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「学習相談」を受けて思うこと【Aflevering.130】

 今日は、オンラインでIBDPの学習相談中学受験の算数の学習相談および体験レッスンをさせていただきました。

 最近、ベルギーや南アフリカ、カナダや日本など世界各地にお住まいの方から、学習相談をオンラインで受けることがあります。学年は多岐にわたり、小学生から高校生まで相談を受けております。
 また、相談内容についても、海外での日本語能力の維持・向上帰国に向けての国語・算数の補助や中学受験の準備IBの日本語Aのサポートなど様々です。

学習への不安

 私に学習相談をしてくださる保護者も子どもも、みんな学習に対する何らかの不安を抱えておられます。
 そのため、私が相談をお受けするときは、授業でどんな内容をするのかという話だけではなく、今抱えている不安をなるべく言葉にしてもらい、不安なことをみんなで共有するようにしています。

 学習を継続的に進めていくためには、保護者と講師、生徒と講師そして生徒と保護者の関係が大切です。
 そのために対話を大切にするところから出発します。対話によって、学習に向かう「安心」を生徒に感じてもらい、最終的に目標を達成する「自信」を味わってもらいたいと思っています。

保護者が子どもに望むもの

 保護者の方々も子どもに対して「目の前の課題さえクリアすれば良い」と思っているわけではなく、自信を持って社会に出てほしいと望んでおられる方がたくさんおられます。私も親としてその気持ちには大いに共感します。
 日本の教育制度では、どこかのタイミングで入学試験を突破しなければなりません。入試の在り方に関しては見直し等が必要かもしれませんが、今の子どもたちには勉強を通じていろんな自信をつけてもらい、最終的には入試を突破できる力を付けてあげたいと思っています。

 そのため、私の授業では受験であったとしてもテクニックと呼ばれるようなものは使用しません。どんな科目のどんな問題も、言葉として頭の中でイメージしてもらいどの順番で解いていくのかはその都度考えてもらうようにしています。
 テクニックで手っ取り早くという考えもあると思いますが、思考した軌跡をその後の人生にも残るように学んで欲しいと思っています。そのため私はどの教科であっても「言語」を大切にして学んでもらいたいと考えています。

子どもが自信を持つためには

 「子どもが自信を持つ学習サポート」というのはどういうものなのかを、教員になってから約10年間ずっと考えてきました。

 それは決して「失敗しない」ということではありません。むしろ、失敗した後にどう行動できるのかが自信につながると思っています。
 私が日本の高校現場にいた時、子どもが失敗する機会が学校教育の中では限られており、とても不安になりました。授業の中でも評価がつきまとうため、子どもたちは失敗することを恐れていました。
 私もなるべく子どもたちの取り組みや努力を成績に反映させるようにしましたが、テストの点数が成績の大半を占める評価では難しかったです。

 私が今暮らしているオランダの教育は、早期に進路を分けるテストが行われていますが、テストのスコアだけを重視しておらず、学習に求めるハードルも日本に比べて低いので、日本の学習の捉え方とは少し違うように感じています。

授業を通して何を伝えるのか

 子どもが自ら考えチャレンジし、仮に失敗したとしても、チャレンジしたことから何かを学び、それを次の行動につなげる経験を何度も重ねることだと思います。

 かつて、「努力は報われるのか」というテーマで生徒と議論したことがありましたが、努力することが成功につながるかは分かりませんが、結果はさておきその努力の過程で何を学んだのかを把握する力が必要だと思います。その重要性に気づいてもらうことが私のサポートの最も大切なところだと思います。

「不安」から「自信」につながるまで

 生徒自身が自分の勉強に不安になっている姿を見ると、「これを乗り越えて心を成長させてほしいな」と思います。
 不安な気持ちは悪いことではなく、自分が成長したいという証でもあります。
 そのため、私が学習相談を受ける時は、生徒の心にあるものを言葉にしてもらいたいと思っています。

 漠然と不安に感じていることを言葉にすると、少しずつ頭の中のモヤモヤが晴れてきて自分の進みたい方向が少しずつ見えてきます。
 もしそれが見えてきたら、それも言葉にしてもらい具体化していきます。
 そして、自分が進みたい方向に進むという行動を起こしながら、自分の行動を振り返り、軌道修正しながらゴールに向かっていけるようにサポートします。
 もちろん、私の方から過去の指導から得た経験をアドバイスとして提示することはありますが、どうするのかを決めるのは学習者だと常に伝えています。
 私の役割というのは「鏡」のようなもので、学習者が自分と対話するための言葉の受け手だと思っています。

 私はあくまで、学習サポートは前から引っ張るのではなく「伴走者」だと思っています。
 横について対話をし、前に進むのを見守り、また困った時は横についてあげるような自立のサポートを心がけていきたいと思います。

 そうしたサポートによって、子どもたちが自分に自信を持てるようなってくれれば、社会に出た時に幸せに生きていってほしいです。

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