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無理に白黒つけない

禅は、物事を二元的に考えることを嫌います。たとえば白と黒があれば「どちらもあって当たり前。両方を踏まえて、真ん中をいきましょう」という考え方です。
<省略>
私たちの日常にも、二者択一で考えない方がいい場合はたくさんあります。「こっちを立てれば、あちらが立たず。あっちを立てれば、こちらが立たず」で、どちらを選んでも、心配の種が増えるだけではありませんか。

枡野俊明「小さな悟り」P.215 三笠書房

白もあれば黒もある

善もあれば悪もある
光があれば影もある
ポジティブもあればネガティブもある
好きもあれば嫌いもある
生もあれば死もある
平等があれば不公平もある
安全もあれば危険もある
安心もあれば不安もある
喜びもあれば怒りもある
個別化もあれば標準化もある

挙げればキリがないくらいの対がある。
二択の中にも、二択の間にもグラデーションが無数にある。
けれど、二択か三択くらいで判断してる情報が増えた気がする。
興味をひく言葉だけを目立たせたり、切り取ったり。
シンプルに捉えた方が整理しやすいし、わかりやすいけれど、実際は単純ではないことを理解する機会が減ってしまい、想像力が育ちにくいのではないだろうか。


争いも悪行もなくならない

傷つけたり争いごとはなくならない。
無責任に攻撃したりする出来事もなくならない。
戦争や多くの犯罪から、煽り運転やネット上の攻撃など繰り返す。
より良くしたい発明が悪用されることもなくならない。
発明が高度になるほど、犯罪も高度で巧みになっていく。
文章、写真、声、動画、LIVEでさえも、本物を疑う必要があるくらい。

そうしたことを、どう感じ受け止めるかを学習するためのように・・
感じ方、受け止め方も様々でグラデーションがある。
人は経験から自分のモノサシを作っていく。
コミュニケーション不足、知識不足、誤解、恨み、洗脳、情報操作などの影響を受けたまま、事実とは違う情報だけで、自分のモノサシで判断させようとする機会が増えている。
情報量が急激に増え加速している2020年代。
何が事実か情報に惑わされず、どう行動するかを学べるのだろうか。
生きた時代の影響を受けながら、人生は不思議なものだと思う。


未熟な時は気づきにくいもの

最近になって、気持ちがモヤモヤすることは少なくなった。
体調を崩す経験から人生の優先順位が変わったこともあるだろう。
大切な人を見送り、自分の人生も考える機会が増えたこともあるだろう。

若い頃は、イラっとしたり、許せないと思ったり、自分の正義をモノサシにして考えることが多かった。自分のモノサシが脆いことも不安で、強くなりたい、本物になりたい、自分の正義を強化しようとしていた。そのモノサシが当てにならないものと気づくまでは、傷つけた人も多かったと思う。
人生や命の終わりを意識して、気づくものなのだろうか。


ソーシャルワーカーの経験から思う

モヤモヤすることはストレスだから、白黒ハッキリさせたい。
しかし、白黒ハッキリできないことが多い。
なぜなら、ソーシャルワーカーのモノサシも、ソーシャルワーカーをやってる個人のモノサシも判断基準ではないから。「主役は当事者」で「自己決定を尊重する」支援をしていると、「何が誰にとっていいのか」「葛藤する」のが日常だからモヤモヤしたストレスを抱えやすい。故に、ソーシャルワーカーはセルフケアも大事で、白黒ハッキリせずとも「揺らげる力」が大事と教わってきた。
これは、現代や未来は理解できる考え方なのだろうか・・。

特に病院では期限や結果を求められることが多々ある。なぜ、期限を区切って診療報酬の点数が違うか?の意味を考えず、そうなってることが目的として指示されることが増えて、経済、効率、標準化した数値から導きだされた期限や望む結果で世の中が動いている。
これは、仕組みを広く効率よく機能させ、必要とする多くの患者さんが適切に医療を利用できるためでもあり、大切でもある。一方で、標準化された範囲内では難しい方に対しては、結果はどうであれ期限が優先するのか、何を目的とするのかは医療従事者に問われる。期限を最優先させようとする立場が組織には必ず存在する。ソーシャルワーカーは何ができるのか。

そんな中でも、多忙でも、少しでも当事者に寄り添った支援を考えるソーシャルワーカーもいれば、割り切って次の支援者に繋げばいいと思うソーシャルワーカーもいる。
この違いをどう捉えるかは大事にしたい。
大して違いはないように感じる専門職も増えているのではないだろうか。

とはいえ、社会や組織での役割を果たし継続させるためには「白黒つける」事も必要になることは多い。白黒つけつつ、柔軟な思考の余白を残すバランスも大事でもある。

僕はそんなことを丁寧に振り返り考えられるソーシャルワーカーになるように、後輩たちに伝えてこれただろうか・・

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