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Column #8 ハルコさん

初出掲載日 2018.08.31

人の呼び方は、一回定着するとそれを変えるのは難しい。本名になったけれど、僕はこれからも「ハルコさん」でも「青木さん」でも、はたまたバンドの頃の「青ちゃん」でも全然構わなくて。どちらか迷っていると言われた場合は、「じゃぁ青木さんで」とお願いしているけれど、そんな人に「ハルコさん、あ、ごめんなさい、青木さん」と何度も謝られると、「もう、全然ハルコさんでいいよ~」と言いたくなる。

先日久々に、大阪のシンガーソングライター・杉瀬陽子さんにライブ会場で再会した。去年のハルコのときから「これから青木さんって呼ばなあかんの、なんだか距離が遠くなった気がするんです」と言われていたのだが、先日も会うなり、「呼び方ってハルコさんのままでもいいですか!」と。よっぽど気になってたんだな(笑)。

ちなみに杉瀬さんはBLUE BOYのリスナーだった人で、ありがたいことにとくに僕のことを応援してくれていたらしい。そんな青ちゃん→ハルコさんをリアルタイムで経ている人に言われると、なおさら考えるのである。そう、みんなも迷っているのではないか。青木さんと呼ばなければいけないのかと。

「ハルコさん」で大丈夫です。

僕は何にも気にしていないので。もちろん「青ちゃん」でも、なんでもいいし。「青木さん」と呼んでくれた人にお釣りを多くあげるとか、そんなこともしない(笑)。

そもそも、昔から3文字の下の名前になんとなく憧れがあって、かつての「ハルコ」にしたという経緯もある。中学1年のときに「カズヤ」という、部活も一緒なら、邦楽ヒットソングを8cmCDでしょっちゅう貸し借りするような、かなり仲の良かった友達がいて。彼は誰からも「カズヤ」と呼ばれていて、隣にいる自分は常に「青木」だった。名前と苗字を比べると、やっぱりちょっと距離が遠い感じがしていたなぁ。

でも逆に、僕が人の名前を呼ぶときは、気軽な呼び名が照れ臭くて苗字で呼ぶことが多いかもしれない。心の中では「もっと近付きたい」と思っているのだけど。日本人は比較的あだ名の習慣がないのもあるけど、どんな人のことも素早くあだ名で呼んだり、なくても自分なりの呼び名を付けてしまって、あっという間に距離を縮める人もまわりにいる。到底できないなと思いつつ、少しうらやましかったり。

もちろん「青木さん」と呼ばれた距離を感じるとか、そんな話では全然ないし、そのときの気分で呼んでもらえたらOKなので。慶則さんとか、斬新でいいかもしれない。OCTOCUBEのクリスも、前は「ハールコー」(ハーは舌を巻く)だったけど、今は「ヨシ!」って呼んでくる。「ヒロ」みたいな感じだろうか。「ノリ」もありだな。もう、なんでも。

(写真はこの夏の旅行の際に乗った富山の黒部峡谷鉄道)