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blog.ver71 「時間があればやりたい。」

実はこれ私の言葉ではありません。
患者さんである高三男子の言葉です。

その患者さんとはよくお話しするのですが、その方はディズニーが大好きでその時はディズニーランドの話をしていました。

でも今は学校行事のこと、部活動のこと、受験のこと、テスト勉強のことなど今月は多くのことが重なって忙しい合間を縫ってクリニックへ来てリハビリを受けています。

そのような状況なので大好きなディズニーランドは学年が上がる前の3月に行ってその後はもういつ行けるのかといったら受験勉強が終わったらのタイミングかもしれないねって会話をしました。

とてもディスニー愛が強いので一つ質問をしてみました。


「ディズニーのキャストさんになりたいですか?」


私の意図としてはそこまで考えられた質問ではなく、単純に好きなことがお仕事としてしたいですか?みたいな雰囲気を持たせつつ興味本位で聞いてみました。

すると、


「時間があればやりたい。」


そりゃあそうですよね。
私は知っていました。患者さんが何を目指して、今一生懸命過ごしているかを。
なので今振り返ると、大変失礼な質問をしてしまったなと反省です。
話の流れで興味本位で聞いてしまった質問。そしてその質問によって何か生まれるかというと何も生まれないただただ聞いてみたかっただけの内容。

この”時間があればやりたい”という言葉の中にどれだけの意味が込められていたのか。
一回りも年下の患者さんに対して、年上というだけのスタンスで大変失礼なことをしてしまいました。


ただ年上で少しだけ早く仕事をしているというだけで大人ぶってしまいました。

ただただ少し早く社会のことをほんの少し知っているだけで。


それとともに、自分の時間がどれだけあるのかをわかっているような言葉にも感じました。
自分にはそんな時間はない。

自分の時間がしっかりと把握できており、うまくやりくりできている様子でした。

そのこと自体に私は尊敬しました。
自分にはどれくらい時間があって、どのようにして有効活用できるのかわかっている様子でした。


私は再三自負していることがあるのですが、何でもかんでも逆算をすることがとても苦手です。

これまでにやらないといけないことがあるといってもそれまでにはまだ時間があると考えてしまうのです。
とてもじゃないけどいけないですよね。

それに比べて、高校三年生の患者さんはそうではない。そんな一言でした。


こちらの患者さんの将来の夢は小児科医になることだそうです。そのためにも大学へ進学できるように勉強をされているそうです。
また、彼は母子家庭だそうです。1歳の頃に離婚されたそうです。


この二つを聞いた瞬間、もう私はどんな言葉を話したらいいのかわかりませんでした。

すでに私が経験してきた何倍も辛い思いをしてきて何倍も努力をされてきたのだと思うと想像すらできませんでした。

そんな背景があるとより「時間があればやりたい。」という言葉に重みが増しますね。

ただただ時間がないのではなく、本当に時間がないということ。

先ほども話しましたが、学校行事、部活動、受験、テスト勉強などが一度にあってテストの範囲も膨大。テスト勉強だけに絞ったとしても全ての範囲をクリアすることはできない範囲でその中でどうやってテストの点数を取ることができるのか?という勉強の仕方をしなければならないそうです。
ちなみに私はそのような勉強の仕方をしたことがないのでそれすら共感をすることができませんでした。

それほど量をたくさん行っていました。

学校行事にしても、部活動にしても、受験やテスト勉強にしても。どれをとってもかなりの量を頑張っているのだと思いました。
もちろん抽象的な話ですがその話をそれぞれ伺っているので時間の使い方が本当に上手だなと感心しました。


時間は誰にだって平等にあるのにも関わらず、人間の能力には個人差がある。
それってその人それぞれに努力した量や内容が違うし、個人差があるのは当たり前になっている。
もちろん個人差は当たり前なのだが、それでいいのかと言われたら人間は欲深いですね。
同じ量をやったからといって同じ状況になるとは限りませんし、そう考えると質も問われるのですが、同じ量をやったことによってその人と同じ分の苦しみなどの共感はできると思います。
いわゆる”戦友”みたいな感じ。能力はそれぞれだが同じことを頑張ってきた仲といった意味。

なんて時間のことを簡単に考えてみても時間って『有限』だと感じますよね。
人生で考えてもいつまでも生きているわけじゃないですし、いつまでも20歳のままでもないのでね。

人間とだけじゃなく、時間の経過はどの物体にも平等にあります。
その中で人間である私たちはどのようにその時間を使って人間界を生きていかないといけないのでしょうか。
深く考えれば考えるほど、無限にある”もの”なんて存在しないのではないでしょう。


残された自分のある時間。やはり上手に使っていくほかありませんね。


また一つ一つの行動を見直してみてください。


それでは今回はここまで。

おしまい。

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