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【発売一周年記念】FF16プレイ感想~人が人として生きられる場所を作った、とはどういう意味か~


FF16、発売一周年を迎えました。 
最初に断っておきますが、私はFFは1から全作遊んでやり込んでいる、FFガチ勢です。FFガチ勢の私は、当然のようにFF16も発売日に買ってプレイしました。発売日に買った理由はシンプルに、ガチ勢だからです。FFガチ勢がFFナンバリングを発売日に買わない理由などありません。

 そんなFFガチ勢の私は、当然のようにFF16をプレイし、そして当然のようにクリアしました。結論から言うと、総合的な完成度が非常に高く、面白いゲームである、と判断致しました。ですが世間的にはFF16は失敗作とみなされている向きもあり、スクエニの社長までが株主総会で言及するまでに至っているのも事実ではあります。

 自分が面白いと思ったものを否定されるというのは、自分の感性を否定されたような感覚になり、誰でも気分を害すものです。FF16を批判する人達を、FF16を面白いと思った熱心な信者達が非難したり、FF16は面白かったんだっとSNSなどで主張し続ける人が発売から2カ月ぐらいまでは沢山いました。

 しかし現在はというと、もはやFF16は話題になるどころか、ネット界隈でも、存在そのものが無かった、みたいな扱いを受けている惨状で、まだFF16を遊んだことが無い人にも、興味はあるけど評判がイマイチ芳しくないから、という残念な理由で購入に二の足を踏んでいる、という状況になってしまっています。

 昨今は、自分が興味があるゲームの内容を知りたいとネットで検索すると、必ずと言っていいほど、〇〇つまらない、という言葉が付け足されてくるようなご時世です。ですが、つまらないかどうかはあくまでも個人の主観によるものであり、特にゲームは実際に自分でプレイしてみないと伝わらない面白さ、というものが多い娯楽です。プレイ動画でストーリーだけ追って観てみると面白そうに思えないけども、実際自分でプレイしてみると面白いと感じられるゲームや、その逆のパターンのゲームも沢山あります。
FF16は、動画でメインストーリーを追っていくだけでは、その面白さがイマイチ伝わりづらいゲーム性であるため、少々誤解を与えかねない作品といえるでしょう。

 そんなFF16ではありますが、FFをMMO版を除いて全ナンバリング遊び尽くし、やり込んできた私は、FF16も、一つのゲーム作品として高く評価しています。アクションゲームになったことに関して色々言われておりますが、現代はAAAクラスのタイトルは軒並みアクションゲーム化が進んでおり、むしろアクション要素を入れない方が難しい時代です。そもそもコマンド式RPG自体が、アクションを作れなかったFC、SFC時代のオーパーツのような代物であり、最近の若い人は、ゲームにはアクション要素があるのが当たり前、という風潮もありますので、FF16のアクション化は時代の流れを反映させたものと言えるのではないでしょうか。戦闘を純粋なアクションゲームに変えたのは勇気のある決断であり、FF16は、新しいFFの形として後世に語られるようになるかもしれません。

 今回は、FF16の正直なプレイ感想を4つに分けて述べていきたいと思います。個人の主観を交えると抽象的に話になってしまいますので、トロフィーデータを参考にし、データを交えて語っていきます。なお、本編のストーリーのネタバレになる部分も含んでおりますので、それが嫌だ、という方は、ここから先は読まないようにお願い致します。

正直な本音感想①FF16はファンタジー版ラストオブアスである

 FFナンバリングをやり込んできて、更に色んなゲームを熟知しているゲーム好きな私が考えるに、プロデューサーの吉田氏がFF16でやりたかったこと、それは、「ファンタジー版ラストオブアス」で間違いありません。
 
 いきなり断定口調で申し訳ないのですが、実際私が最後までプレイし、エンディングも観た上で、FF16がゲーム全体としてどういう方向性を狙っていたのかははっきりと見えました。その上で、既存の似たようなジャンルのゲームの中で、もっとも適合率が高い作品が、ラストオブアスだと判断しました。

以下は、FF16とラストオブアスの共通点です。

FF16とラストオブアスの共通点

①暗い過去を持った主人公で最愛の人を失い、ゲーム内で年を取る(加齢の概念がある)
②主人公がヒロインにとっては救いでも、世界にとっては許されざる存在である
③ヒロイン役の声優が一緒(ラスアスのエリー、FF16のジル、共にヒロイン役が藩めぐみ)
④どちらもプレイヤーに解釈を委ねるエンディング方式を採用している

プレイヤーに考察させて解釈を委ねるように誘導させる終わらせ方も含めて、ラストオブアス的なストーリーテリングです。結局、吉田プロデューサーはラストオブアスのようなゲームをFFでやりたかったんだろうな、と、エンディングを観て私は理解しました。
ダンサーインザーダークやミリオンダラーベイビーなどに通じる鬱映画要素があったのも、ラストオブアスの影響を感じます。

FF16のエンディングを観た後の何とも言えない後味の悪さの正体は、FF16が鬱映画のようなものだからでしょう。

 FF7リメイク、そしてFF7リバースが発売された今だから解ることですが、そもそもFF16の開発がスタートした時点で、スクエニ社内ではFF7リメイクの開発が水面下で始まっていたはずです。更に前作のFF15がオープンワールドであったことも踏まえ、FF7リメイクとも、FF15ともバッティングしないゲームを作る、という、やや引き算的な考えがFF16の企画を考えた吉田プロデューサーにはあったのではないか、と推察されます。

 FFは7以降、高度に発達した機械文明と相反する魔法との融合、という、独創的な世界観で多くのプレイヤーを魅了しており、前作のFF15でも、その流れは踏襲されていました。ですがFF16に関しては、FF7リメイクシリーズと発売が微妙に重なることもあり、良くも悪くもFF7とは比較されない別路線のゲームを作らないといけなかったのかもしれません。

 更にFF16を手掛けた第三開発事業部は、MMOであるFF14の運営もしているため、コマンド式RPGであるFF14ではやっていないこと、かつこれからもFF14では絶対に出来ないことをしよう、というのも多少は意識していたでしょう。

 そういう状況の中で、FF7以降のような機械文明と魔法という相反するものが共存する世界観ではなく、FF15やFF7リバースのようなオープンワールドでもなく、かつFF14のように本格的なRPGでもないFFにする、と引き算をしていき、かつFFのナンバリングを作ろうとすると、FF16のようなストーリードリブンな一本道のムービーゲーム、という選択に行き着くのではないでしょうか。

 FF16はゲームオブスローンズをリスペクトしたと言われていますが、実際にプレイした私は、ファンタジー版ラストオブラスのようなゲームだと捉えました。
 
 なので発売前に、開発側がゲームオブスローンズではなく、ラストオブアスを意識した、とでも言っておけば、ここまで物議を醸すことはなかったような気がします。ゲームオブスローンズというと、どうしても沢山の主人公がいる権力闘争を連想させてしまいますが、実際のFF16にはゲームオブスローンズっぽさは、申し訳程度にしか存在しませんでした。原作に追いついてしまって打ち切りになり、オリジナルで作られたシーズン8っぽさは多少感じましたが、初期の頃のような血で血を洗うような骨肉の争いみたいな展開はありません。

 発売前にゲームオブスローンズと聞いたので、体験版を遊んだ私は、大人向けということもあり、ひょっとしたら弟のジョシュアが悪い奴として再登場しラスボスになり、主人公のクライヴと殺し合いでもするのかな? とちょっと軽く予想していたのですが、そんなハードな展開は全くなく、普通にクライヴとジョシュアは、最後まで似た者同士の仲良し兄弟でした。

 FF16の主人公であるクライヴを、完全無欠の正義のヒーローで世界を救う英雄みたいな先入観を持ってストーリーを追っていくと、ところどころ違和感を覚えるのですが、FF16をファンタジー版ラストオブアスと考えて、クライヴは世界にとっては悪人である、という前提でストーリーを追っていくと、色々納得のいく展開が多いな、とは感じました。

 FF16では、「月」が物語の小道具として重要な役割を担っています。この月は「死」の象徴でもありまして、私は冒頭で月の下にいるクライヴとジルを見て、少なくとも、この2人が幸せになることは絶対にないだろうな、とは察したので、エンディングで再び月が出てきて、その月を別々の場所から見ている2人の姿を見たとき、ああやっぱり、と思いました。
 
 エンディングに関しては色々物議を醸す部分ではありますが、私個人としては、主人公のクライヴは死亡したのだ、と解釈しています。答えはシンプルに、月は「死」を象徴するものですので、月を一人で見ているクライヴは間違いなく逃れられない死の運命へと向かっていたのでしょう。

正直な本音感想②スタイリッシュで爽快感溢れる戦闘が最高
 
 FF16は純粋なアクションゲームですが、このアクション部分が非常に爽快感があって面白いと感じました。FF16はDMCと同じコンボアクションで、コンボを繋ぐ都合上、敵が標準的なアクションゲームよりもかなり硬めに調整されてます。コンボ繋いでる時に敵に死なれてしまうとプレイヤーは不完全燃焼になってしまいますので、そういう調整になっているのでしょう。独自に構築したコンボを敵に繋いでいくことで爽快感を得る類のアクションゲームで、コンボの繋ぎ方が良くわからない人向けに、DMC5にあったボイドと同様に、一人でじっくり練習できるシステムも搭載されており、非常に親切だな、と好感を抱きました。コンボの練習をひたすらしているだけでも楽しいですね。意外な技と技が繋がったりもして、良く作り込まれてます。
 召喚獣も、一週目の段階では、このボスはこの召喚獣じゃないと倒せない、みたいな、最適解は存在せず、本当に自分が好きで気に入った動きの出来る召喚獣を最後まで使い続けてクリア出来る調整になってました。ですのでバハムートが好きな私は、一週目では、あえてバハムート、フェニックス、シヴァの三つの召喚獣を使い続けてクリアしました。FF16は回避ゲーなので、シヴァのフィートはかなり使い勝手が良かったです。
 ただちょっとタイタンのフィートのジャストガードの判定が甘く、かつ旨味も薄いのが少々残念でしたね。判定が甘くて簡単にできてしまうとスリルも達成感もないので、この辺はもう少しシビアな調整にしてほしかったです。
 アクションゲームとしての完成度は全体的に高く、私のようにアクションゲームが大好き、という人なら、アクション部分だけでも充分満足できるのではないかな、と思います。

正直な本音感想③人が人として生きられる場所を作ろうとした男、クライヴ・ロズフィールドの信念、正義とは何か?

 FF16をクリアしたときに獲得出来るトロフィーの名前は、「人が人として生きられる場所を作った」です。
 この「人が人として生きられる場所」とは何か? どういう意味なのか? を理解する事は、FF16のストーリーを深く理解する上で、欠かすことの出来ない要素です。

 「人が人として生きられる場所」の詳細に関しては、メインストーリー上では深く言及されないため、非常に解りづらい部分です。ですがその答えを知れば、FF16のストーリーの捉え方もまた変わってくるでしょう。

 「人が人として生きられる場所」の直接的な答えは本編でもサブクエストでも言及はされませんが、その答えを紐解く手掛かりになるサブクエストがFF16には存在します。
 それは本編のラスボス直前に発生する「風の三志士」です。
 クエストの依頼者はクライヴの叔父。受注前、叔父はクライヴに「ヴァリスゼアでは多くの人間が「理性」を失い、獣と同様になってしまった。アナベラもまた獣である」という趣旨の発言をします。叔父はアナベラを嘆き、クライヴも叔父の意見に同調していました。

 この、叔父が何気なく放った「理性を失った獣」という言葉こそが、FF16のストーリーのテーマの核心に迫る部分であり、クライヴが望んだ世界「人が人として生きられる場所」の答えを紐解く鍵となっていきます。
 クライヴが生きているヴァリスゼアは、世界中が戦争状態であり、略奪、暴行、処刑、そして差別が平然と横行している異常な状況下に置かれています。そんな過酷な世界で何とか命を繋いでいる多くの人間達は、戦争という恐怖の前に理性を失い、何が正しくて、何が間違っているか、という物事を自分達で考えようとはせず、流されるままに生きていました。

 人間が、自分が生き残る為、自分の欲望を叶えるためだけに理性を捨て、平気で躊躇なく人を殺せてしまえる世界、ベアラーという同じ人間を人間として扱わない世界、それがヴァリスゼアの暗部であり、国家、法律、治安維持、という当たり前の秩序が崩壊しつつある中で、自分達で立ち上がって自治をし必死に暮らしている人達はごく僅かでした。

 そんなヴァリスゼアという、法律もない、秩序も存在しない世界が、果たして人が人として生きていく上で正しい世界、健全な世界、と、言えるでしょうか? 物語の主人公であるクライヴと彼の元に集まった仲間達は、そんな世界は正しくない、という風に考え、ヴァリスゼアに生きる多くの人間に「理性」を与え、世界の「秩序」を取り戻そうと奮闘していました。
 
 秩序が失われた世界に秩序を取り戻し、人間が獣同然にならず、理性を持って人間として生きていける世界を取り戻す。それがFF16の主人公であるクライヴという戦い続けた男の一番の望みであり、信念でした。そんな彼の信念に、物語のヒロインであり、ドミナントとして非人道的な扱いを受け続けていたジルは強く賛同したからこそ、共に付いていこうと決めたのです。

 FF16の主人公、クライヴ・ロズフィールドは、自分が幸せになることよりも、世界の多くの人が幸せになれる世界を作ることを強く望んでいた、心が綺麗で、純粋で、そして誰よりも優しい男だったのではないか、と考えられます。純粋で心が綺麗であるが故に、自分が今生きている世界の異常性を許容することができず、こんな世界を変えたい、という想いも人一倍強かったのかもしれません。

 そんな純粋過ぎた男クライヴは、物語の最後で命を落としてしまいますが、彼は自らの信念を最後まで貫き通し、残された仲間達が「人間が獣にならならなくて良い世界、そして秩序のある場所」を作る、という自身の信念を形に出来たのか、どうかは明確には描かれておらず、プレイヤーの想像に委ねられていましたね。
 

正直な本音感想④とことん無駄をそぎ落とした先に産み出された圧倒的没入感

 FF16というゲームには、無駄がありません。
 それはゲームデザインにおいても、ストーリーにおいてもです。一般的なストーリー主導型のゲームであっても、冗長になると解っていても、より登場人物を掘り下げるため、蛇足かな、と思われる描写やモノローグ等、ぶっちゃてしまえば無駄な台詞、無駄な展開が多く挿入されがちです。ですがFF16では、こういうシーンを入れた方がより面白くなるかもしれないけれど、入れなくても物語は理解できる、という部分を、全て、「入れない」、もしくは「サブクエストに回す」、という判断をし、どんどん切り捨てていき、ゲーム全体のテンポを劇的に向上させ、プレイヤーを物語の世界に深く没入させることに成功させていました。吉田Pが発売前に語っていたようなジェットコースター感、小説で言うならば「読ませる力」が非常に秀逸なゲームでした。

 一般的に、購入したゲームをエンディングまでプレイする人の割合は高くありません。普段ゲームをしない普通の人はゲームを買って遊んでみても、なんとなく飽きてしまったり、クリア出来ずに挫折してしまったり、途中で満足してしまったりして、購入したゲームを最後までクリアしないものです。参考までに、国民的RPGで世間的に究極の神ゲーとも呼ばれているドラゴンクエスト11Sのクリア率を例に出しますと、PS4版では、実は36.6%となっております。
 
 ドラクエ11Sのクリア想定時間は100時間前後で、やり込み要素も多くあるため、他のゲームと単純比較は出来ませんが、国民的RPGという割には、エンディングまで自力で到達した人の割合は、そこまで高い数字とはいえません。
 ドラクエのようなコマンドRPGよりも難易度が高く純粋なアクションゲームであるFF16のクリア率は、発売から1年経たず、2024年6月現在で48%と、購入者の約半数がエンディングまでプレイしており、トロフィーコンプリートまで行った人は既に4%も存在しています。
 FF16と似たようなゲームデザインであり、やはり世間的に究極の神ゲーと称されるラストオブアスのPS3版のクリア率は、一番クリアが容易な難易度の初級で38.9%、標準的な難易度の中級で27.2%、上級者向けの上級になると極端に下がって、なんと僅か6.3%にまで落ち込みます。世間では神ゲーと高く評価されているラストオブアスではありますが、実は自力でエンディングまでたどり着けた人というのは、購入者全体の4割もいないんです。多くの人は、観るゲームみたいな、ムービーだけを切り取った動画のみでストーリームービーだけを観て、自分で遊んだような気分になっていたのだと推察されます。
 
 ウィッチャー3という世界的傑作RPGゲームを制作した開発者の方が、プレイヤーが自力でエンディングまでクリアしてくれない、と嘆いていましたが、ゲームクリエイターというのは、難しいゲームであっても、購入して遊んでくれるプレイヤーには、自力でエンディングまで観て欲しいと願うものなのでしょう。せっかく購入してもらったのに途中で投げ出されて難しい延々と批判されでもしたら、作り手としても辛いはずです。FF16の開発陣が最優先に考えていたことは、一にも二にも、とにかく、せっかくお金を出してFF16を買ってくれた購入者、一人でも多くの人に、とにかく自分の力でエンディングを観てもらいたい、自力で最後までクリアしてもらいたい、ということだったのかもしれません。
 ですのでFF16には本編とは一切関係のない釣りなどのミニゲームも無ければ、小さなメダルみたいな収集要素もありません。FF16は、本当にメインストーリーをガンガン突き進んでいき、ちょっと疲れたら息抜きにサブクエストやモブハント等を適当に遊び、エンディングを観たらそれで終わり、という、昨今ではかなり珍しい、ドライなゲームデザインをしています。
 ゲーマーの中には一つのゲームを長く楽しみたい、と、やり込みや寄り道要素を頑張る人もいれば、寄り道要素やミニゲームには興味を示さず、メインストーリーだけをガンガン進めて、クリアしたらささっと終わらせて早く次のゲームを遊びたい、と考えている人もいます。FF16は後者のように、とにかく色んなゲームをクリアして、とりあえずエンディングを観て終わりにして、次のゲームを遊びたい、と考えるようなゲーム好きな人にとっては、ある意味理想的なゲームデザインと言えるでしょう。仕事の都合上、あまり寄り道要素などに手を付けられず、ゲームのエンディングをリスナーに見せるのが使命のゲーム配信者のような人達にとっては非常に遊びやすく、ボリューム的にも、難易度的にも、配信などで遊びやすいゲームではないかな、と思います。
 昨今はあらゆるゲームがネットで配信される時代ですが、内容も知らずにただ観ているだけの人と、実際にプレイしている人、プレイした経験のある人とでは、ゲームに対する印象が異なってくるものです。
 同じボスに何時間も負け続けていると、観ている方は退屈かもしれませんが、プレイしている方は真剣ですし、戦っていて楽しいからこそ何度も繰り返し挑み続けられるんです。
 FF16を配信でストーリーを観ただけの人にとってはイマイチなゲームに思われるかもしれませんが、実際にこの手でプレイした私は、FF16を最後まで非常に楽しんで遊ぶことができました。

 プレイ中、色々言いたいことはあったとしても、エンディングまでクリアさせられてしまったら、それは開発者の思惑通りです。私もストーリーに関しては正直思うところはありました。私は普段小説を書いてはいますが、ゲームシナリオは門外漢ですので、ストーリーだけを切り取ると違和感は感じますが、ゲームという体験とセットにしてみていけば、これで正解だったのかな、とも考えてしまいます。この辺りは、現役のゲームクリエイターさんやプロのゲームシナリオライターさん等の見解が欲しい部分でもあります。ゲームを作ったことがない素人のゲーム好きの私には、一本のゲーム作品としては面白いと感じましたし、少なくともお金を払った分の元は充分取れたかな、と判断できました。素直にエンディングまでいってクリアしてしまった時点で、開発者の思惑通りに動いてしまった素直なプレイヤーの1人です。

 私は、このFF16のとことん無駄をそぎ落としたストーリーテリングとゲームデザインを「遊びやすい」と非常に高く評価しており、全体的にはやや薄味な感じも致しますが、昨今は、一つのゲームを長時間遊び続けられるほど時間に余裕があるゲーマーは多くないので、腹八分といいますか、短すぎず、かつ長すぎず、大体40時間程度でクリアできるボリューム感というのも、ユーザーフレンドリーだな、とポジティブに受け止めることが出来ました。

 最後に。
 
 FF16のゲームとしての特に優れた点を一つ挙げるとしたら、プレイしていてプレイヤーがストレスを感じやすい要素を極力排している部分でしょう。一般的に神ゲーと言われるゲームであっても、色んな意味でイライラさせられたり、ちょっとこれはストレスだな、と感じたりする要素のあるゲームは多いものですが、FF16は、プレイしていて露骨にプレイヤーがストレスを感じる要素が全くと言っていいほどなく、意図的に排除されているような感じもしました。ストレスが無さ過ぎて逆にストレスになるぐらい、FF16はストレスフリーなノンアルコールビールのような安心して飲める、遊べる良いゲームデザインでした。 
 世間では様々な意見が飛び交っているFF16ですが、まだ発売から一年経っておらず、この後もPC版の発売が控えています。PS5は世界で5000万台販売されており、FF16は出荷本数ではありますが、430万本出ているので、独占先行タイトルにしては、結構売れた方ではないか、と考えています。
 グラフィックも非常に美しいです。特に登場人物の肌の質感の表現は、とてもCGとは思えないような生々しさがありまして、ゲームもついにここまで来たか、とちょっと感動させられました。
 FFという「RPG」として評価すると色々違和感は残りますが、「FF16という一つのゲーム体験」としては極めて上質であり、私にとって、FF16は久々に夢中になってプレイ出来ましたし、エンディングまでクリアすることも出来たので、充分満足できました。既存のFFナンバリング作品の中でも、私の中では満足度は高いFFになりました。
 ダークファンタジーということもあり、良くも悪くも異質なFFでしたが、歴史の長いゲームシリーズの一作品に、FF16のようなゲームが存在してもよいのではないか、とFFガチ勢の私は好意的に受け止めています。

 ということで、長くなりましたが、FF16の感想は以上です。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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