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法解釈とド・モルガンの法則(→不要)

(同日 19:01:記事末尾に追記)

先日、法律の条文で用いられる接続詞には、一貫した用法があることに触れました。

英語でいう「and」にあたる、「及び」「並びに」(時々「かつ」)で構成される命題なら、小さいグループの結合を「及び」、大きい方を「並びに」で繋ぐ。例えば、

A、B及びC、L、M、及びN並びにX、Y及びZ

なら意味は、

(A and B and C) and  (L and M and N) and
(X and Y and Z)

となり、

英語でいう「or」にあたる、「若しくは」「又は」で構成される命題なら、小さいグループの結合を「若しくは」、大きい方を「又は」で繋ぐ。例えば、

A、B若しくはC、L、M、若しくはN又は
X、Y若しくはZ

なら意味は、

(A or B or C) or (L or M or N) or
(X or Y or Z)

となります。今、ざっといくつかの法律(民法、民事訴訟法、国民年金法、国民健康保険法)を調べてみましたが、このandとorが、一つの語句内で混在しているケースは見あたりませんでした(一文中では混在していることはありますが、一括して検討する必要はない使われ方でした)。法律を起草する際、複雑になることを避けるために、意図的に回避されているのかもしれません。

and, orが混在していれば、これらの命題全体を否定するためにド・モルガンの法則が活躍する場面も出て来そうですが、上記2パターンの否定だけなら用いる必要はないです。(andで繋がれたものなら、A、B・・のどれか一つが偽なら全体が偽、orで繋がれたものなら、命題全体が否定されるためには、A、B・・の一つ一つ全てが否定されなければならないというだけの話になります)

「鶏を割さくにいずくんぞ牛刀を用いん」

法解釈において、ド・モルガンの法則は牛刀のようです。

■追記:会社法で「及び」「又は」が混在するケースを発見しました。定款の記載内容で、

「当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法」(会社法107条2項2号ホ)

意味は、

当該財産の内容 and (
  (数 or 額) OR これらの算定方法
)

かな・・。自信ないです😢

(続く)

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