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ずっとつながっている ~松山選手マスターズ優勝によせて~

 先日、松山英樹選手が、日本人、いやアジア人として初めて、マスターズで優勝を果たされました。
 最終日、僕は早朝からテレビにかじりついていました。手に汗握る展開を経て最後にウィニングパットが決まり、解説者の中嶋常幸さんが涙で言葉を詰まらせたとき、テレビを見ていた多くの人にも同じように熱いものがこみあげたのではないでしょうか。もちろん、僕もその一人です。

 10年前、松山選手は「アマチュア選手」としてオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ(米ジョージア州)に迎えられました。前年秋の「アジアアマチュア選手権」で優勝し、マスターズに初出場されて以来、チャレンジは続き、今年でちょうど10年目だったそうです。

 実は、当社も来月で10年目に突入します。僕も経営者として10年目を迎えます。だからという訳でもありませんが、感激屋の僕はつい筆をとってしまいました。最初に断っておきますと、松山選手のマスターズ優勝に感動して、思ったこと、感じたことをただ書いたというだけで、オチは全くありません(笑)

全ての結果は、先人たちからつながっている

―日本にマスターズチャンピオンが誕生した意味
これまで日本人はメジャーで勝てなかった。僕が勝ったことで、これから先、日本人が変わっていくのではないか。僕ももっともっと勝てるように頑張りたい。(松山選手のインタビューより)

 日本の選手がゴルフ・メジャーに挑戦しては、はじき返されてきた歴史を知っているだけに、この言葉の持つ重みが分かるように思います。

 松山選手の10年にもわたるチャレンジと今回の優勝によって、その背中を追っていく人たちのチャレンジは、今後大きく後押しされることになると思います。松山選手ができるのであれば僕たちにもできるはず、と。

 先人の存在、そしてメンタルブロックが取れることはそれくらい大きいものだと思います。それだけでなく、松山選手がこの10年間で学ばれたトレーニング方法、栄養学、メンタルコントロール、チームづくり…多くのノウハウが、次の世代に受け継がれていくことになるのでしょう。

 こうした継承はきっと受け手としての松山選手にもあったのだろうと想像します。例えば、肉体・スイング改造をしてアメリカツアーにチャレンジし、逆にスランプに陥ってしまった中島さんのように、多くの先人が挑み続けてきた知恵や経験の蓄積があったからこそ、松山選手の挑戦、そして優勝も生まれたのではないかと思います。

 野球界では、野茂英雄さんがあれだけの周囲の反対を押し切り、先陣を切ったからこそ、イチローさんが生まれ、そしてイチローさんの活躍に刺激を受けて、大谷翔平選手をはじめとする今の日本人メジャーリーガーの大健闘につながっているように思います。今ある目の前の結果は、先人たちの努力からすべてつながっています。

メジャーリーグをめざして

 かくいう僕も、先人の偉大な経営者の背中から学び、背中を追いかけ続けています。2017年に東証マザーズ上場したとき、アマチュアの野球選手からようやくプロ野球選手の端くれぐらいにはなれたかな、と思いました。

これまで、グラウンド上で、ユニクロの柳井正さんが目にも止まらない剛速球を投げ、ソフトバンクの孫正義さんが凄まじいホームランを打ちまくっているのを、観客席から眺めていただけだったのに、ようやく僕もベンチ入りして、ベンチの端っこから見ること位はできるようになったんじゃないか。
 そして、いつか、自分もこのグラウンドに立って、素晴らしい先輩方と同じ世界を見て、勝負してみたい。

 今や気付いたら、柳井さんも孫さんもメジャーリーグで優勝争いをされていて、背中は近づくばかりか、どんどん遠くなっていくのですが。
 でも、間違いなく、こうした先人の偉大な経営者から情熱、スキル、ノウハウをいただいてると思っています。経営者として迷ったときに、僕はよく柳井さんの『経営者になるためのノート』を読みます。柳井さんに「まだまだだぞ」と叱られている気持ちになれます(笑)。

日本のスタートアップエコシステムをもっと前へ

 こうした偉大な先人の存在とともに、スタートアップ業界にもエコシステムがあります。

 スタートアップ業界のエコシステムとは、ビジネスを起こす起業家、お金を投資するベンチャーキャピタル等の投資家、起業家を支える弁護士などの専門家、ルールを作るパブリックセクター、など多くのプレイヤーに支えられています。
 投資家がスタートアップに資金提供し、スタートアップはその資金で企業価値の最大化を図ります。そうしてIPOやM&Aを実現に成功したスタートアップが出ると、投資家はキャピタルゲインを得ることができ、またそれをもとにスタートアップに投資することができます。加えて、成功したスタートアップの経営者も投資家としてこのエコシステムに貢献することができます。

 投資していただいた僕たちが金額を増やして返さなければ、投資家のみなさまは次世代のスタートアップに投資できなくなってしまいます。先人の努力によって成り立ってきている日本のスタートアップエコシステムの成長を、僕たちが止めるわけにはいかないと思ってきました。
 僕たちがIPOをしたときに、「ああ、これで信じてくださったベンチャーキャピタルさんがリターンを出すことができる。これで、次の未上場企業につなぐことができた。」とすごくほっとしたこと、嬉しかったことをよく覚えています。

 今後も、後進のチャレンジ、新しいチャレンジの後押しをできる存在でありたいし、日本経済が前進していくようなエコシステムをつくることに寄与し続けたいと思っています。(そういう思いで、HIRACファンドも設立しました)

さいごに

 松山選手の優勝に、多くの日本人が勇気づけられました。
 その優勝の裏には、すべてのゴルフ関係者の方々の長年の努力、蓄積があり、そして何より、本場で10年もの間チャレンジを続け、誰よりも練習してきた松山選手の努力があります。そのことに想いを馳せるから私たちは感動し、後押しされるのでしょう。
 
 僕も、先人への感謝を忘れず、今世界で活躍している経営者の方々に少しでも近づけるよう、そしていつの日にか追い越せるよう、そして次の世代にその背中を見せられるよう、チャレンジと絶え間ない努力を続けたいと思います。

松山選手、そして関係者のみなさま、本当に本当におめでとうございます!!世界一、本当にすごい!!!

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