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KADOKAWAの資金調達がいろいろすごい

KADOKAWAがIP強化のため資金調達をします。

提携手法がなんともうまい

調達先がソニーとサイバーエージェントというのは、大手企業の資金調達先としてはかなりユニークな印象です。企業間の連携はよくある話ですが、連携の仕方としてこれほど目的も内容もクリア(資本注入)なのは、お見事です。

そもそもKADOKAWAは歴史的に見て、なんとも提携上手です。最近の提携はドワンゴですが、本格的なドワンゴとの統合により、魔法のiらんど以降、オンラインとオフラインの行き来を更に自在にしました。よくよく考えると、KADOKAWAの読者層とニコ動のユーザーはかなり親和性高めな印象です。

そもそもKADOKAWA(角川)はお堅い出版社として創業したわけですが、映画、コンピュータ系、ゲーム、ライトノベルと、時代ごとのディープな層にタッチできる分野にピボットする形でビジネスを拡大してきました。

amazonの台頭以来、出版事業は大きな変革がもたらされ、業界構図が激変する中にあっても、そんなのどこ吹く風とマイウェイを突き進んでいます。なにこの会社すげぇ。

今回の提携はさらにうまい

まず、ソニーは優れたプラットフォームであるプレイステーションがありますし、最近はソニー・ミュージックも奮っています。クランチロールの買収でコンテンツ配信のプラットフォームも手に入れていますので、ゲーム・アニメの面でも世界展開が見えます。

さらに昨年話題になったYOASOBIを仕掛けたのもソニー・ミュージック(しかも若手社員ですってよ)。YOASOBIは小説を楽曲コンセプトしているのが特徴的です。小説・アニメ・映画等の作品を多数保持しているKADOKAWAはこのへんでも相性が良さそう。

もう一社の出資元であるサイバーエージェントも、安定してゲーム事業を展開していますし、AbemaTVといった次世代のプラットフォームも育てています。彼らにとってKADOKAWAのIPの恩恵は嬉しいところでしょう。

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出典:2021年1Q決算発表 決算説明会資料より抜粋

課題があるとすれば

一見すると無双状態な今回の資本調達ですが、課題があるとすればKADOKAWAのIPの強さでしょうか。もともとディープな層へのアプローチを得意としている同社だけに、マス層にまで広がるような強力なIPにはまだ恵まれているとは言い難いです(わかんない、私が知らないだけかもしれないですが)。

今回の調達の半分は新規IP開発に費やすとのことですので、それこそ鬼滅の刃とかYOASOBIのようなスパイク案件を生み出せると理想的なんだろうと思います。

こいつは楽しみですね。

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