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時代の潮流

世界の株式市場は、依然として不安定であり、今後の見通しも識者の中でも意見が大きく分かれています。今回の世界的な株式の下落が「バブル崩壊」であるのかどうかは見方が分かれるところですが「○○バブル」とは私が知る限りまだ命名されていません。

1999年から2000年初頭に起こった「ITバブル」又は「ネットバブル」は記憶に新しいところです。バブル崩壊により当時の米国NASDAQ指数は約70%下落していますから、今回の下落幅はそれに比べたら現時点では小さい(約30%)とも言えると思います。GAFAMは、ITバブルの時点で、アップル上場企業(設立1977年上場1980年)、マイクロソフト上場企業(設立1975年上場1986年)アマゾン上場企業(設立1996年上場1997年)、アルファベット未上場(設立1998年上場2004年)、メタ未上場(設立2004年上場2012年)でした。

メタを除いてITバブル時には設立されており、アルファベットとメタを除いて上場企業でした。当時上場企業であったアップル・アマゾン・マイクロソフトの株価も暴落しています。しかし、GAFAMは今でも企業は存続し、巨大テック企業として時価総額でも上位を独占しています。生き残っただけではなくITバブル崩壊後はその成長速度を加速させ現在に至っています。

そもそもバブルは有名なオランダの「チューリップバブル」などに代表される「現実的ではない幻惑」によって起こるものです。上がるから買う、永遠に上がり続けると信じてしまうことにより発生するわけですから、崩壊すれば当該投資対象は二束三文(常識的な価格)になるということでもあります。一方で「ITバブル」は同じバブルであっても、当時のIT上場企業が「すべて二束三文」になったわけではありません。もちろん、消滅してしまった企業も数多くありますが、アップル、アマゾン、マイクロソフトに代表される(非上場であったアルファベットも含めるべきだとは思いますが)ような企業が存在していることに注目すべきだと思います。

この背景には「時代の潮流」があると思います。バブルは「行き過ぎ」でもあるわけですから、行き過ぎはいずれ修正されます。しかし「ITバブル」のようなバブルは「時代の潮流」の中での「行き過ぎ」なので、崩壊して消滅する企業や大損する投資家は確かにいますが、すべてが無くなるわけではなく、かならずそこを乗り越えて「時代の潮流」の中で新たな成長を成し遂げる企業が出てくるということだと考えます。
今世紀の「時代の潮流」は間違いなく「テクノロジー」であり、ITでもAIでもバイオでも温暖化対策でもすべては「テクノロジーの進化」が根底にあり、世の中や人々のニーズを捉え、それを実用化してマネタイズできる「本物の企業」は必然的に生き残ることができ、成長することができるのだと思います。

アルファベットCEOのスンダー・ピチャイ氏は最近のインタビュー(東洋経済)で次のような話をしています。「パンデミックやロシアのウクライナ侵攻、サプライチェーンの混乱、インフレ、世界の中央銀行による金融引き締めなど、さまざまなマクロ経済の変化を潜り抜けないといけない。こうした状況はマクロ経済全体だけではなく、テクノロジー業界にも及ぶだろう」

「ただこの状況下でも新たな会社が続々と生まれている。技術革新は経済に貢献しリアルな価値を作り出してきた。私は長期視点で、テクノロジーがもたらす可能性を強く信じている。景気の循環の深さや期間は誰にも予測がつかないが、常に起こるものとして取り組まなければならない」直近で50兆円以上の時価総額を失っても、長期視点でやるべきことをやり続ける姿勢や信念が「巨大テック企業」を存続させているのだと感じます。

同じインタビューの中で、最近のアルファベットがハードウェアも強化していることに関して「われわれは初めからテクノロジーに深く取り組む企業だった。検索を開発した当初から、独自のサーバーやデータセンター、ネットワークのルーターでさえ作ってきた。ソフトウェアを動かすためのハードウェアを作ると言う伝統が常に受け継がれてきた。それが創業者達がやってきたことだ。今や会社の核となっている」と話しています。


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