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マンCに30P剥奪の可能性ーこの秋の重大な訴訟、プレミアリーグとUEFAの違い。ファイナンシャルフェアプレーとは。プレミアリーグと「お金」①

2024年の秋に始まる、マンCとPL(プレミアリーグ)の重要な訴訟な訴訟をご存じであろうか。判決次第では、マンCは今季30ポイント剥奪される可能性があるという。

まず、マンCが違反したとされる規則は、UEFAの規則であるFFPではなく、プレミアリーグの規則(PSR)である。昨年のエヴァートンが10ポイント剥奪された根拠もこのPSRである。

PSRは、Profit and Sustainability Rules の略である。日本語にすると「利益と持続可能性のためのルール」となるであろうか。これは、2013年から施行されている規則である。

おそらくイングランドのサッカー好きもFFPとPSRの重要な違いを分かっていないと思われる。

それでは、FFPとPSRの大きな違いは何か、というとFFPの時効は5年であるが、PSRは時効がないということである。今、115件という膨大な不正の疑惑がマンCに係っているのは、このためである。

具体的には、現オーナー(UAEの王子)がマンCを買収した2009年から2018年の不正が訴訟で争われることになる。PLは訴訟に持ち込むために、5年間調査に要した。これは、マンCがいかに調査に協力しなかったかが、分かる。

PLの主張は、2点。不正な財務諸表をプレミアリーグに提出しいていたこと(クラブには提出義務がある。)特に、この中には、ジョゼップ・グアルディオラ監督に対する財務諸表に載らない形での不正な報酬の支払いがあったのではないかとの疑惑がある。

もう1点は、PLの調査に協力しなかったこと。いわゆる「司法妨害」である。日本では、「司法妨害」は軽い罪だと思われているが、英米法ではかなり重い罪である。本件と少しずれるが、「司法妨害」の中に「偽証罪」が含まれる。

英米のドラマを観ていて、証人が「証言」をするとき、必ず弁護士が立ち会っているのを思い起こしてほしい。「偽証罪」、すなわち「司法妨害」は重い罪なのである(ここでは、その理由には踏み込まない。)

115もの事件が争われるのである。また、上訴の可能性もある。この訴訟は、2024年-2025年シーズン中には、終わらないだろう。マンC側は、表面上は早く終わらせたいようだが、実際、訴訟が始まらないと分からない。

徹底抗戦すれば。つまり(現実的ではないが)115件全て争うとしたら莫大な時間と費用が掛かるであろう。ただし、オーナーは、UAEの王子である。弁護士費用ぐらい何ともないと思われる。

PL側は、115件の事件をうまく「取引」して、この件を早く終わらせたいだろう。

下に添付した記事は、FFP(ファイナンシャル・フェアプレー)を分かりやすく捉えた優れた記事だ。FFPについて知りたければ、これをまず読むことを推薦する。

分かりやすくするためであろうか、UEFAの規則と各国の規則が、交じって書かれている。その点には、注意が必要である。サッカー好きの方なら、ご存じだと思うが、メッシがバルサに残留できなかったのは、FFPからではなく、ラ・リーガの規則に抵触するからであった。

今後、プレミアリーグと「お金」という連載を始めようと思う。乞う、ご期待を。


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