見出し画像

「窃盗団」にお金を盗まれた男の話(バイト)

半月ほど前だったか。

社員・バイトの皆で共有する連絡簿に、夜勤のHさんが次のような長文を書いていました。

普段は、業務上の引き継ぎ事項を書く、無味乾燥な連絡簿ですが、いろいろ考えさせられる香(かぐわ)しい報告でした。多少脚色しています。

「先日からいる方はMさんという常連客でした。K市で、窃盗団にお金を盗まれ、ガソリンを入れるお金も無くて、ランドリーの駐車場に留まっているそうです。K警察署には連絡済み。で、今は娘さんにLINEで、郵便局に1万5千円振り込んで貰えるように頼んでいるらしいですが返信がなく、電話しても出ない状態。連絡を待っているが、まだないそうです。(近隣の)F署に言って解決してくださいと言ったのですが、もう少し待たせてくれとのことです。Dという会社の仕事をしているらしいですが、Mさんは重機の運転手だそうです。とにかく身動きが取れない状態です。常連ということできつくは言えなさそうです。店長の○○△△も、別店舗のXXも知っているそうです。」

窃盗団って・・w

うっかりうんうんと話を聞いてしまった優しいHさんの姿が目に浮かぶようです。

で、僕も、夕方勤務中にそのMさんと喋ったのですが、僕が夜勤も入るのかと聞いてきたり、カップメン食べたいのでお湯貸してくれと言ってきたり(断った)、何かと個人的関係に持ち込んで長居したい様がありありだったので、そうはいかんぞとフワフワした対応をしていたら急に怒鳴ってきてびっくりしました。

でも、意味不明というよりは、あーー、こういうおっちゃんいるよなあという親近感というか、あかんおっちゃんが陥る典型的パターンを見ているようで非常に面白かったのですが、年下の先輩のKさんが僕がいじめられていると思ったらしく(失礼な)、割って入って適当にあしらってくれたのでした。それからしばらく経って、休憩スペースとトイレを行き来しては話しかけようとしてくるMさんに、

「ムカついて来た! もう追い出す!」

というKさんを、何でか必死に止めてしまう僕なのでした。確かにウザいおっさんやけど、こういう人ほんまによくいるんやって・・と思い、なぜかKさんを止めてしまう自分が不思議でした。

後日、社員のIさん(女性)がMさんについていわく、娘さんも堪らないですよね、あの人、いろいろ言ってくるけど、話してる内容が意味不明だし全く話が通じなかった、と言うので、僕は、いやあ・・めっちゃいますよ、あんな感じの人。うっかり親近感を感じるくらいです。昔のバイト先とかにめっちゃいましたと言ったら、僕を異世界人でも見るようにして驚かれたのでそれも面白かったです。

と、まあ、割と僕は楽しんでいましたが、バイトとしてお店を預かっている身としては、「従業員に話を付けた」とか、「店長に許可を取った」とか言って敷地を生活空間にするのはあり得んやろうと思っていたのですが、もちろん上の方も同じ考えだったようで、翌日、なぜかMさんと顔見知りだったという他店の店長が来て、声を掛けて、帰ってもらったそうです。

24時間営業の店は、こういったおじさんには要注意かもしれません。某匿名掲示板で、インターネットカフェの店員が似たような報告をしているのを目にしたこともありますし、よくある話だと思います。

昔の村社会なら、普通に居場所があった方なのでしょうね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?