立ち食いそばの思い出
立ち食いそばか、駅そばか、「名称どちらが正解?」問題はありますが、日本にかかせないファストフード店、これは間違いないです。
お気づきだとは思いますが、うどんではなくそばなんです。
立ち食いうどん、とはたまに聞くことはありますが、駅うどんとは聞いたことがありません。
そんなことを言うのなら起源は調べたのか!とか、年間消費量や年間生産量をグラフで示せ!などと叱責されるわけですが、今更これらの名称をうどんに改めようという動きはないでしょうからこのまま進めます、ハイ。
さて、言いたいのは、お品書きのことです。
「なぜコロッケそばがない店があるのか!」ということなんです。
天ぷら、きつね、たぬき、山菜、かき揚げ、わかめなどは、まあレギュラーです。一軍ですね。
ところが、コロッケに関してはベンチにも座っていないことがあるわけです。夜だけ販売とか、常連さんのための裏メニューというわけでもなく、そもそも存在しない店が多いわけです。これはいかがなものか。
では、これほどまでにコロッケそばに執着するのはなぜか?
初めてコロッケそばを食べたのは、阪急電車の某駅の高架下にあった店です。横に5.6人並ぶといっぱいという狭い店でした。
目の前の棚に、醤油の一升瓶が並んでいた記憶があります。
名前は忘れました。
学生だったため、いつもお腹がすいていました。
たまたま立ち寄ったその店で、コロッケそばを注文しました。
ツユが少し甘くて濃いのがその店の特徴でした。
目の前に並んでいた醤油がいい仕事をしていたのだと思います。
食べていると、コロッケにこの甘めのツユが少しずつシュンでブヨブヨに、そしてジャガイモがツユに溶け出すわけです。
そばが減るたびに、少しずつツユは濁ってくるわけです。
それは圧倒的な魅力を放っていて、最高にうまいそばでした。
一滴のツユも残さなかったです。
薄く切ったかまぼこと刻みネギが、盛り上げてくれていたと思います。
何度も食べたこのコロッケそばですが、久しぶりに行くと、閉店していました。
その後、立ち食いそばに行くたびに、コロッケそばを見つけると注文するわけですが、あの甘めのツユとのコンビネーションには出逢えていません。
もう逢えないかもしれない
(by 菊池桃子)
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