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「無性に食べたくなるもの」に関する考察

読者のみなさまには、ふと無性に食べたくなるものはあるだろうか。
ラーメン、マクドナルドのハンバーガー、牛丼…私の場合、なぜかわんぱくでハイカロリーなものばかりが頭に浮かぶ。

でも、なぜ食べたくなってしまうのだろうか。
最初は「イライラしている」「煮詰まっている」「悲しいこと、悔しいことがあった」といった、自分のみで完結させることが難しい感情を処理するためなのではないかと思っていた。
私は研究者ではないので過度な分類や分析は苦手な方なのだが、あえてジャンル分けするとすれば「やけ食い」である。

しかし私の場合、無性に特定の食べ物を欲するシーンはそれだけではないから、最初に挙げた理由では説明がつかなくなってしまう。
では一体なぜなのか。
それを少しばかり考えてみたい。


1.子ども時代から慣れ親しんだものである確率が高い

まず、自分が無性に食べたくなってしまう食べ物の共通点を考えてみることにした。

私の場合、最初にあげたラーメンや牛丼、ハンバーガーは子どもの頃から慣れ親しんだファストフードの商品がほとんどだ。
そして、そのすべてに良いイメージを持っている。
(「ファストフードは食品添加物のオンパレードなんだから、そんなふざけた幻想は捨てろ!」とか、「そんな食生活をしたらガンで死んでしまうから、今からでも無添加のものを食え!」といったコメントをしようと思った方は、ぜひ「阿呆の戯言」と心の中で思うだけにしていただけますと幸いです。価値観は人それぞれですから。)

ここでは一つの例として、私が覚えている限りで最も古いマクドナルドの記憶を少し述べてみよう。
1991年生まれの私がよく覚えている子どもの頃のエピソードは、1998年に行われた長野オリンピック以降くらいのものが多い。
それを裏付けるように、私が覚えている限りで最も古いマクドナルドの記憶は、両親に買ってもらったハッピーセットのおもちゃが赤いボブスレーだったことだ。
それと同じ頃かは覚えていないが、同じくハッピーセットを買ってもらった後に京王相模原線の駅(おそらく京王堀之内駅)でおもちゃを落としてしまい、後から気づいて車内で号泣したこともよく覚えている。

このように子どもだった自分の記憶とファストフード類は、強く結びついている。
そして、記憶に残るおもちゃと当時の世情がリンクするのも面白い。

2.原点に立ち返りたい時、地元飯を欲する

自分の仕事やプライベートにおいて、少し立ち止まって考えたいことがある時にも無性に食べたくなるものがあるのではないか。

ふるさとがある人は、地域の特産や地元の名物店の料理を食べたくなることもあるだろう。
私も、その点では思い当たる節がある。

私は神奈川県横浜市の北部で育った。
駅前に行けばスーパーやコンビニ、ファストフード店といったチェーン店があり、大抵のものは揃う。
しかし、それ以外にも心に残るお店は多いのだ。
私の場合どちらもテイクアウト専門だが、焼き鳥が中心の惣菜店と、中華系の弁当店が目に浮かぶ。

惣菜店は駅からスーパーに向かう路地に入ったところにあり、焼き鳥やコロッケなどを販売していた。
子どもの頃はここのつくね串が好物で、よく買ってもらったのを覚えている。
現在は居酒屋や焼き鳥店でつくねを頼むと串に棒状になったものが出てくることが多いが、この店のつくねは肉団子状になっているのが特徴だ。
購入時にはタレも別袋で添付され、かなりサービスしてくれるのが嬉しい。
帰った時に冷めていたら、大皿に並べた後にレンジでチンして食べたのも楽しい思い出の一つである。
クリスマスには、骨付きの鶏もも肉を焼いて甘辛い味付けをした「もも焼き」というメニューを買うことが多かった。
骨付きということもあってちょっとした特別感があり、これも美味しい一品である。

中華系の弁当店は駅から10分ほど歩いたところにあり、まさに地元の人気店であった。
そのまま注文しに出かけても待たされてしまうか、最悪作ってもらえないことがあるほど繁盛している。
ここで私がつい頼んでしまうのが、唐揚げ弁当。
550円を支払うと、弁当ケースから溢れんばかりの大きい唐揚げが目を引く。
テイクアウト店だから大抵は家で食べるのだが、家で食べても熱々である。
そして、味付けも最高だ。
実家に帰るたびに食べたくなってしまうし、コストパフォーマンスの秀逸さに毎度驚かされる。

ああ、書いているうちに食べたくなってきた。
今度実家に帰ったら、どっちも買いに行こうかな。

3.食と記憶の相関と面白さ

改めて「無性に食べたいもの」について考えてみたが、書き進めるうちにさまざまな記憶が思い起こされて非常に面白かったし、人生のワンポイントな記憶に食べ物がここまで残っているものなのかと驚いた。
大人になって北海道に引っ越した今も、「無性に食べたいもの」は増え続けている。
旅先で食べる美味しいご飯も最高なのだが、私が無性に食べたくなるものは地元のご飯やどこでも食べられるチェーン店のものが多い。
それでも増え続けているのは、きっと北海道が自分にとってホームの一つになっているからなのだろう。

自分が安心できる食べ物を食べて、少し気持ちを前に進める。
この循環を、また続けていこうと思う。

ちなみに、今は生姜焼きのタレとマヨネーズが混じったキャベツが食べたい。

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