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【百年ニュース】1921(大正10)4月14日(木) 戦後恐慌が深刻化し三井物産が300名(全社員の7.5%)の社員に自宅待機を命じる。米国各支店駐在員の1/3を本社召喚。特別手当廃止し給与は2~3割減。新卒は昨年の大量採用から一転し10名弱に。三菱も同様で,大卒の就職難が顕在化。

捨扶持社員が三井に三百 
「出勤におよばず」との辞令を渡し自然退社を待つ
手当減額の会議も近く 四千の社員大恐慌


昨年から吹きそめた財界不況の大暴風は各方面の事業に影響して今なお四苦八苦の銀行会社が多数であるが、日本有数の大会社三井物産もその御多分に漏れず、昨秋来経営は全く緊縮方針をとって雇員・店員の解雇も断行したが、昨今はますますその方針を露骨にして、手は社員におよび、東洋方面の支店はほとんど全部、米国は三分の一の社員を本社に召喚して、しかもその社員に「出勤におよばず」との辞令を交付、大問題は減俸案が近く開かれる支店長会議で決定されそうなことである。もっとも減俸と言っても本給から減ずるのではなく、戦時特別手当のうちから減ずるので、その率は2割ないし4割であるらしい。それにしても棒給と同額くらいの手当てが減ぜられるのであるから、これに対する社員の恐慌ははなはだしいもので、大分評判になっている。同社ではこれにより現在各支店ともに毎月欠損を繰り返しているのをいくぶん減少せしめようとするのであるが、関西方面の某高級社員は棒級返還説などを提唱して、会社の危機を救えなどと言い、他社員の反感を買っているが、とにかく去年まで他社員から羨望の的となっていた三井がこの始末であるのは、全く有為転変の世の中である。

東京日日新聞 1921(大正10)年4月14日

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私は1996年に新卒で三井物産に就職しましたが、そのときの同期は160名でした。昨年2020年の三井物産の総合職の採用は121名だったと報じられています。三菱商事が119名、伊藤忠商事が117名、住友商事がやや多く151名、丸紅は113名でした。現在は不況期であっても将来を考え、安定的に新卒採用をする企業が多いようです。


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