見出し画像

IOCを訴えてやる。どこに訴えたらいいの?ー「オリンピック憲章」をガチで読む③

前回までは、「オリンピック憲章」を基に、「オリンピック・ムーブメント」という「恒久的運動体」、IF(国際競技連盟)というオリンピックの「実働部隊」を説明した。

それでは、いよいよIOC(国際オリンピック委員会)について、「オリンピック憲章」を見ていこう。

まず、いきなりではあるが、IOCはどこの法に従っているのであろうか。つまり、IOCを何らかの理由で訴えたいとき、どこに訴えたらいいのだろうか。国際機関だから、国連に訴えるのか。それとも、どこかの国に訴えるのか。

答えは、スイスの裁判所である(ヨーロッパには、スポーツ仲裁裁判所があるが、ここではその話には入らない。)
すなわち、IOCは、スイス連邦評議会により承認されており、スイスの「NPO法」の下、活動している非営利団体でなのである。

次に、前回、私が「それは、腐敗するは」といったのは、「憲章」で、IOCは、基金や会社などの法人を設立、取得、支配下に置ける、と書いていることである。

しかし、これは何も珍しいことではない。例えば、日本でも様々な会社が、「文化財団」等を作り、そこに株式を持たせているだろう。その目的は様々であるが、節税や事業承継、安定株主を得る等あげられるであろう。

この点、IOCが支配下の会社の株式等を持つことは、何らおかしいことではない。ここで、問題となるのは、「NPO法」の中身である。これは、もちろん国によって異なる。例えば、日本では「事業収益の内、50%は公益事業から」という縛りがある、また、国によって、「公益」の中身が異なるであろう。

さて、ここからが大事なのであるが、IOCはスイス連邦評議会によって、承認されている団体なので、スイス人にしか民主的にチェックできないということである。IOCは、自らを「国際的な非政府」団体というが、実質はスイスの非営利団体なのである。

これは、「スイスの法令に従って年次報告書と財務諸表を作成」すると書かれていることも証左である。

スイス人以外が、IOCを民主的にチェックすることはできない。ここに、私は「腐敗」の問題の本質があると思う。

あと、特筆すべきは、「IOCの財源」である、これについては、皆様の想像どおりであろう。ざっくり、言えば「売れるものは徹底的に売る。」この一言である。

ここで、指摘しておかなければならないのが、「お金の流れ」である。わざわざ、IOCは、下部団体(NOC、IF等)を通じて資金提供をし、アスリートを支援すると書いているのである。

すなわち、「必ずお金は上流、中流を経て、下流に流れますよ。」と念押ししているのである。これは、IOCの「お金の分配」を批判しにくくするシステムである。「不満があるなら、上位の団体に訴えてね」とも解釈できる。

以上、IOCについて読んできたが、その過程で私が気づいたのは、IOCがやっているのが、「権利ビジネス」である、ということである。

思い出してほしい、我々が今読んでいるのは、オリンピックの「憲法」とも言える「オリンピック憲章」である。そこに、「放映権」「スポンサー権」「著作権」等々が、あらゆる漏れがないように延々と書かれているのである。

「そんなもの憲法に書くの」ということである。この裏返しとして、IOCがやりたい「権利ビジネス」が分かるだろう。
もう一度、確認するが、IOCは、スイスの「非営利団体」なのであるが。

次回は、いよいよ「オリンピック競技会」に入ろう。それほど、突っ込むところはないが、面白いところを何点か上げたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?