見出し画像

猫達 それからアラムは

その後、アラムは中国製EV車Makerの購買担当者との接触に注力し、2社と名刺交換を行い
先方に提案できる関係までこぎつけた。
彼らは日常、英語で仕事をしており
韓国語も流ちょうに話せる。
担当者は珍しく日本語も使えたようだ。

アラムは日本人だが、中国語、韓国語、英語も
使えるので彼らとのCommunicationには苦労していない。

苦労するのは、彼らの行動の速さについていく事であり石橋を叩いてたたき割ってしまうような慎重で動かない日本の仕事のやり方とは180℃違う、Chanceがあれば
すぐに動くという進め方であり戸惑う事が多かった。それでも、Partnerにも協力を得、少しずつ新規の取引を増やしていった。


最初は少額取引でもアカウントを作れたことは大きな価値があり大手EVのMaine製品への搭載が決定した時の取引Volumeは計り知れないくらいの額となる。いちはやく日本のSupplierと相談して現在開発中の新素材を中国EV車に搭載しようと使命感に燃えていた。

日本MakerはTest、Testの繰り返しで採用までの期間が非常に長いが中国Makerは、日本のそれより数倍早いという。

新開発素材の採用をいちはやくしないといけない。しかし、今、コンタクトしているのは購買担当者であり決定権を持っていない担当者だ。責任者に直接会って商談する方法がないかと考えていた。

北京で開催しているExhibitionの喫茶コーナーでScheduleを確認していると後ろからアラムと呼ぶ声がする。

パソコンの画面に映り込んだ背景を見ながら
声と香水の方へ目を向けるとそれは、ヤンホンの姿だった。

3ヶ月ぶりの再会だ。
連絡先を聞いていたが照れくさくて中々、
コンタクトできずにいた。
2人でExhibition会場を後にして昼食に行く事にした。

アラムは今の状況をまるで恋人に言うように夢中になって話した。
大手にアカウントを作ってもらった事。
ヤンホンは相槌をうちながら聞いてくれる。
そして、決定権を持っている責任者に直接会って話したいという事までヤンホンに話をした。
するとヤンホンが言った。
私に任せて!!私は中国マーケットでは有名人よ。私が何とかしてあげるから。

未だ成功前だがアラムは舞い上がりスパークリングワインをもう1ボトルOrderした。

ヤンホンは、もう少し詳しく私にも新製品の事を教えてね!と
優しく言うと、アラムはもちろんだよ!
手を叩いた。すでにアラムは酔っていた。
ヤンホンという女優に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?