株のPERをしょぼいSF物語にたとえて解説してみたんでよろしく
株について学び始めるとPERだのPBRだのROEだのなんだかDAIGO氏みたいな言葉がいっぱいでてきて混乱します。
今日はその中のPERについてざっくりシンプルに解説してみます。
PERとは式にすると株価÷1株益となります。
株価は1株当たりの価格。
1株益は、1株の1年あたりの利益で、純利益をすでに発行された株の数で割ったのものです。※1株あたりの配当ではありません。
PERによって株価が1株益の何倍なのかがわかります。
何倍なのかが分かったからって一体何なのという方は次の架空のお話に付き合ってください。
※ここではシンプルに説明するために税金などの計算をややこしくする要素はなしとします。
カブゾウくんはひょんなことからワープして違う星に来てしまいました。
その星にも知的生命体が住んでいて、しかもどうやら地球よりかなり文明が栄えているようです。
カブゾウくんはショックで泣いていると、そこで勝手に働いてお金を稼いでくれるロボットが発売されて流行っていることを知ります。
「なんだよこれマジやべえ!」
色々調べた結果、次の2種類の売れ筋ロボットが気になりました。
ロボットA:価格は3000万円。1年で300万円稼ぐ。
ロボットB:価格は6000万円。1年で300万円稼ぐ。
カブゾウくんは「そうだ!」とひらめいて、この数字から何年で元がとれるかを計算します。
ロボットA:3000万円÷300万円=10年
ロボットB:6000万円÷300万円=20年
これによってロボットAの方が元をとるのに短い期間ですむことがわかりました。
えっ?なんで違う星なのに通貨が円なんだよって?
なんかたまたまそこでも円だったんです……(てきとー)
さて、これを株に置きかえると、
株A:1株1000円。1株、1年で100円の利益。
株B:1株2000円。1株、1年で100円の利益。
この数字から何年で元がとれるかを計算します。
株A:1000円÷100円=10年
株B:2000円÷100円=20年
といった感じになります。
つまりPERとは「何年で元がとれるか」を表しているものということがまず言えるわけです。
※元がとれるといっても、それがそのまま丸ごと株主に還元されるという意味ではありません。実際には、株価は様々な要因で変動し、またどれくらい配当を出すかも企業によって異なります。
これだけを見ると、元がとれる年数が低い方がお得感がありますよね!
しかし、この数値が高い低いだけで良し悪しが決まるわけではありません。
どういうことでしょうか?
先ほどのカブゾウくんの話の続きを見てみましょう。
「じゃあロボットAの方がお得じゃん。よし、ロボットAを買おう!」とカブゾウくんが思ったときに、ロボットBはアップデートされるたびにどんどん稼ぐ金額が増えることを知ります。
ロボットAにはそんな機能はなく、せいぜいアップデートといってもバグを解消する程度のものです。
先ほどの計算では、ロボットAは10年で元がとれて、ロボットBは20年で元がとれるとでましたが、ロボットBの年収は増えていくので、もっと短い期間で元がとれることになります。
1年あたりの稼ぎが500万、800万、1000万……と増えていけば、ロボットAよりも短い期間で元がとれる可能性があることになりますよね。
メーカー側の推測では、100%とは言い切れないが、おおむねAよりも良い結果になるだろうとしています。
うまくいけば、最初は割高に見えたロボットBの方がお得になる。
だから高い価格で売られていても人気だったのです。
言い換えれば、6000万円というのはもっと稼げてお得になるという期待を込められた価格設定であったと言えますよね。
でも、確実にいくら稼ぎが増えるというのは分からないので、ある種賭けであり、ロボットAよりも元をとるのに長い期間がかかってしまう可能性もないわけではありません。
カブゾウくんは迷ってしまいます。
これと同じようなことが株価にも起こっているのです。
たくさんの投資家たちが「この会社はこれからどんどん伸びる!」と思って、「高くてもいいから私にも売ってよ!」、「もっと出すから俺にも売ってくれ!」と殺到すれば、株価は上がりますよね。
そうすると同じ1株益でも、人気のない株と人気のある株では株価に差がつき、PERに差がつきます。
そうです。PERとは「何年で元がとれるか」を表すものでありながら、「投資家たちからの期待や人気」と連動している指標でもあるのです。
つまり、
PERが高い=期待や人気が高いから割高
PERが低い=期待や人気が低いから割安
と考えることができるのです。
PERが高いのは、これから来る企業だけではありません。
すでに有名な大企業が純利益を落とした場合で、「今は業績落ちてるけど、これからちゃんと回復するだろう」とみんなが期待していれば、PERが高くなることもあります。
また、買いたい投資家が殺到して株価が上がった株でも、成功して伸びていくものもあれば、期待に応えられず株価が下がっていくものもあります。
というわけなので、PERの高いものが必ずしも伸びていくわけではありません。
これらのことからPERが低いから良い、高いから悪いとは言い切れないのです。
したがって、PERというのは1つの指標であり、それだけを頼りにして判断できるというものではありません。
ここで、またカブゾウくんの話に戻りましょう。
カブゾウくんは、ロボットAにすべきかロボットBにすべきか決めきれずにいました。
ふとなんとなく、「もしかしたらもっともっとくまなく探せばもっといいロボットあんじゃねえ?」と思い、ネットで検索しまくります。
そこで見つけたロボットC。
価格は2700万円。1年で300万円稼ぐ。そして、なんとアップデートされるたびにどんどん年収が増えるとあります。
「きたーーーー!!」
ロボットA:価格は3000万円。1年で300万円稼ぐ。年収アップ機能なし。
ロボットB:価格は6000万円。1年で300万円稼ぐ。年収アップ機能あり。
ロボットC:価格は2700万円。1年で300万円稼ぐ。年収アップ機能あり。
踊りながら喜ぶカブゾウくんでしたが、突然ピタッと静止します。
「いや、でも待てよ。なんでこんなにロボットBより安いんだ?」
そうです、上記の情報だけ見ればロボットBと価格以外は同じです。
それどころかロボットAより安い。
なんか怪しい……
そこで気になって調べてみると、ロボットCのメーカーはあまり有名でないことが分かりました。
欲しい人もあまりいないのでこのような価格設定になっていたのです。
もし不良品なら、稼ぎが増えるどころか故障して、初期設定の300万を下回るかもしれません。
それから、不良品でなくても、どれだけ稼ぎがアップするかは不確実なので、将来的にはロボットBよりもお得になる可能性もあれば、そうでない可能性もあります。
しかし、カブゾウくんは偶然ロボットCの開発者と知り合いになり、彼がとんでもない天才であることに気づきます。
彼は周囲の人間からの評判もよく、今は知名度が低いけど、密かに数名の著名人からの支持を得ていて、いずれひのき舞台に立つだろうと言われていました。
カブゾウくんはロボットCの可能性に賭けて購入することに決めたのです。
また、そこには「ロボットCが有名になれば、こんな値段では買えなくなるからモタモタしてらんないぞ」という心理も働いていました。
実際の株においても、買った株のPERが低かったのに大化けして、ウハウハになった株主もいます。
PERが低く割安で、なおかつ、めっちゃ伸びる株を見つけたら、まさに掘り出し物だと言えるでしょう。
もちろん「この会社は絶対いける!」と思っても、未来のことを100%言い切ることは難しいので、賭けの要素もあります。
あー、どっかにいい株転がっていませんかね(笑)
ちなみにPERはみんかぶやYahoo!ファイナンスなどでチェックできます。
一方、カブゾウくんはどうなったのかというと……
その星のお金を持っていないことに気がつきました。
というかそもそも地球でもそんな大金持っていないことにも気づきました。
信用もないのでローンも組めません。
結局、真面目に働いて、株で資産を増やすことに決めましたとさ。
ちなみにロボットCはバカ売れしたけど、何年かして、そのメーカーはインチキであることが分かりました。
最初の何年かはちゃんと動くのに、まったく耐久性のないずさんなつくりだったのです。
わざと無理にコストを削減して、最初から数年でダメになることを分かって設計されていました。
しかし、虚偽の耐久性テストのデータを巧みにつくり、売りにしていました。
イカサマが発覚する前に、カブゾウくんが天才だと思った例の開発者はとっくに亡命して、逮捕されることはありませんでした。
彼はたしかに天才でしたが、詐欺の天才だったのです。
ちなみにカブゾウくんがその後誰かが助けに来て地球に戻れたらしいっす(てきとー)。
ちゃんちゃん♪
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