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ホテルを愛せる理由

たぶん、私は人よりホテルが好きです。
長年ホテルで働いていると嫌なこともいっぱいあります。
辛い経験もたくさんしました。
日本が作り上げたホテル文化に嫌気がさしたこともあります。
それでも今、私はホテルが好きです。
それは自分なりにホテルの本質を見つけることができたから。
一人のホテリエとして、そしてゲストとしてホテルってほんと
いいなと思います。

ホテルって色んな物語が1つの箱に集まる変なところ。

恋人との初めての旅行
長年付き添ったパートナーとの特別な記念日
初めての一人旅
自分へのご褒美
大切な人に会いに行く旅
お忍びの秘密の旅、etc・・・

過ごす空間は壁で仕切られて鍵がかけられています。
だけど、この箱の中には交わることのない物語がたくさん存在します。
そう考えると、なんかすごくない?
めちゃくちゃカラフルやない?
私はそう思います。

私はホテルのロビーが好きです。
集まった物語たちが無防備に顔を覗かせます。
そして稀に、生まれる予定のなかった物語が生まれます。

同郷のスタッフと出会えるかもしれません。
新たな友人に出会えるかもしれません。
思いもしない親切と出会えるかもしれません。
新しい感性に出会えるかもしれません。
etc・・・。

これらを予定することは難しいです。
ホテルは予定できない出来事が起こる箱なんです。

私はホテルの本質はおしゃれな空間や珍しいコンテンツ、上質な接客、戦略練られた体験。そのどれでもないと思います。

「不確定で自然発生な出来事」
ホテルの本質はここにあり、私がホテルを愛せる理由もここにあります。


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