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そとづらよしこ日記vol.1 ゴールデンとラブラドール

ライターの吉川しおりです。
梅雨どきにむし暑いのは犬も同じ。

平日8時ごろ、子どもを自転車で幼稚園に送ります。
途中の狭い路地に家2軒分くらいの空き地と畑があって、
少し離れたところから、じいさまとゴールデンレトリーバーが涼しい時間によく来ます。

じいさまは納屋から道具を出して畑仕事や果樹の手入れ。
ゴールデンは芝生をゆっくり歩いて、花のニオイを嗅いだり寝そべったり。
となりの家の台所の窓を見つめて物欲しそうな顔をしていることもあったので、以前美味しいものにありつけたことがあるかもしれません。

子どもとわたしは、ゴールデンに
「おはよう!」
と声を掛けます。

その日も空き地にいつものゴールデンがいました。
でも何かが違います。

ラブラドールになっていました。

じいさまに毛を刈られて短毛になっていたのです。
さらによく見ると脚の毛はカットされておらず、ゴールデンのなごりのまま。

ところどころ素人カットのラブラドールを見ていると、
表情筋の底からニヤニヤが止まらなくなります。

でもわたしは大人で、そとづらよしこ。
声に出して笑ったら失礼です。

じいさまの近くを通り過ぎるときは、
できるだけ涼し気な表情を浮かべて挨拶しました。
「おはようございます。暑いのにご精が出ますね」


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