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今までの参加レコーディングを振り返る Vol.11 あしたの喜多喜男 サウンドトラック by 小曽根真 2007

今回はドラマのサウンドトラックです。


全ての音楽を担当したのは小曽根真さん。
現在、コロナ禍の中で毎日、ご自宅からピアノソロのライブ配信を続け
皆さんに安らぎと勇気を届けるのには敬服します。
またクラシックを始め、様々なジャンルをこなし、
活動も、今日はヨーロッパ、明日は日本、次はアメリカと
一体いつ休んでいるのだろうと言うぐらい精力的で
しかも想像力も尽きることのない、まさにスーパーマン。


小曽根さんとは共演は沢山ありましたが、これが初レコーディングでした。
バンドトラックは5曲ぐらいで、あとは小曽根さんの即興のピアノソロです。
これが不思議なくらい映像とマッチしていて驚きでした。
イマジネーションを音に変化させることの大変さは想像を絶するものがありますが、そんな苦労を全く感じさせないところも天性の音楽家たる所以でしょうか。録音は終始楽しく、ジャズとしても高い音楽性を保った作品が収められています。

さてサウンドトラックとして録音された本作品ですが
その中に一曲、テーマソングとして書かれた「My Tomorrow」と言う曲があります。
アルバムには当時日本に在住していたシンガー、ティファニーがその曲を歌ったトラックが収録されています。
ドラマのサウンドトラックと言ってもレコーディングに参加するミュージシャンたちは、どのような場面でどんな使い方をされるかまでは知らされていません。
この曲は、なんとドラマの中で主人公と当時デビューしたばかりの吉高由里子さん扮するアイドルとのジャズクラブでデートシーンで使用されることになり、全く同じ演奏を生演奏しているシーンも欲しいとの事。(小日向さんと吉高さんとは実際にお会いして挨拶もできました。吉高さんの輝く可愛さが印象的でした。)

しかし、レコーディングは普通に行われ済んでしまっています。
何を演奏したかを忠実に再現する当て振りをやらなくてはならなくなりました。
自分たちがどんな演奏をしたか思い出して、ほぼその通り演奏しないと音と映像がずれてしまいます。
皆で何度も聞き直して思い出す作業から。
しかも、このロケは夜のシーンと言う設定にも関わらず、某ジャズクラブにて早朝からでした。早朝と言っても本当に早朝。太陽が昇るか昇らないかの時間です。
客席にはフォーマルに着飾ったエキストラの皆様が待機。
そんな中、ロケはスタートしました。
いろんな角度から撮ったりするために演奏も何度も撮ります。
今回のドラマの脚本と監督はNIGHT HEADなどで有名な飯田譲治さん。
何度かバンドシーンを撮影しているうちに、飯田さんから
「君は帽子をかぶった方がいいね」と僕に言われて
飯田さんが何処からか用意していた帽子をかぶって撮影。
これが後々、帽子姿で演奏する始まりでした。
撮影なので、1カット撮影してチェックをしている間の時間があるのですが、
そのたびに、客席にいるキリッと夜を演出しているエキストラの皆さんが
ドターと椅子や机に倒れ込むのを見て、
役者っていうのはどんな役でも大変なのだなあ〜。と痛感。
無事昼前に撮影も終了して僕たちの出番は終了です。

主演の小日向文世さん他、松田龍平、小西真奈美、栗山千明、今井雅之、吉高由里子、要潤、生瀬勝久(敬称略)など数々のスターが繰り広げる物語に毎週オンエアを楽しみにしていました。
毎回、スリルに満ちていながらもどこかユーモラスなところは僕の好みにぴったり。
意外なラストの展開にもびっくり。
この作品に関われた事を誇りに思います。
ドラマとしては残念ながら大ヒットと言うわけにはいきませんでしたが、
良質な物語を作り届けてくれたスタッフの皆様の熱意には頭が下がります。
その後、監督であった飯田譲治さんとはとても親しくさせていただき、時折ライブも見に来ていただいたり、こちらが飯田さんが脚本を手がけた演劇を見に行ったりと交流が続いております。

たった一度だけですが、このアルバムのサウンドトラックをライブで演奏すると言う企画が青山の老舗ライブハウス、Body And Soulで行われたことがあります。小日向さんにも聞いていただき思い出を語っていただいたりした事を懐かしく思い出しました。

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