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記憶力と発信力を高めるコツ「違いを見つける」

あなたの「父親」と、「母親」2人の違いはなんでしょうか?
性別の違い、年齢、好きな食べ物。休みの日に本を読んでいるか、庭仕事をしているか・・・
あまりの違いに、問いかけ自体がバカバカしく聞こえるような質問です。

ですが、最近気づいたことはこれ。
2つの物事の「違い」を言葉にできる大切さです。

自分の記憶を強めたり、正しい表現をするためには、その違いに気づく必要があります。今日はこの話をします。

きっかけになったのは英会話の授業です。

以前から何度かお話しているように、毎週末インターネットで英会話の授業を受けています。スカイプを通じて15分で500円。週1回、1ヶ月で2,000円。
一昔前には考えられないような安価な価格で、毎週末学ぶことができています。

その時間を使って、好きな話題を英語でプレゼンし、その言い回しを私がリピートしてお願いしている初老の先生に聞いてもらいます。
そして、ネイティブの視点で直してもらうのがもっぱらです。

ある日、その授業の中で直されたフレーズがありました。

Food shortage has been happining not only in other countries but also in Japan.
(食糧難は他の国に限らず、日本でも起きている)

ウクライナ侵攻を受けて

これを聞いた先生。話し終わった後に、単語を1つ直してくれました。

なるほど、君の言いたいことは理解できる。では、この”happening"は”occuring”の意味だね、と言います。

その場では、なるほど、そうなんですね〜〜とうなづいて、授業は終わりました。

しかし、その後です。スカイプを切った後に心に残る謎。

どうして、happeningだと、意味は伝わるけれど先生はしっくりこなかったのか?
occuringがより自然に聞こえたのだろうか?


15分ではそこまで深める余裕はありません。

言葉の意味ではどちらも「(出来事が)起きた」なのです。
先生からの指摘が理解できませんでした。

ですが、次に浮かんでくる疑問がありました。

同じ「起きた」という意味ならば、なぜ別の単語があるんだろうか?
ということです。

相手に伝わる意味や成立の過程が同じならば、言葉を使い分ける必要はありません。
何か違うから、違って聞こえるから言葉が別々に存在している。そう考えるのが自然です。

この2つは似て非なるものだ。
その前提で調べ直してみることにしました。
検索ワードはhappenでも、occurだけでもなく、
happen occur 違い」です。

きっと似たようなこと調べている人も、答えてくれる人もいるだろうと思ったからです。
ネットに対する変な信頼感。もしくは、自分が思いついたアイデアは、きっと誰かがもう考えているという、二番煎じの確信です。

案の定、ありました。

happenは語り手が予期していない(わかっていなかった)こと
occurは事実として起きていること(おきそうなこと)

なるほど、この違いであれば、先程私が使った言い回しが直された理由もわかります。

先生からしたら「日本に影響がでることは、世界の流通の仕組み上君はわかっている。その起きた事実を述べたかったんだろう?」というわけだったのです。

レッスンが終わって15分後、ようやく指摘された違いを頭の中で整理できました。もうこの2つの単語は忘れません。

そして、もう1つ気づいたことがありました。

何かを覚える、そして相手に熟慮してもらうこと少なく、理解してもらうためには、言葉や事柄を単体で覚えるのでは非効率だということ。
違いで覚えることだ、ということです。

野球のポジション>ピッチャーとキャッチャー
調味料>亜麻仁油とごま油 
主義主張>自由主義と社会主義

これらの単語の違いを明確に言葉で説明できるでしょうか?
分野関係なく、ある1つの単語(アイデア)は、それに相対する単語と並んだ時に、より解像度が増します。そして忘れづらくなります。



もしも、
「happiningもoccuringも同じ意味なんだから、どっちを使ってもいいでしょ」と私が開きなおったら。
happenだけ覚えていれば、occurを頭に刻む必要はありません。

ですが、その代償があります。
先生に私の気持ちが正しく伝わりません。相手に私の不勉強なところまで受け入れてもらわないと誤解される、他力本願な話し方しかできなくなります。

まるで、泣くだけで気持ちを汲み取ってもらおうとする(それしかできない)乳児のようです。


だから、言いたいことを意識的に正しく伝えるために、そしてその手段として単語、フレーズを覚えるためには、その違いや成立の背景を学ぶことが必要。むしろ、必要だと感じるべきです。

これがきっと乳児と大人の「違い」です。

その料理に「調味料」を入れると美味しいよ(何入れるの?)
彼は「名プレイヤー」だ(ポジションは?)
その国がもつ「主義主張」に問題がある(具体的には?)

こんな文章を書いてしまわないように、もっと頭の中身を正しく伝えられるように、「違い」に目を向ける癖をつける。

やってみると、存外面白いです。
生活の中からの発見は楽しい。
こんな原初的な喜びも再起させてくれる気づきのお話でした。

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