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SC仕事のふりかえりーブログ編

今年2021年の3月で日本科学未来館の科学コミュニケーターとしての5年間の任期を終えました。大層な退職エントリを書く気はないですが、自分の仕事をまとめておきたいなと思い、携わった仕事の一部を振り返ります。

見返した感想を書き並べただけ。せっかくなので執筆時期も記載するので、先輩後輩SCの皆さんは自分の現在地と照らして見ると何かの参考になるかもしれません。ならないかもしれません。

(0年6ヶ月)
最初に書いたブログ記事。このタイミングですでに同期が数名記事を書いており、自分の何かしたいなぁ、と思っていたような気がする。いわゆる科学的な専門性ではないポイントで自己紹介をしているところはなかなか面白かったのではないかと。しかし、テーマは批判的な内容ではあるので、相当に言い回しなどは指摘をいただいてかなり手直しした思い出があります。

ただ、打ち上げ時の紹介だけしておきながら、失敗したら知らん顔、というのが科学コミュニケーターの仕事なのか?と抱いた疑問に対して自分なりに考え、行動したことは評価したいです。ともあれ、ここで宇宙関連の仕事に携わったのが、思いもよらず長い付き合いになりました。何に興味があるのか、周りの人は見てくれているものですね。



(0年9ヶ月〜1年2ヶ月)
メディアラボの担当案件。改めて読んでみると、数学というテーマをどうにか伝えたいという気持ちだけが先行して、記事の説明が全体的にまどろっこしいですね。今、考えるなら、もう少し書きようがあるように見えます。

個人的には数学を使って人を楽しませられるものを作れる、というのは面白かったので、それを感じてもらいたくて、作って見せたり、作ってもらうワークを設計したりと、自分らしいチャレンジをしました。残念ながら、ワークの内容は相当しっかり読んで考えないと多くの人にとって難しいレベルでしたね、うん。後輩諸氏に酷評された覚えがあります。トークイベントは先生の魅力もあって、ワークにもしっかり取り組んでもらいながら、ただ面白いだけでなく、数学のチカラというキーワードを伝えるイベントに何とかできたのでは、と思います。

(0年9ヶ月)
リリースよりさらに3ヶ月ほど前(打ち上げが延期になったので公開が後ろ倒しになった。)に突然JAXAへの取材を振られて、一人ぼっちでつくばに行った思い出。手探りのインタビューの拙さをすごく反省している。もうちょっと面白く書けたらいいなぁと思います。

後付けのきっかけではあったけれど、こうのとりに関してはこの後も追いかけ続けた思い入れのできた仕事。インタビュー記事、って良くありそうな仕事ですが、あんまり技能的に追求してこなかったなぁと思っています。上手な人って誰ですかね?いくつかの視点で、誰それのどの記事っていいお手本になりそう(お手本にするには、ほんとにプロの記事というより近しい立場の人の記事の方がお手本にしやすいような気がします)、みたいなストックを持っていると何かの時に役に立つかもしれませんね。

(1年4ヶ月・1年7ヶ月)
オリンピック・パラリンピックを目指して、と同僚の企画に乗って書いた記事。文章力として今の感覚だと、冗長に感じる部分と少し言葉を足したい部分とがあって、それが一概に良いかは定かではないですが、書き方の変化を感じます。

結局続かなかったことへの課題感はある(巻き込む人のフォローとかもっと自分で書いてから誘えば良かったとか)ものの、書き手である自分にとっても発見のあった取材が描かれていて、久しぶりに読んでも結構面白いやん、と思える内容(自画自賛)。こういうフォーマットを持った記事だと量産しやすいはずなので、書くことを積極的にやりたい人にはおすすめです。


(1年11ヶ月)
来館者の方から頂いたお話を謎の使命感で、専門分野の紹介を絡めた記事。やや説教感を感じるものの、科学トピックスの紹介なら、自分じゃなくてもできるけど、そこに留まらず、ちゃんと自分なりのオチをつけて書こうとしている。

(この話とは別だけれど)最先端、という言葉に常々思うところがあったので、それをマイルドに表現する機会に使っています。あと、この手の仕事は関係する方々(この記事では先生や生徒さん)がとても喜んでくださるので、手早く、気軽に、こういう動きができる能力を身につけられたのはよかったと思っている。


(2年7ヶ月)これを振り返るのはちょっと恥ずかしい笑
表で見える科学コミュニケーターの活動の裏側をちょっと見せていけたらいいのでは、と裏方感のある自分たちの立ち位置の仕事の存在感を出そうとする、ノリの軽い試み。このシリーズのイベント事前記事は真面目なんだし、裏方チームが書いてるこの記事が少々の内輪感が出るのは許してほしい。

常々申していたように、本人的には裏方な気持ちは全くなくて、みんなを動かす自分こそ主役だ、くらいに思っています。個人の意見ですが、科学についてのコミュニケーションより、科学の視点を持ってコミュニケーションを設計する仕事ってことがもっと知られればいいのになぁ。ともあれ、この独自ポジションをくれた人、一緒にやってきた人にはとても感謝しています。


(2年7ヶ月)執筆は前記事と同じなんだ…
館内のアクティビティで頂いたアイデアをもらいっぱなしにせず、きちんと形にしようと研究者へのインタビューを入れて記事にしたもの。記事の構成も考えつつ(取材の途中で完成記事を想像しながら写真を撮影させていただいている)、簡潔に書けるようになってきているのではないかと。

人工衛星の打ち上げイベントから逆算して、夏休みのアクティビティ、研究者への取材、と半年くらい考えて進めた企画(ルールの隙間を縫う仕事の仕方なので人の参考にはならない)。記事やイベントの1つ1つの出来はともかく、一連やれていたので楽しかった思い出。よい勉強になったように思っています。


(3年6ヶ月)
前記事との間、こんなに空いてたのか…(担当イベントの記事を誰かが書いてくれないから…)。というのは、さておき。大学で研究していた頃のネタで、未来館と関係しそうなのは唯一これだな、と入職初期から頭にはあったテーマ。10周年というきっかけを作って記事にすることができました。先述の通り、インタビュー記事はあんまり得意じゃないけれど、書き方は現在に近くなってきている気がします。

時々考える、何人かで一緒にやろう企画。思い返すと記事以外にも何個かある。寂しがりなんだね。実際いくつか連作で書いてくれた記事があるけど、歩留まりは半分くらい…。それにしても宇宙多いな。


(3年6ヶ月)
3つ前で裏側の役割をこなしていたのが一転、最前線に立つことになった恒例のノーベルイベント。科学の先端を深掘りっていうより、俯瞰した見方を提案するためスタンスが気に入っている記事。読んで面白い表現が散りばめられるような文章ではないので、こういうちょっと面白い内容の記事を淡々と連ねていくのは自分的にいいのではないかと思う。

読んだ人から面白いと評価してもらえたので、満足している。こういう形のリサーチはかなり好き、もっといろんな分野で出来たらよかったな。科学史っぽい視点は会ったらいいと思う。リンクはダイジェスト版、前後編になるけれど未来館HPの完全版もぜひ読んでいただきたい。


(3年8ヶ月)
1ツイートずつのように短く段落が区切って、読み手への呼びかけを意識して、と書き方をかなり意識的に書いた記事。スマホで読む人の多い時代に迎合できているだろうか。

受け入れ続けてきた実証実験の成果が論文以外の一般の人が目にしやすい形になったことが嬉しくて思わず紹介した。この実験自体の受け入れが自分のやりたいことなのか、当初は少し悩みながらだったのに、調子のいいことで…。でも、最後のあたりは自分の中で実証実験を皆さんにやってもらう意義が整理されていることが窺える。


(4年2ヶ月・4年5ヶ月)
書き方自体に特筆することはなく、そんなに苦に感じることもなく、スラッと書けるようになっている。このくらいなら、不意に書こうとしてもきっと書けるはず。

コロナ対策で書かれた記事×2。1つ目は宇宙関連の紹介まとめ、ここもSCのことを、仕事ぶりのことを、知ってもらおうという試み。2つ目はまさに時事に合わせて活動できるのがSCのいいところと思いながら(ダイレクトに感染症を扱っている人は本当に偉いと思う。)、興味や関わり合いのある分野の切り口で、取り扱った取り組み。よかったという声もいただけたので満足している。

(4年4ヶ月)
説明部分と人の会話を半ば勝手に創作した記事。このHPのブログ記事はスマホアクセスで読む人が対象なので、とにかくコンパクトに書くことが大事かと思っている。ちょっと説明っぽい部分もセリフでコンパクトにしています。多分、もっと科学的な説明が知りたいよ、と思う人もいるのは承知の上。

長い準備期間を経て書かれているので、内容に対するの理解や思い入れが段違い。イベント記事を書かなきゃいけないことは多いと思うのですが、そのまんま時系列に書く必要はないよ、とか、会話調にするのか、いろいろやり方はあるので工夫すると、やんなきゃなんない仕事も学びがあるよきっと。

(4年6ヶ月・7ヶ月)
しつこいノーベル賞記事。まずは事前記事、中身の面白さとしては1年前の方がキャッチーで面白い気がするのですが、画像の綺麗さはこちら。こういうのができるようになったのは嬉しいですね。2本目は、またインタビュー記事、お決まりの技術解説や研究秘話になってしまいたくないので、こちらの方針に沿ってお話を伺った。本当に立派な方は、こういう要望にも上手応えてくださります。3本目は方針が決まった後に、ネタが出てくるので、上手くまとまるかわからなかったのですが、悪くないテーマだったこともあり、一応方針を忘れずに書けたと思っている。

以上、執筆系のお仕事振り返り。書き方の工夫への意識と、このくらいの数をこなせば、そこまでおかしな文章ではないものが書けるようになるようです。

最終的にたどり着いた書き方の考え方については、別記事をご参照ください。ごく一部の人には役に立つ可能性があります。

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