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今徒然草 そのニ 「色、色、色」


   9月まで3ヶ月間、フードアドバイザーの学校に通っていた。17科目もあった授業の中で一番好きだったのが「カラーコーディネート」だった。先生の話し方が面白かったこともあるが、何よりも様々な色の世界に魅せられてしまったのだ。

  そして、第一回目の授業で私はとても衝撃を受けた。それは「今見えている物は、その物そのものの色ではなく、光の反射によって見えている色」「物体がどの様に光を反射するかで色が決まってくる」「色は光の刺激によってもたらされた感覚。色は私達の中に存在する。だから人によって捉え方が違うし、心に影響する」ということ。美術系のコースを歩んで来た人には今更感の知識なのかも知れないが、これまで絵は趣味程度、仕事は事務系で生きてきた私にとってはこの歳にして初めて知った事実に(大袈裟と思われるかもしれないが)天地がひっくり返るほどのショックを受けたのだ。

 考えてみてほしい。林檎は赤いと思っていたが、それは林檎に反射した光の波長が長いので赤く見えるという事実。じゃあ、本当は林檎は赤くないのか?!このピンク色に見えるポーチは本当は何色?愛猫達のシルバーやブラウンの本当の毛色は?・・などなど。

その時、以前観た映画を思い出した。タイトルも俳優も忘れた上に、ストーリーもおぼつかないのだが、確かハラハラドキドキの冒険的展開の末、オチは主人公がベッドの上で頭に電極を一杯付けられたまま眠っている、という内容だったと記憶している。実はこれまで主人公が体験してきた事は脳に刺激を与えられて「見せられていた」世界であり、事実は主人公がただベッドの上でずっと眠っていただけだったのだ。

  自分が今見ているもの、体験している事、存在している世界が実は幻にすぎなかったら、貴方はどう感じる?
単に色の勉強をちょっとしただけでこの様に妄想が広がってしまう私もどうかと思うが(苦笑)。

  散々混乱した後、私は自分に都合良いオチをつけた。幻だって良いじゃない!本当は違う色だって良いじゃない!だって、青い空は落ち込んだ気持ちが晴れるほど澄みわたり、春の新緑は吸う空気さえも清々しく感じて体の中が浄化されるような気がするし、向日葵の黄色は元気を与えてくれる。自分の見ている色に自分の心が反応する、ただそれだけで良いじゃない!まさに「色は私達の中にある」んだ!

 これからも、私は様々な色からいくつものインスピレーションをもらい続けていきたい、と思うのであった。

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