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『基本憲法I - 基本的人権』を読み始める

(冒頭写真は拳法)

伊藤真試験対策講座を何冊か読み進めたり、同書の巻末論証集を精読したりしているうちに、論文試験に対応するためには「規範定立」のような、それを論文中で利用するためには必ず「理由」(趣旨、反対説+批判、不都合性、必要性、etc..)を書かなければいけない文章の断片があることに気付きました。

ところが、そういった「理由」というのは、学習歴の短い僕からすると本当に簡潔で淡白なものであり、いまいち頭に入ってこない。

そこで、規範定立が特に重要になる条文数の少ない科目については、学者先生の書いた基本書に頼ろうと思って、近年出版されたもののうちでは比較的定評があるという、次の書籍を購入し、最初の50ページほどを読んでみました。

木下智史・伊藤建『基本憲法I - 基本的人権』日本評論社(2017年2月) 

すごく読みやすいです。論文に使い易いくらいのコンパクトな一文一文が、その背景や関連知識との位置付けも交えつつ、自然な文章で述べられている印象です。判例からこの一文を探そうとするとどれだけ面倒かという箇所がすぐに特定できます。読んでいて嬉しい。

ただ、20何年か前、法律の勉強をやろうと思い立って最初に購入した芦部信喜『憲法』岩波書店を初めて読んだときのガッカリ感、法律の勉強なんてもう金輪際止めておこうと思ったときのことを思い出してしまい複雑な気持ちにもなりました。今なら、その価値がもっと理解できると思います。

法律の文章の一つ一つは将棋の一手のようなもので、それが使われる場面や制約について明確なイメージがなければ、価値を見出しにくいものだと思います。

でも、受験生や専門家以外の門外漢にとって必要なのは、多少間違えていようが、アラがあろうが、その一手一手がどういった意味を持つかについての背景の知識や、読む側にとって心を揺さぶられるような、訴訟当事者の感情や行動に影響を及ぼす事実な訳で、でも、そういったものがあまりに書かれたテキストだと、論文試験のための正確で過不足ない知識を求める受験生にとってはあまり有益なものではないのかもしれません。

このあたりの事情は、何冊か目を通してみましたが、米国ロースクールで使用されるような教科書であっても同様な気がしました。

ルールを学ぶというのは、つまり、法律を学ぶというのはそういうことなのかもしれません。

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