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執筆(をしようと思うため)の条件

子どもの頃、夏休みや冬休みの宿題は、序盤に終わらせるタイプでした。

優等生だったと言いたいわけではありません。
めんどくさいことはとっとと終わらせて、残りの日々を楽しく遊んで過ごしたい、その一心でした。

大学時代もそうだったなあ。
月曜〜木曜まで、授業をたっぷりと詰め込んで。
金曜〜日曜までお休み。毎週、三連休。
大学一年からそのスタイルを続け、大学三年までには卒業のための単位をすべて取得しました。

優等生ではありませんでしたが、ある程度の計画性を持って物事を進められるタイプではあったのだと思います。

ところがですね…。

コピーライターになって、20年以上。
デビューからこれまで、計画的に仕事をした試しが無いんです。

僕は、あるものが無いと書けません。
それは、「締切」です。

並行して何本かの仕事を同時に進めていますが、締切はまちまちです。
そして、恐ろしいことに、締切が近くならないと書かないんです、僕。
いや、書けないんです。

心の広いクライアントさんの中には「急ぎじゃありませんよ〜」と言ってくださる方もいます。
なんなら、「特に締切はありませんよ〜」とまで言ってくださる方もいます。

ありがたいです。
ひたすら締切に追われて仕事をするというのは、精神衛生上、良いものではありませんからね。

でもですね。
急ぎじゃないと言われると、本当に急がないんですね。
締切が無いと言われると、永遠に書かないんですね。

NHKに「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」という番組がありますね。
その最後、出演者の方が問われます、「プロフェッショナルとは?」。
僕だったらこう答えますよ、「締切を守ること」って。

そうなんです、締切はきちんと守るんです、僕。
原稿を落としたことは一度も無いんです。

でも、締切が無いと書かない。書けない。

自己管理がきちんとできるコピーライターさんや物書きの方であれば、締切を特定されなくても、自分で締切を設けるんでしょうね。
とある海外の有名な作家さんは、毎朝決まった時間に、スーツを着用して机に向かい、執筆をして、毎夕決まった時間に仕事を終えるそうです。
そういう方であれば、自分で自分に締切を設けることができるのでしょう。

どっこい、僕にはそれはできないんですね。

だから、これからはどんなクライアントさんにも「締切ください! わりとタイトな!」と懇願することにしますよ。
締切に追われてばかりだと精神衛生上よろしくない、などと前述しましたが、そんなぬるい考えは捨てますよ。

コピーライターとしてはベテランの域に入ってきました。
ここからは、これまでに培った技術と経験とで、どうとでもやっていけるかもしれません。
しかし、僕はそれで良しとはしません。
さらにコピーライターとして成長するために、締切に追われてみようと思います。

締切…。
嗚呼、なんていい言葉でしょう。
素敵。大好き。
あなたがいないと、僕、書けないの。

最高、締切。
締切、最高。

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