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公認会計士×IRというキャリアのススメ

みなさまこんにちは。
今までアドベントカレンダーに参画したことがなかったのですが、今年はなんと公認会計士とIR系のアドカレに参画することになりました笑

「勢いでエントリーしてみたものの、何を書こうか、、」と色々悩む中で、公認会計士のキャリアについて考えていました。
公認会計士は、会計監査という独占業務を実施することができる国家資格でありつつも、非常にキャリアの選択肢が広いことで知られています(多分)。
パッと思いつくものを挙げるだけでも以下のようなものがあります。

  • 監査法人

  • 経理・財務

  • 税理士法人

  • FAS

  • 投資銀行

  • PEファンド

  • IPOコンサル

  • 内部統制コンサル

  • スタートアップ管理部長

  • CFO

  • 独立開業

  • 起業

しかし、私自身が今IR支援事業を展開していて本当に思うのが、「IR担当として活躍している公認会計士は非常に少ない」ということです。
CFOとして参画されて、結果的にIRの領域も管掌しているというパターンはそれなりにあると思いますが、IRの担当者として参画して活動されている方はかなり少ないんじゃないかと思います。
実際、公認会計士が事業会社に入社した時の所属部署として、IRはまだまだマイノリティであるようです。

『公認会計士「試験」「仕事」「キャリア」のすべてがわかる本』

ですが、私自身としてはこのIRという領域は非常にエキサイティングであり、もっと公認会計士のキャリアの選択肢に入ってきてもいいのでは?と思っています。ということで、公認会計士×IRという切り口で今回はエントリーしようかと思います。

IRの領域に公認会計士が少ない理由

まず、なぜIRの領域に公認会計士が少ないのかということについて、私の仮説を幾つか挙げてみます。

年収帯が折り合わないから

IR担当の年収等については次回のIR系のアドカレで詳細について触れようかと思いますが、IRのポジションは、責任者レベルと担当者レベルでそれぞれ大体以下のレンジに収まるのではないかと思います。

  • 責任者レベル:600万円〜1,000万円

  • 担当者レベル:400万円〜700万円

監査法人では、シニアであれば残業代を含めると1,000万円前後になると考えられます。FASとかだとシニアレベルで1,000万円を超えることもありますし、事業会社の経理も大企業であれば700万円を超えることが多いかと思います。
つまり、監査法人やFASに在籍している会計士がIRに転職しようと思ったら、年収ダウンとなる可能性が高いと言えます。
エージェントからすると、年収が高い会社に紹介した方がフィーが高くなりますし、IRよりも監査法人やFAS、事業会社経理等の方が、求職者へのナーチャリングコストが格段に低くなるため、このような状況下ではIRのポジションを紹介するインセンティブも働きづらいと言えるわけです。

また、仮に紹介されたとしても、相当IRのポジションに動機付いていない限り、年収を下げてまで転職するという人は非常に少ないのではないかと思われます。

そのため、IRの領域に会計士が少ない大きな要因として、年収帯が折り合わないからというものが考えられるのではないかと思います。

IRの業務内容を知る機会が少ないから

これは私自身が監査法人とFASを経験していたからこそ思うのですが、上場企業のIR部が具体的に何をやっているのかを知る機会は実はあまり多くありません。
監査法人だと、クライアント側のコミュニケーション窓口は基本的には経理部となりますし、FASだとM&Aの部隊になることが多くなります。そのため、実際に開示した情報をもとに、機関投資家や個人投資家との間で、誰がどのようにコミュニケーションをとっているのかということは意外と見えないのです。

また、先ほど「エージェントから紹介を受けにくい」という話をしましたが、紹介を受けにくければIRのポジションについて詳しく知る機会はどうしても減ってしまうと言えます。
最近でこそ、IRの仕事内容に関する情報発信が少しずつ増えてきていますが、それでもIRという仕事自体の知名度や理解度はまだまだ低いのではと思います。

業務内容を知ることができなければ、そのポジションに関心を持ちようがないですよね。そのため、IRの業務内容を知る機会が少ないということも、IRの領域に会計士が少ない要因のひとつではないかと考えられます。

将来のキャリアアップをイメージしづらいから

監査や経理、M&A、税務等は、その専門性を磨いた結果、監査法人のパートナーやグローバル企業の経理、PEファンド、会計事務所の独立等、キャリアをある程度想像することができるかと思います。

一方で、IRのポジションに転職すると、専門性を磨いた先にどのようなキャリアを積み上げていくのかが想像しにくいという側面はあると思います。(これは会計士に限った問題ではないと思うので、IR系のアドカレでも考察していこうかと思います)。
現在の上場企業のCFOのキャリアを見ても、なんだかんだで投資銀行や監査法人、FAS等で一定の経験を持った人が多いですし、IRの経験をしたからといってCFOになれるかは分かりません。

また、一流のIRコンサルタントになるというキャリアも、まだまだ目指しづらいのではないかと思います。M&Aの業界などと比べると現時点ではそこまで大きなマーケットではないですし、年収のアップサイドもFAS等と比べるとどうしても劣るのではないかと思います。

そのため、会計士からすると「専門性を磨いたところでキャリアアップできるかどうか分からないのであれば、やっぱり監査法人で頑張るか、スタートアップのCFOを目指すか、FASに行くかした方がいいか」という思考になりやすいわけです。これも、IRの領域に会計士が少ない一因なのではないでしょうか。

公認会計士とIRの相性の良さ

ここまで見ると、IRの領域に会計士が少ないのも頷ける気がします。しかし、それでも自分としては、冒頭に述べたとおり、会計士とIRは実はかなり相性がいい仕事なのではないかと思っています。

IR担当者に求められるスキルや知識をざっくり挙げると、以下のようになるかと思います。

  1. 会計に関する知識

  2. コーポレートファイナンスに関する知識

  3. 会社法・金商法に関する知識

  4. コーポレートガバナンスに関する知識

  5. 開示制度に関する知識

  6. IR実務に関する知識

  7. ESGに関する知識

  8. ビジネススキル

  9. 英語スキル

  10. 対人コミュニケーションスキル

  11. エクセル等のオフィスワークスキル

  12. ヒアリングスキル

この中で、1、2、3、5、11、12に関しては、多くの会計士が一定水準以上の知識やスキルを持ち合わせていることが多いのではないかと思われます。
投資家やアナリストから細かい数字のことについて聞かれても適切な回答をすることが考えられますし、自社の適正株価水準を考察したり資金調達をする際も、コーポレートファイナンスの知見が一定役立ちます。

また、IR担当者は、特に決算シーズンでは他部署との連携が非常に重要になります。今数字がどうなっているのか?その数字の背景では何が起きているのか?ということを、経理部や営業部等に資料依頼したりヒアリングしたりしながら解像度を上げ続ける必要があります。
そして、出された資料を短時間で理解し、必要に応じて加工しながらアウトプットを作成していく必要があるわけです。

これって、実は会計士がめちゃくちゃ得意とすることなんじゃないかと思います。クライアントへ資料を依頼し、もらった資料を分析・加工してアウトプットを作成し、必要であればヒアリングを実施する。こういったことを監査の現場では当たり前にやっているからです。

当然、新たにキャッチアップしなければいけない知識や習得すべきスキルは様々あります。しかし、監査法人やFAS、経理等で実務経験を有する会計士は、会計やコーポレートファイナンス、資料分析やヒアリング等のスキルで既に大きなアドバンテージとなっている場合が多いと考えられます。
そのため、私個人としては、会計士とIRというのは、実は非常に相性がいいのではないかと思っています。

IRの領域に公認会計士が参入するためにはどうすればよいか?

このようにIRは、会計士がこれまで培った知識やスキルを思う存分発揮できる領域だと思います。
加えてIRは、機関投資家や個人投資家とのコミュニケーションが求められるため営業的なスキルも必要になりますし、海外投資家とコミュニケーションを取るために一定以上の英語スキルも必要になります。つまり、蓄積できる知識やスキルの幅が大きく広がる可能性があります。

また、多様な投資家とコミュニケーションをとることとなるため、資本市場にどのような投資家がいて、彼らが自社や競合をどのように捉えているのか等、対話の前線に立たないと見えてこない景色が見えるようになるため、エキサイティングな仕事だとも思います。故に、会計士×IRというキャリアもオススメしたいわけです。

では、このIRという領域に会計士がもっと流入するためにはどうすればよいのでしょうか?個人的には、やはり

IR担当者の給与相場を引き上げる

ということに尽きるのではないかと思います。
先述のとおり、IR担当者には様々な領域での知識やスキルが求められます。にもかかわらず、給与の競争力が他職種と比べて高いわけではないという問題があります。これは、IRは力を入れたところで売上が上がるわけでもないし、株価が絶対上がる保証もないし、そもそもファイナンスニーズがなければ株価を重視していないこともあるので、なかなか力を入れづらいという側面があることに起因していると思っています。

しかし、IRは、株価を適正水準に収束させることだけでなく、ファン株主や建設的な対話ができる株主をつくっていくこと、労働マーケットに訴求していくこと、社内エンゲージメントを高めることにも繋がる可能性がある重要な仕事です。経営者がこのIRの重要性をしっかりと認識し、IR担当者の給与相場を引き上げることができれば、よりIRのポジションに対して関心を持つ会計士も増えるのではないでしょうか(そうすると、エージェントからの紹介も増えるはず)。
資本市場とのコミュニケーションを通じて、「国民経済の健全な発展」という公認会計士の使命を果たすという道がもっと一般化するよう、自分も頑張っていきたいと思います。

ということで、ポジショントークっぽさも結構出てしまいましたが、本日は以上とさせていただきます。最後の方、時間ギリギリすぎてだいぶ雑い感じになってしまい申し訳ございません!

最後までお読みいただきありがとうございました!!