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ソーシャルワーカーの経験を振り返る

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ソーシャルワーカー(主に精神保健福祉士)としての30年の経験を振り返ってみようと考えています。 私個人の経験を振り返り、何を見ていたのか、何を感じて思い考えてきたのか。 いろんな…
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記事一覧

“優秀”は要注意

「優秀」という言葉には、いい印象を抱かないことが多い。 それに似た言葉にも抵抗を感じることが多い。 そんなことを思う機会があったので、つらつらと書き残しておく。 「優秀な人材を求めたい」そう望む声を多く聞いてきた。 何をもって「優秀」と思うかは人それぞれ。 そこには「期待」がある。 「実力」と「期待」は一致しない。 その結果、期待を押し付けていないか? と思うことが発生しやすい。 「失敗しないように気をつけたい」学生や若手の言葉でよく耳にしてきた。 失敗しないように

実習指導の経験を振り返る

実習教育についての執筆をする機会をいただいたので、下書きにnoteを使ってみました。実習経験や実習指導の経験を通して、精神保健福祉士として意識してきたことや大切にしてきたことを書き出してみて、3200字以内にまとめるのですが、このnoteでは字数に拘らず3200字を超えて、また、イラストや過去に作ったスライド、参考にした過去の記事も入れてみます。 後進育成を大事に思うキッカケ 学生の頃は、ソーシャルワーカー(以下、SW)を目指しておらず、実習経験もなくアルバイトばかりの学生

どんな職場で働きたいか

働きたい職場の条件は人それぞれ・給料がいいところ ・残業が少ないところ ・休みが多いところ ・人間関係がいいところ ・職場環境がいいところ ・教育指導がしっかりしているところ ・成長できそうなところ ・やり甲斐を感じるところ ・ストレスが少ないところ ・やりたいことができるところ 人それぞれの優先順位で、いろんな条件があるのが当然ですね。 年功序列が常識だった昭和世代の僕は、随分と社会の常識が変わったなぁ・・と感じます。 20代、30代、40代、50代と転職や転勤や退職

「経営方針や治療方針」と「当事者の希望」の板挟みになった時どうすればいいんですか?

先日、大学の授業に参加させていただいた時、病院実習の指導者経験について15分程度話をさせていただいた。 内容は、主に下記の記事に書いた中から話したのですが、 その後に、学生さんからいくつかの質問があり、その場でコメントできなかった質問をここで取り上げ、自身の振り返りとしても記録しておこうと思います。 「組織の方針」や「医師の方針」と「当事者の希望」や「家族の希望」で板挟みになった時、どうしたらいいか これは、どんな現場でも発生して、誰もがたくさん経験することですね。  

気持ちに「ゆとり」をつくる方法を考える

 「ゆとり」「余裕」「余白」があるとやる事が増えていくもの。以前の自分もそうであったし、(最近の自分もヤバくなってきたよ( ・∇・))、周囲にもたくさんいたし、メンタルヘルスという視点で見た時に、「ゆとり」がなくなってしまっている状況の方々と多く出会ってきた。そして、「メンタルヘルス」=「メンタルの問題」と捉えられがちですが、そうではない。そのことは、いつか触れるとして、今回は「ゆとり」について考えてみたいと思います。 ゆとりとは ゆとりがない、持ててない、そんなことが増え

精神保健福祉士の病院実習で何を学ぶ?

病院実習だから学べること病院という環境で経験できること、学べること、いろいろありますが、ここでは特に、病院だからこそという内容に絞って書いてみようと思います。 病状が悪い時を知る ◾️病状が悪い時は、本人も家族も辛い時です。何が辛く、困っているのか、どうしたいのか、聞けば分かるものではなく、本音を言える関係構築をどのように作れるか、一人一人に寄り添い知ることを学ぶことも大切です。 ◾️医療にどのように繋がるのか、入院を必要とする時にどんな支援が必要なのか、精神保健福祉法

学生の時にやっておいた方がいいこと

社会福祉士、精神保健福祉士の採用に携わっていた頃、毎年多くの学生からあった質問の一つがこれでした。質問の意図、どんな経験をしてきたかによって伝えることも違っていましたが、どんなことを伝えていたか振り返って整理してみようと思います。 人それぞれ、答えはいくらでもある事なので、「こんな事もやっておくといい」とご意見あれば、是非教えて欲しいです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ よく学び、よく遊ぶ20歳前後の学生時代は2度と来ない。学生の時だからできることを楽しんでおく。サークル活動、バイト、

熱心な指導の落とし穴

話が長くなってしまう指導これが”落とし穴“(ーー;) 随分と反省することが多かった。 熱心に聴いてくれる後輩が多かった。 そんな後輩たちに救われてきた。 学生の頃から指導者の話はしっかり聞け!と指導されてきた。 それが当然だと思ってきたし、大学生の頃のバイト先は焼酎を飲みながら社長のお説教が毎晩30~60分あるためか、バイトが数か月で辞めていくという評判のバイト先と知らず、同期の代打で入って以来4年間続けたほど、指導者の話から吸収する姿勢は筋金入りに鍛えられたd( ̄  ̄)

新年度の期待と不安

新入職の期待と不安もうすぐ社会人1年生がたくさん誕生する。 緊張してる人は多いだろうし、それが当然の反応ですね。 「期待」の上に「不安」が乗っかってソワソワシュワシュワこんなイメージでしょうか(*^ω^*) 僕は卒業旅行とか学生最後の休みを楽しむことは考えず、3月から働き始め、職場の各部署の現場実習みたいに過ごさせてもらったので、4月には少し馴染んでたので、2杯目いってましたね♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ 後輩ができる期待と不安新入職者を受け入れる先輩たちも、期待と不安があるよね

「視点」「視野」をどこに置くか

SWの経験をふりかえる時、後輩から相談を受ける時にチェックする一つ ◆「視点」「視野」がどこにあるのか SWとしてだけではなく、身近なことや世間の出来事の捉え方にしても、大切ではないかと思うことです。 目の前のことに目を向ける目の前の仕事、出来事、やらなければならないことに、誠実に一生懸命に取り組む。新人の頃は特に求められるし、基本でもある。 目の前の出来事にしっかり目を向けるからこそ、自分の価値観で真剣に判断しようとする。「何故なのか」「どうしたらいいか」そんな問いに

無理に白黒つけない

白もあれば黒もある善もあれば悪もある 光があれば影もある ポジティブもあればネガティブもある 好きもあれば嫌いもある 生もあれば死もある 平等があれば不公平もある 安全もあれば危険もある 安心もあれば不安もある 喜びもあれば怒りもある 個別化もあれば標準化もある 挙げればキリがないくらいの対がある。 二択の中にも、二択の間にもグラデーションが無数にある。 けれど、二択か三択くらいで判断してる情報が増えた気がする。 興味をひく言葉だけを目立たせたり、切り取ったり。 シンプル

教える時に大切なこと

キーワード厳しさ 優しさ 注意する 褒める 理不尽さはどこにでもある 言葉を選ぶ 説明する 分かりやすく伝える 話しすぎない 成長を促す 教えることで教わっている 気持ち、感情を大切に扱う 事実や出来事と感情は分ける よく話させて、よく聴く 答えをすぐ示さない 考えることを促す 答えを出してもその意味を問う 答えは一つではない 一回を長く疲れさせない 根気強く長く見守る 教える人も迷うし間違える 葛藤する 信じる 正解はない、枠にはめる必要もない教わるのも人で教えるのも人

是枝監督の眼差しに触れて

今では有名な是枝監督の30年以上前の作品を観る機会があった。 映画を撮りはじめる前、1991年にテレビ番組のドキュメンタリー作品。 映像の原点になっている作品と思える。 子供、家族、社会、人、いろんな内面や繋がりの表現作品が多いと思う。 「そうか、是枝監督の眼差しって・・・」と思うひと時でした。 1本目「しかし・・・〜福祉切り捨ての時代に〜」難病に苦しみ、生活保護の打ち切りをキッカケに自死してしまった女性。 一方で、厚生省、環境省の重要ポストを担い「福祉とは?」「しかし・