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鑑賞レビュー:ピカソを見に行ったのに気になりすぎたセザンヌのおくさん。ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展@国立西洋美術館

11月18日 上野の国立西洋美術館で開催中の「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展を見に行きました。

ベルクグリューンというのは、この美術館の収蔵品を蒐集したユダヤ人のハインツ・ベルクグリューンというひとの名前。

ベルググリューンは第一次世界大戦下でナチスの抑圧を逃れてアメリカに渡り、美術館で働きながら美術に親しんだのちパリで画商を営みながら作品を買い集めました。そして、1996年からその収集品で展覧会を開いていましたが、2000年にはドイツ政府とベルリン市の援助で主要作品をナショナル・ギャラリーに収蔵されることになり、それを記念してベルクグリューンの名前が冠されたベルクグリューン美術館となったということ。

ヨーロッパの1900年代に生きた画家やコレクターは抑圧から逃れたり、戦ったり大変な思いをして芸術作品を残されたのですね~。

この展覧会、とにかく点数が多くて、そして作品が小さくて見やすいし、秀作が多い展覧会でした。
ピカソの作品も年代ごとに丁寧に展示してあって、ピカソが何に影響を受けてどんな風に変わっていったのかもすごくよくわかった。
そして、ピカソ、作品がめちゃくちゃおしゃれだった。
あんまり好きじゃなかったけど、すごい!ピカソ!と思いながら見たのですが、

あとから思い出してみるとセザンヌの奥さんの絵が気になりすぎた。

セザンヌ 夫人 1885~1886年
キャンヴァスに油彩 

毎日毎日、飽きもせず奥さんの絵を描いたセザンヌ。
そして、それに付き合った奥さん。

セザンヌの「奥さんの絵」はどうして気になるのだろう?と考えてみたのですが…。

セザンヌ夫人が正面みてるけど視線が合わない。そして笑顔でない。
はじめて横浜美術館のセザンヌ夫人を見た時「仲が悪いのか?」と思うくらい不機嫌そうなのだが、しかし、モデルはやっているんだと思ってもやもやした。
セザンヌとセザンヌ夫人の関係性が全然わからない、という疑問かもしれないと思います。

ルノワールも、モネも、奥さんの絵はなんだかロマンチックに描いてるし、ロセッティに至っては「妻フェチ」がダダもれる絵になっていて、その関係性がみてとれるのですが、セザンヌの奥さんの絵は容赦ない日常が描かれているように見えるのです。

しかし46×38㎝の小さな絵で、顔以外はキャンヴァスの地色が見えるほどに薄塗りでありながら、圧倒的な存在感。余分なものは描かれてない。

不思議です。セザンヌ全然好きじゃないのですが。

今日、この中で一枚あげるよっていわれたらセザンヌの庭師の絵が欲しいなと思いました。

庭師ヴァリエの肖像 1906年ごろ
水彩 鉛筆 紙


いい絵ってなんだろう?





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