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イオンの株価評価

イオンの株価について、アナリストの見方が大きく二つに分かれています。アナリストは「目標株価」を示すのが一般的ですが、国内証券のA証券のアナリストは目標株価3,150円(12月3日現在2,708円)、外資系証券のB証券のアナリストは目標株価1,300円を示しています。

私の知る限り、アナリストの目標株価がこれだけ乖離することは超稀なケースだと思います。

イオンの株価はPERでは元々評価できないという現実もあります(12月3日現在PER114倍)。株主優待制度が日常の買い物をイオンでする消費者(投資家)にとっては極めて魅力的な制度になっているからです。

100株(仮に1株3,000円として30万円)保有していると、イオンで買い物した金額に対して(6か月100万円が上限)3%の返金を受けられる制度を導入しています。1,000株(同300万円)なら5%の返金など株数に応じて最大7%の返金が受けられる制度となっています。

仮に100株30万円で年間で200万円買い物すれば最大6万円返金を受けることができ利回りは20%になります。さらに年間配当が3,600円(税込み)あります。

イオンの個人株主比率は約30%超あり、市場で流通していると推測できる約70%の4割超を占めており、優待目当ての個人株主は、イオン株を継続保有していると思われます。すなわち株価変動には無頓着とも言える投資家がいるということでもあります。

(イオンの収益率の低さは、当該優待制度も一因であると推測されますが(個人株主が約73万人いますので平均で一人あたり年間1.5万円(30万円投資して利回り5%)返金をしたと仮定すると約110億円になります。正確な会計処理は不明)、売上高と株価維持への貢献及び金融事業への貢献のために継続していると推測することもできます。イオンは連結ベースで有利子負債は約3兆円弱あり、かつ自己資本比率8.5%程度ですので、株価が下がることは信用不安に直結するという事情もあります)

話をアナリスト目線に戻すと、A証券のアナリストは①低価格路線を維持している(顧客は支持続ける)②環境貢献会社としての高い評価③デジタルで生産性を高める戦略などを評価しています。

一方のB証券のアナリストは①営業収益の30%を稼ぎ出すGMSの赤字が止まらない②自己資本利益率2%程度③一方でPBR2.3倍程度は割高である(BPSは1,155円)などを指摘しています。

どちらが正しいかをここで論じるつもりはありませんが、A証券のアナリストはイオンの株価特性を踏まえた上で「期待感」を抱いており、B証券のアナリストは「現実の数字を極めてシビアに見ている」と言えると思います。

しかし、客観的に見れば「成長力」と「収益力」を実績や将来展望で示すことができていないというのが現実だと考えられます。

 

イオンの各事業は「小売業」を中核として派生した事業(周辺業務)で構成されています。金融や不動産を中心に各事業の相乗効果は十分に見込まれますし、その点では実績も伴っています。

しかし、中核事業が赤字又は低収益・低成長では、この先の展望が開けないという目線もあると言うことだと思います。

実現性は乏しいとは思いますが、GMSを売却して、金融と不動産の子会社を100%子会社にして存続したほうが魅力が増すと言ってるようなものであると感じます。 

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