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対人奥義、感謝の正拳突きと新陰流

人との会話の冒頭、まずはこう言おう。

「あなたの話が聞けてうれしいです」

「話してくれてありがとう」

「私に相談してくれて光栄です」

私はこの行為を「感謝の正拳突き」とそう呼ぶ。

古来より日本の武道の教えには人が生きるために参考になるものが多い、著名な剣術の流派である新陰流の「月影」などが最たるものだろう。
これはまずは相手を思う通りに動かした上で、後の先をとる兵法である。

会話の相手は先に言葉を発することによって、こちらのマウントを取ろうとするのだが、我々はそれに馬鹿正直に付き合う必要はない。
まずはじめ、相手の話を誠意をもって聞く振りをし、相手に手の内をひけらかしてもらい、更にはそのことに誠意を魅せるのだ。

これには相手は堪らないとばかりに降参するしかないのだ。
そうすることによって相手は自分が力みすぎていたことにようやく気付き、己の姿勢を正す。このことによりようやくお互いに膝元を正して落ち着いた話が始められるのだ。

いかがでしょうか。
きっと多くの人が相手に対して不用意に正直になりすぎていたのではないでしょうか?

相手の話をちゃんと聞こうとしたり、その答えを立派に果たそうとしてはいませんでしたか?
相手は一方的にあなたに物申そうとしていただけであり、そもそも意見を求めているわけでもないのに?

人とのコミュニケーションは武道の果し合いと何ら変わりません。
私たちの言葉で人を簡単殺せる時代です。
Twitterで「死ね」といえば、相手から通報され数日後確実に逮捕される時代です。

そうなのです、不用意に相手の心のパーソナルスペースに踏み込めば待つのは死あるのみです。

そしてただひたすらに受け身で相手の言い分を聞き続けていてはあなたのターンはいつやってくるのでしょう?

大事なのは間合いです。

まずは相手の出鼻を挫いてください。

それはあなたのみならず、相手のためでもあるのです。

会話のはじまりには必ず相手はあなたと話すために鼻息を荒くしてやってきます。お互いのためにも聞き手側である、あなたのほうから冷静に折れてお互いの距離感を明確にしてあげましょう。

そうすれば必ずその後の会話は有意義なものとなるでしょう。
そして最後に相手は必ずあなたにお礼を言うでしょう。

やがてたった一度の会話の果し合いに勝利したあなたはその相手から終生の信頼を得るでしょう。何事にも代えがたいその絆はどんな名刀でも断ち切ることは敵わないでしょう。

どうしました?

まだためらっているのですか?

上泉信綱、柳生宗厳、宮本武蔵、すべてあなたの別の名前です。

今は現代を生きるあなたですが、中身は同じです。

あなたは生まれながらの人生の達人です。

あとはやるのかやらないのか、ただそれだけです。

ただその拳を真っすぐに前に突き出す、ただそれだけです。

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南葦 ミトさんよりお借りしています。
ありがとうございます。


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