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●好意の返報性
以前、私はある病院で認知症専門外来をやっていました。
この外来は、通称「もの忘れ外来」と呼ばれているところで「最近、もの忘れが進んできたのですが」という方が来られるほか、認知症患者の介護をしている家族も相談に訪れます。
介護に抵抗したり、興奮したりする認知症の患者さんの介護は、想像を絶するほど苦しいものです。
その介護が今後何年続くかわからないという不安もあります。
認知症のお舅さんを介護しているお嫁さんから、相談を受けました。
いくら介護をしても、悪口や嫌味、悪態ばかり。
黙って介護されていればなんとか頑張れるものの、精神的にも限界だと。
そこで私は彼女に「そんなあなたの、介護したくなりという気持ちが、お舅さんに伝わっているのではないでしょうか?」と質問しました。
彼女は無言になってしまいました。
介護でも「返報性の法則」は存在します。
イヤイヤ介護していると、それは介護される側にすべて筒抜けになります。
結果として、それが介護への抵抗、悪口や悪態、興奮や暴力など、「悪意の返報性」としてかえってくるのです。
介護する人が心から明るい気持ちで介護していると、介護される側も明るい気持ちになって、気持ちよく介護を受けてくれるのです。
そこで、彼女にアドバイスしました。
1週間だけでいいので、「お舅さんと初めて会った」と思い込んで心の中を空っぽにしてください。
そして、心を込めて、献身的に、笑顔で介護してください。
彼女は最初「そんなことはできません!」と否定的な態度を示していましたが、「1週間で、必ず相手の態度は変わります」と私が断言したのを聞いて、「それなら、なんとかやってみます」と言いました。
1ヵ月後に彼女が来院しました。
陰鬱な表情はどこにもなく、笑顔で言いました。
「おじいちゃんが変わりました!」
数年の介護の結果、悪口や悪態が日常的となり泥沼となった嫁舅関係。
それが、「好意」を持って1週間接しただけで、お舅さんの態度は柔らかになり、悪口や悪態もなくなり、最期には「ありがとう」と感謝の言葉まで口にしたのだそうです。
「好意の返報性」は、非常に普遍的な心理法則ですから、認知症になって理解力の低下した方にも、すべての人に効果があるのです。
重要なのは、最初に「悪意」を引き下げて、「好意」を差し出すのは、自分でなければいけないということです。
言うのは簡単ですが、これはとても難しい。
なぜならば、既に泥沼の関係になっているということは、「悪意」と「悪意」のキャッチボールをしている「悪意の返報性」にすっぽりとはまった状態です。
その状態で、いきなり「好意」を投げるのは、相当の勇気と思い切りが必要となります。
しかし、このように「悪意」を「好意」に変えることによって、人間関係をリセットすることは可能です。
私の経験では、このアドバイスを受けて、きちんと実行した方は、すべて成功しています。
あなたも、泥沼の人間関係を「好意の返報性」によって覆すことが可能なのです。
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