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 あらゆるすきまから地獄が延びているという。と言ったのはツグミだった、あらゆる間と間の空っぽのすきまにはわたしがいますとトラツグミは言うのです、わたしわ、と猿が大層可笑しそうに言うので、わたしたちもわたしたちもと、アオダイショウは滑り込んだすきまには幾重もの根が折り畳まれて教会の屋根のような厳かさを私に感じさせたのです。
 芸人は滔々としゃべり続けていました。蛇が空腹のあまり自らの尾に喰らいついて、最後には手前自らの「のど」までもを食べてしまったという落語がありますが、と私は続けた、この芸人の話芸の巧みなことはくり返し私は私みずからについて語るなかで、とわたしたちは喋りました、私からどんどん、どんどんと離れ、遠離っていき、満天した屋外この劇場を臨む星空のように芸人の語る言葉は千々に、幾万も、幾万もに千切って、ついには芸人を消してしまったと言うのですと言った。芸人は、と芸人は言ったがそれは声でなく満天の星空しかなかった。一心不乱に、取り乱して明滅をくり返していた言葉たちの様に。わたしたちだった芸人の身振り、手振りは、世界じゅう(!)あらゆる間と間、あらゆるすきまに差し延べられる。またたきの一つ一つ、雨のひとしずくずつ、砂の一粒一粒にある途方もない景色でした。

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