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書評

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金,土、日更新予定。主に新刊のスポーツ関連書籍を取り上げたいと思います。週2~3冊
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#書評

書評コーナー

書評コーナーでは、洋の東西を問わずスポーツに関連する書籍を紹介できればと思う。特に、スポーツに関連する興味深い書籍はあまり邦訳されていない。洋書も紹介できればと思う。

書評:『航空管制 しられざる最前線』、タワーマン著、河出書房新社、2024年

本の内容については、上記Amazonのページが詳細、十分だと考えるので、ここでは触れないが、一点強調したいのは、管制官は、一つのミスで業務上過失致死傷罪に問われかねない仕事をしているということである。 このような重責を背負って、日々仕事に努められている公務員の方々には、素直に敬意を示したい。 以上のことを、前提に私なりにこの本を読んだ。 思ったのが、これはまさしく「コーチング」の仕事ではないであろうかということである。パフォーマンスをするのは、あくまでも「機長」である。つ

書評 『勝者の科学 一流になる人とチームの法則』 マシュー・サイド著、永森鷹司訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2024年

まず、あやゆる翻訳書については、その原題を調べなければならない(日本で売るために、かなり原題を超訳したものが多いからである。 本書の原題は、”The Greatest: The Quest for Sporting Perfection"、2017年にイギリスで出版されたものである。 本書の邦題は「勝者の科学」である。しかし、その内容はいわゆる「勝者になるためには?」といった本ではない。 「勝者のレシピ」のようなものを求めて本書を手に取ると肩透かしを食らうかもしれない。

書評 『ミケル・アルテタ アーセナルの革新と挑戦』、チャールズ・ワッツ著、結城康平、山中琢磨訳、2024年、平凡社 前編

ミケル・アルテタのアーセナル監督就任から、2022年〜2023年シーズンまでの出来事と舞台裏を描いた本である。 読者を選ぶ本である。 いきなりであるが、アーセナルのファン(グーナー)や他チームのファンでプレミアリーグをフォローしている方以外は、読んでいても楽しい読書ではないだろう(値段も高い)。 この本の原著者は、アーセナルの番記者である。そのためアーセナルの内部で何が起こっていたのかということは、詳細に書かれている。ただ、10年以上、アーセナルをフォローしていないと、

書評『ミケル・アルテタ アーセナルの革新と挑戦』、チャールズ・ワッツ著、結城康平、山中琢磨訳、2024年、平凡社 後編1

原著の題名が、"Revolution:The Rise of Arteta's Asenal”であったことは、前編で紹介した。そして、この題名が本の内容にそぐわないというのが私の主張であった。 書評であるので、本の内容を紹介するべきなので、紹介したいと思うが、少し廻り道をして、アルテタ以前のアーセナルについてを補助線として現在を見た方がよりわかりやすいので、少し付き合っていただきたい。 ここからは、アルテタ監督から離れ、もしアーセナルに「革命」が起こっていたのだとしたら、

書評『ミケル・アルテタ アーセナルの革新と挑戦』、チャールズ・ワッツ著、結城康平、山中琢磨訳、2024年、平凡社 後編2

前回、ヨーロッパのサッカー・クラブにおける「マネージャー」と「ヘッドコーチ」の違いについて、簡単に紹介させていただいた。 もう一度確認すると、「ヘッドコーチ」とは、主に戦術等ピッチ上の事象について責任を持つ仕事である。それに対して、「マネージャー」とはピッチ上の事象はもちろんピッチ外の人事、予算管理まで責任を持つ仕事である。 例えば、有名な話ではサー・アレックス・ファーガソンは、そのキャリア中・後期においては、練習には週1度しか顔を出さなかったという。その代わりに、副官に試