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今年読んでよかった絵本 2023

こんにちは、絵本作家のまえだよしゆきです。

今年も残すところわずかですね。
振り返りも兼ねて、2023年に出会った絵本の中で、特に印象深かった絵本を紹介しようと思います。

よろしければご覧ください↓


1冊目「びんにいれてごらん」

アメリカの絵本作家、デポラ・マルセロさんの絵本です。
歩いた先で拾った落ち葉から始まり、見た景色や体験したこと、過ごした時間を瓶に入れては思い返す、そんな主人公のお話です。
また、瓶に入れた思い出の記憶は、自分のためだけでなく、大切な人と通じ合うためにも大切なことなのだと伝えてくれます。
意識しないとただ通り過ぎてしまう日常の中にも、覚えておきたい瞬間は必ずあって、それは手間を惜しまずに記憶したいなと、改めて感じさせられる絵本でした。

キャラクターはウサギのような出立ちで、大きい紙面の中に、ポツンと描かれています。
感情を顔だけでなく身体全体で表現していて、その姿を見て、どこか切なさも感じます。まるで、逃れられないような時の流れに対して、どこか争っているような、ちょっと無情な感じ...そんな雰囲気も感じました。

お話の流れも、絵も魅力的で、誰かにおすすめしたい絵本でした。

「びんにいれてごらん」の表紙

「びんにいれてごらん」
作:デボラ・マルセロ
訳:なかがわ ちひろ
出版社:光村教育図書


「びんからだしてごらん」

続編の「びんからだしてごらん」は、感情をどんどん瓶に入れた子のお話です。
「瓶に入れることは良いことなのだけれども、自分の意思に反して入れてしまうのは違うよ」そんなメッセージを感じた絵本でした。

「びんからだしてごらん」の表紙

「びんからだしてごらん」
作:デボラ・マルセロ
訳:なかがわ ちひろ
出版社:光村教育図書


2冊目「でんしゃにのったよ」

電車を乗り継いで、東京のいとこに会いに行く様子を描いた絵本です。
2両編成の電車から、貨物列車、新幹線など、たくさんの電車と街や駅の様子が描かれています。
そして、その中で動く人の様子も、「それあるよね〜」と微笑ましく感じました。

子どもに読み聞かせると、新幹線が出てくるページで必ず「シンッカンッセーン!」と言うのが定番になりました。

絵がとても綺麗で、電車が緻密に描かれつつも重すぎない、まるでダシがしっかりしたお吸い物をいただいているような、とてもスッキリとした印象です。
また、ページをめくっても世界が途切れないちょっとした工夫がされていて、どこか宝探しのような感覚にもなります。
作家視点からとしてもとても勉強になる絵本でした。

「でんしゃにのったよ」の表紙

「でんしゃにのったよ」
作:岡本 雄司
出版社:福音館書店


「くるまにのって」

続編の「くるまにのって」は車のお話です。
おばあちゃんの家を目指して、街中から山を越えていきます。
道中出会うのは、バスやトラック、救急車やブルドーザーなど、たくさんの車たち。
「でんしゃにのったよ」を読んでいると気づく隠しネタもあったり、見応え十分な絵本です。

「くるまにのって」の表紙

「くるまにのって」
作:岡本 雄司
出版社:福音館書店


3冊目「ゆびでさわって どこかな? えほん ぞうさん」

穴や溝がたくさんあって、ページの形もバラバラな絵本です。指で触りながら遊ぶ絵本ということで、触感を出すことにこだわりを感じます。そして、絵がとてもカラフルで、植物や動物が豊かな表情で描かれています。

「ぞうさん」の表紙
表情にも穴や溝がいっぱい

深い穴から浅い穴まで、紙をうまく重ねて、触感のバリエーションが豊富です。驚いたのが、穴は2〜3箇所のレベルではなく、ページ全体にわたってあることです。「こんなところにも⁉︎」そんな
驚きがたくさん詰まってます。

模様をよく見ると穴が!

「 ゆびでさわって どこかな?えほん ぞうさん」
作:サム・タプリン
絵:エミリー・ダブ
出版社:岩崎書店


「ゆびでさわって どこかな?えほん」シリーズ

このシリーズは「ぞうさん」以外に、「うさぎさん」や「きつねさん」など、合わせて5冊あります。どれもかわいいです。

シリーズは全部で5冊


4冊目「くもさん おへんじ どうしたの」

最後はエリック・カール作の「くまさん おへんじ どうしたの」です。
さわる絵本を作り始めるときに集めた絵本の内の一つで、この絵本は触るだけでも内容が把握できる、とても驚きのあった絵本です。

「くもさん おへんじ どうしたの」の表紙

蜘蛛と糸に膨らんだインクが使われていて、指先で感じることができます。
ページが進むにつれて変わっていく蜘蛛の巣の形が、絵を見ずに手で触れただけでも、しっかりと伝わってきます。
シンプルな方法なのですが、だからこそ強くメッセージが伝わるものになっているのかなと思います。

蜘蛛と糸にでこぼこが

「くまさん おへんじ どうしたの」
作:エリック・カール
訳:もり ひさし
出版社:偕成社


おわり

以上、4冊を紹介しました!
今年も素敵な絵本に出会えて、よかったです。
ぜひみなさんも絵本を見かけたら、お手に取ってみてください!


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