思い出は「感情」と紐づけられている【Aflevering.50】
今週の日本語教室では、先日行われた「あおぞら教室」の振り返りを授業の中で行っています。生徒たちの日本語に関わる活動を、教室での学びとつなげて、自身の「体験」をアウトプットしていきます。
今回の振り返りでは、「どんな活動があったか?」、「あおぞら教室の具体的な感想(楽しかったのなら、何をしている時が楽しかったのか)」、「次の活動までの課題(次は説明が始まったらすぐに静かにするなど)」について話し合いました。
また、その振り返りをノートに記録してもらうのですが、あおぞら教室が楽しかった記憶が蘇ってきて、文字を書く練習をする段階の生徒たちでも嫌がることなく喜んで書いてくれました(以下の写真は6歳の子どもが書いた振り返りです)。
何かを思い出す時は、その時の「感情」も一緒に思い出す
脳の仕組み上、ある出来事を思い出す時はその感情も一緒になって思い出されるそうです。
そのため、楽しいことを思い出している時は、その楽しかった「感情」も一緒に出てくるので、あおぞら教室の振り返りもノリノリでできたということになります。
また、この楽しかった経験が次の学習につながることから、日頃の日本語学習においても「ポジティブなイメージ」はしっかりも持ってもらうことが大切だと考えられます。
学習内容だけでなく、「先生や学ぶ場所が好き」でも学びが促進される
たとえ学習内容に興味・関心がない場合でも、「教える人に対する興味・関心があったり、場や雰囲気によって学びは促進される」とされています。
この観点からも、生徒との信頼関係は「学び」にとってかなり重要です。
講師や「日本語教室」という場所に対して、ポジティブなイメージを持ち続けてもらうことが、生徒の学習定着率にも影響してくるのです。
何かを学ぶときには、興味・関心を持つことが大切
私が工業高校で授業をする時、導入部分で生徒たちに「何これ?」と思わせる問いや提示する物を必ず用意していました。
その時の「何これ?」は学習にとって重要であり、これはまさに脳が学ぼうとしている状態だとされています。
しかし難しいことに、その疑問がある程度解消されてしまうと、生徒の興味・関心が一旦失われてしまいます。
そのため、また違うアプローチで授業に気持ちを向けさせないといけません。
しかし、関係ができている生徒や、そもそも社会科が好きな生徒は、「導入」の後も集中力を継続させていました。
これについて、導入部分という一部分だけで学びに持っていこうとするのではなく、授業者との関係や学習する場所の雰囲気づくりも非常に重要であることを示しています。
また、強制される学びと、自ら望んで学ぼうとする場合でも、脳の構造は全く違うようです。
生徒たちの脳は成長中なので、大人の都合で無理矢理勉強をさせてネガティブな経験をさせるよりも、子ども自身が「勉強しよう」と思える環境設定が大切なんだ言えると思います(その環境設定が何より難しいのですが、、、)。
そのためにも、日本語の学習環境はあらゆる体験と結びつかせる必要があり、生徒の感情にも注目してサポートしたいと思っております。
<参考文献>
青砥瑞人『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは』(ディスカヴァー・トゥウェンティワン、2020)
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