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ポケットにカメラを忍ばせて歩く

早々に毎日日記を書くことを断念しました。大変心苦しいのですが、それでも何も書かないよりはマシかと思ったので3日分だけ書き上げました。熱量はあります。


肉が食べたいと言ったから

2月16日(金)

ここ最近、食べたいものが思い浮かばない病だった。散歩してたらどこからか肉を焼くいい匂いがしたので、衝動的に「焼肉が食べたい」と思ってしまい、帰ってからそれを夫に伝えた。

「え、焼肉?急に?」
戸惑う夫。そりゃあそうだろう、散歩から帰ってきた妻の第一声が「焼肉食べたい」はちょっとどうかと思う。

しかし、彼は優しい。

「じゃあ肉を買いに行こう」とすぐさま車に飛び乗りスーパーへ向かってくれる。
さらに「肉は1日置いた方が美味しくなるから、今日仕込んで明日焼肉にしよう。明日は金曜日だし。」と、買ってきた肉をキッチンペーパーで丁寧に包んで、空気を抜き、冷蔵庫へ。ここまでが昨日の話。


そして本日、一晩冷蔵庫で寝かせたそれを夕飯前に開封し、フライパンでこんがりと焼いてくれた。火加減も完璧。とても美味しかった。



ポケットにカメラを忍ばせて歩く

2月17日(土)

クラシコムの佐藤さんが載っているという「暮らしのおへそ」を読んでいたら、渡邉康太郎さんの記事がとても良かったのでTAKRAM RADIOを聞いていたら、木本梨絵さんの話がとても良くて感銘を受けたので彼女の記事を読み漁った。


どこに行くにもカメラを持っていくという木本さんに倣って、2017年に買ったSonyのRX100m3を押入れから引っ張り出してきた。長らく一眼レフに親しんでいたので、ポケットにすっぽりと収まるサイズのカメラは新鮮だ。早速散歩に出かけた。

ポケットの中にカメラを忍ばせておくというのは、想像以上に楽しい。フィルムカメラを始めたばかりの頃、どこへ行くにもカメラを持って、被写体になりそうなものを探してばかりいた、その頃の感覚を思い出した。


いつものカメラとは違う使い勝手に、最初はなかなか思ったような画が撮れなかったが、後半になって少し納得のいくものが写るようになってきた。普段はあまりやらないレタッチをアプリで試してみたら、写真が様変わりしてびっくりした。とても楽しい。


恋に落ちる

2月19日(月)

前回の日記の佐藤さん→渡邉さん→木本さんと続いたリレーの続きである。TAKRAM RADIOの木本さん回で紹介されていた、柿内正午さんの『プルーストを読む生活』。

書店をハシゴしまくってやっと見つけた


30余年の人生の中で何度か、このような胸の高鳴りを経験している。ハリーポッターの単行本を初めて手に取った時、星野源の音楽にのめりこんだ時、好きだと思える人に出会った時。こういう瞬間は、幾度あっても良いものだと思う。胸の高鳴りはすなわち、そこに味わうべき対象があるという幸福であり、恋だ。

小学生の頃、ハリーポッター3巻セットをプレゼントされた。読み始めると止まらなくて、肌身離さず持ち歩いては時間を見つけて読み耽った。下校中に読みながら歩いていて危うく溝に落ちかけて、近所中の噂になった。とにかく時間を惜しんでただひたすらにのめりこんだ、幼少時代。

大人になってからは、良いものを見つけるとそれを消費するのが勿体無くて、あえて時間をかけて味わうようになった。好きな人からのLINEには、もったいぶって時間をおいてから返す。好きな音楽はじっくりじっくりと味わう。別に逃げはしないのだから、できるだけ長く楽しめる方がいい。

分厚い。幸いなことに、全765ページ。

この本も、数ページ読み進めては爆笑し、立ち止まり、文章を書いたり別の本を読んだりする。書き手の柿内さんも、そういうふうにプルーストを読んでいるから、安心して回り道できる。
句点のあまりない一文は、まるで澱むことのない思考の流れのように感じる。頭の中の声を垂れ流したような文体なのに、不思議なことに、すうっと私に馴染んで溶けていく。温かく包み込むようなクラリネットの音色みたいだ、と思う。心地よい。

自分でそういう文章を書くことはなかなかできないが、書くことへのハードルを落としてもらえた気がして嬉しい。

恋は若い時にするものだと、一体誰が決めたのだろう。きっと大人になると幾度でも恋に落ちることができる。


今週は3日分の日記でした。

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