosukeは素晴らしい。慣れない環境でも、失敗を恐れず常にチャレンジしていてすごい」と何度も言ってくれました。彼がリスペクトしてくれたことは、僕にとって大きな自信につながりました。

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(左から3番目がKyle)

Kyleには、偏見がありません。人種や性別についてはもちろんのこと、「英語ができない」とか「〇〇大学出身だ」などといった事で、人をジャッジすることがないのです。人に対していつもオープンマインドでフラットに接すること、相互理解を促しリスペクトすること、このこと自体がクラスにとって、大きなコントリビューションだったと思います。

コントリビューションは、多様性を重んじる社会においてますます重要になってきます。「〇〇人だから、こういう価値観だろう」とか「〇歳だから、こういう考え方なんだろう」というように、つい人を分類したくなってしまう時って、誰にでもあると思います。その前に、そもそも、こういった偏見を持っていることに、自分自身気づかないことすら多いと思います。まずは偏見にきづくこと、その偏見が他のメンバーの力を出せる機会を狭めているかもしれない。まずは、気づくことから、どうやって組織や企業、社会に対して貢献していけるか、一人ひとりが行動を起こすことで、様々な人々が自分らしく活躍することができるようになり、社会は少しずつよくなると思います。

サステナブルな社会づくりに向けて

昨今、企業経営において「サステナビリティ(持続可能性)」が注目されるようになりました。企業は、短期的な利益を追うのではなく、社会が抱える課題解決に長期目線で取り組みながら、社会に貢献しながら、成長していくことが求められています。

その中で、多様性はますます重要になってきます。知らず知らずの間に偏ってしまう価値観に縛られることなく、絶えず内外で異なる価値観や意見を持つ人々の意見を積極的に取り入れていくことで、社会はより強く、未来に向けて歩み続けることができます。

多様性の確保は、サステナブルな社会実現に不可欠です。ここで一人ひとりに必要なのが、コントリビューションの視点だと思います。チームに対して何ができるか、組織に対して何ができるか、社会に対して何ができるか、さまざまな視点を持ちながら行動を起こしていける経営者、企業でありたいなと思っています。

また、お金の課題は普遍的で、なくなることはありません。当社も、そんな大きな社会課題に向き合いチャレンジし続けることで、よりサステナブルな社会づくりに貢献していきたいと考えています。


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