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なんも決めずに名古屋に行ったっていいんだ

旅行に行った。

出発は東京駅から、ということだけ決めてたけど、行先は決めてなかった。

GWの一週間後ということもあって人が少なくてよかった。

たしか10時ころに東京駅について、乗れそうで一番早い新幹線が大阪行だった。
大阪は何度か行ったことがあるから、途中の名古屋を行先に決めた。


昼頃に名古屋駅に着いた。暑い。というか、空気がぬるい感じがした。

思った以上に名古屋は栄えていた。

別に舐めてたわけじゃない。だけど僕は東北の生まれだったからなじみの都会といえば仙台だったし、大学時代は札幌で過ごした。今は東京に住んでいる。

だから、あんまり西の様子を想像できてなかったんだと思う。

僕にとって日本の西で栄えているのは京都・大阪くらいのイメージだった。

名古屋はTOYOTAで経済も人口も観光をも維持している工業都市くらいのイメージだったんだ。

ところがどっこい、名古屋は大都会だ。

でっかいビル、多すぎる人、看板もなんていうか現代的で、きぬた歯科みたいなビビットな色合いじゃない、なんていうかパステルっぽい色合いのものが多くて都会的だ。

行きかう人も都会的である。高い鼻、長い脚、テロテロのカーディガン、高そうなバッグ…筋肉質な男はみんなぴっちりしたTシャツを着ているが、なぜか乳首は浮き出ていない。

ここまで読んで気づいた人もいるだろうが、僕の「都会観」はけっこう古いと思う。

なぜって、思い切り田舎育ちなのだ。中高時代、デートスポットといえばイオンだった。古い名前でジャスコ。

ちなみに僕はイオンでデートしたことはない。そもそも中高時代にデートしたことが、ない。


目的もなく、歩く。

暑い。カフェに入る。アイスコーヒーを注文した。

アイスコーヒーがでてくるほんの1分の間にメニューを見直していると、小倉アイスコーヒーってのがあった。
いかにも観光客向け、これ頼むんだったな。あんこ好きだし。


昼は味噌カツを食べた。美味い。本当に美味い。

味噌ダレは定員さんが目の前でかけてくれる。ちょっとかけすぎなんじゃないかと思った。僕の血圧は上が120。まだ正常とはいえ、そして今は20代とはいえ、油断してはいられない数値だ。塩分の取りすぎには注意したい。

だけど、それを補ってあまりある美味さだ。

味噌ダレは、どぎつい色合いほどしょっぱくなく、むしろ甘かった。
イイ感じの駄菓子感覚。ごはんが進む。衣には、タレがかかってしっとりした部分と、タレにまみれずサクサクの部分が混在し、それがまた食べ飽きない。

赤味噌の味噌汁もうまかった。これはさすがにちょっとしょっぱすぎる気がしたが、いい出汁だった。

ごはんがたりず、お代わりして店を出た。満足だ。


急激な血糖値の上昇で少し眠くなったが、歩く。

と、明らかに空気が変わる。

ははあ、風俗街だなこりゃ。

大学時代は札幌で過ごしたのだ。すすきので、風俗街に迷い込んだ時のあの感覚には慣れている。

さすがは名古屋駅。こんだけでかい駅のすぐそばに風俗街があるなんて。すすきのと比べればこじんまりしてるけど、すすきの風俗街はもっと札幌駅から離れていた。

思わずいろいろ物色してしまう。が、あまり風俗街できょろきょろしながら歩くのはおすすめしない。キャッチの格好の的だからだ。

…ところが昼ということもあってかキャッチはぜんぜんいなかった。

これは意外だった。ただ、運がよかっただけなのかもしれない。


一通り名古屋駅付近を散策した。

ふと、名古屋城を見てみたい、と思い立ってGoogleマップを開く。

歩いて30分くらいでいけそうだ。電車を使ってもなんだかんだ25分くらいかかるようなので、もう歩くことにした。

のんびりと、気になるものがあれば迷わず足を止めて歩いたので、名古屋城に着いたのは大体15:00くらいだったと思う。

観覧料は500円。IDが使えて嬉しかった。

なかなか広かった。名古屋城のふもとに行くのも、結構歩いた。
でかかったし、天守閣には本当にしゃちほこがいた。

写真の一枚でも撮ればよかったな。

ただ、歩くとけっこう坂も多くて、そんなにじっくり見ずにまた名古屋駅に向かった。


少し早めの夕飯はきしめんにした。

吉本浩二先生の『定額制夫のこづかい万歳~月額2万千円の金欠ライフ~』の第9話で登場した、ステーションバーの怪人・村田が毎日昼に食べているというアレだ。
ステーション・バーに関しては調べて実際に読んでもらった方が怖いと思うので、ここでは詳細を省く。以下リンクなどで調べてほしい。
ちなみに僕はこの話のせいで、若干関西人が怖くなった。

吉本先生のTwitter(現・X)
ステーション・バーとは(ニコニコ大百科)

きしめんはうまかったし、安かった。
うどんより腰があって、実直な味がした。


駅の売店でプレモル1本と各ハイボール500ミリ1本、そして適当なつまみを買って新幹線に乗り込む。

最近、新幹線で晩酌するのが楽しみになっている。ただ、酒臭くなって隣に迷惑をかけないかだけが心配だ。

幸いにも隣の先は煙草くさいおっさんだった。座るなり勢いよくハイボール缶をあけて、チーカマを食べ始めた。

よかった。これなら僕が隣でお酒を飲んでても、不快な気持ちにさせることはないだろう。

新幹線が動き出す。日帰りだし、なんの目的もなかったけど、いい旅行だった。

会社ではいつだって、KPIもスケジュールもコストも人員も求められる。
会社が利益をだして、そこから僕の給料が出てる以上、そういう管理を批判したいわけじゃない。むしろ自分の思い付きで行動する方が不安だ。

だけどやっぱ息苦しいときはある。

だから一人の旅行くらい、本当になんも決めずに行ったっていいんだ。
名古屋の観光地全部回れなくても、とりあえず思い付きで行動するのも結構楽しいもんだ。
じゃなきゃ風俗街じっくり探検なんてできなかったよ。

今度はガールズバーくらい行ってみたいな。
実はそういうお店一切行ったことないんだ。

お酒を飲み終わって寝ようとうとうとしてたら、東京に着いた。
名古屋って案外近いんだよな。

今度は計画をたてて、また行こうと思う。
いい休日だった。と思う。ありがとう名古屋。ありがとう味噌カツ。



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