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予測不能な時代の働き方とウェルビーイング【322】

 以前この動画を見て学んだことや自分の考えをまとめましたが、今後の自分の考えの基礎にするために内容をまとめた記事を残しておきたいと思います。

これまでのウェルビーイングへの捉え方

経営者サイドからは「経営を阻害する」
労働者サイドからも時間を制約されることで「成長を阻害する」
→働き方改革は会社にとって不要なもののように捉えられていた

予測不能な時代

・ドラッガーの「未来」に関する言葉
「われわれは未来についてふたつのことしか知らない。ひとつは、未来は知りえない、もうひとつは、未来は今日存在するものとも、今日予測するものとも違うということである」

・無意識に「予測できるもの」だと思っていないか
 昨日やった仕事を今日やって、それを明日もやる
 終身雇用の見直しも経団連から出ている
 予測不能な時代にできることは何か

人口増加時代と人口減少時代で異なる「勝つための戦略」

現状:人口増加時代で成功した人たちが意思決定する権限を持っている
   →過去の成功体験と実績を今もそのまま現場に押し付けてくる
   人口減少はヨーロッパで始まったが緩やか
   人口減少速度は日本が追い越してしまった

人口が増加する時代の戦略

特徴:労働力が余っている、市場を拡大する
市場を広げている段階であれば、他の会社よりも早く納品できる方が売上が高まる(国取り合戦)ため、長時間労働に耐えうる男性が働いた方がいい
長時間労働を一律で進めるのが勝てる戦略

人口が減少する時代の戦略

特徴:労働力は余っていない、ニーズが細かく変化する
少ない労働人口であるため、男性・女性両方を戦力にする必要がある
育児や介護など多様な生活をしている人たちが共に働けるように、時間を減らして効果的な働き方が求められる
→多様な商品サービスを作理、細かいニーズを掴んでおくのが勝てる戦略

働き方改革で業績が上がった事例

ウェルビーイングは「継続性」がポイント

ハピネスのような一瞬のものではない継続性
心身の休息は毎日必要、キャリアのために学び続ける時間があるか
→戦略的に毎日しっかり休める環境こういったことができるかどうか

ウェルビーングは最初に働き方改革を進めるためだった
→進めていくうちに「働き方を変えた企業の業績が上がる」ことが判明

ポイントは「残業時間が減るのになぜ業績が上がるのか」

寿司チェーン「すし銚子丸」

離職率が高く、経営が負のスパイラルに陥っている状態

「今ある現状を何か変えることはないかという会議」を何度も行った
異なる立場の人を一緒にして無記名で意見を出し合う会議
→パートさんからの提案によって売上が爆増
 (お土産は高級感よりも子どもの心理を狙ってと言うアイデア)

立場の上の意見が正しいとかではなく、
職場の課題を全員の知力を結集して解決していくことが重要

コロナ禍でも最高益を出せた

株式会社オンワード樫山(ONWARD)

コロナ禍で厳しい環境、軍隊のような会社(管理職オールスーツ)

本社が出した目標に合わせて店舗が商品を売っていた
自主性を推してもそういった体制が取れていない現状

無記名で同時に意見を出すという会議

各店舗が自立的に売上を上げるために働き方を変える
自分のことを自分で決められるから仕事にも自立して取り組める
 各店舗が自主的にオンラインの在庫を確認して取るようになった

働き方の変革によって180%の利益増

今後は、自分の店舗の売上だけじゃなくて、経営志向をもってオンラインの販売も拡大する動きがある

アイシン

残業時間が減って残業代が浮いた
→それが良かったのではない

 働く時間が減り、家庭での時間が持てるようになったら、家族での時間が持てるようになる
→家族から喜ばれることが仕事のモチベーション向上につながったことで、若手社員から意見が出てくるようになった

なぜ働き方改革が業績向上につながるのか(エビデンス)

睡眠不足の上司ほど、部下に侮辱的な言葉を使う

"van veen et.al""Sleep Med Rev2021"より

睡眠の質が悪いと攻撃的に
睡眠不足の上司ほど、部下に侮辱的な言葉を使う→
働き方改革は、現場だけでなく上司や役員も睡眠時間も確保できる仕組みが必要(上司や役員にしわ寄せが行きがち)

平均睡眠時間が長い企業ほど利益率が高い

・慶應大学山本勲教授の研究結果
平均睡眠時間が長い企業ほど利益率が高い(2年後にもその傾向が続く)

※「好業績企業だから睡眠時間が長い」という逆の因果は排除済

残業が睡眠時間を短くする
→残業時間と睡眠時間は連動している

メンタルヘルス休職者が0.1%増加
→利益率が2年後に0.16%低下する
 2年後に出る結果だけに見落とされがち

睡眠時間と国民一人あたりのGDPが相関
日本はあんまり寝ていないけれどGDPが高い
→専業主婦が支えているという背景
 (ウェルビーイングは低下する)

日本ではあと1時間寝たらGDPや利益率、生産性、ワーク・エンゲージメント、メンタル疾患率低下、過労死・過労自殺防止につながる
→睡眠は国家戦略

睡眠時間と「脳」の関係

・慶應義塾大学 島津明人教授

脳の集中力は朝目覚めてから13時間まで
集中が切れた脳は「酒帯び運転」と同じぐらいの集中力しか発揮できない

集中力が低い状態で無理やり仕事をする
→ミスと事故が発生し、メンタル疾患につながる

朝起きて24時間後には最後に集中力が上がる
→アドレナリンが出て無理やりやる気を出させる
その時はパフォーマンスが向上するが、脳が起きてしまって夜寝れない状態になってしまう(翌日の業務でミスをする可能性が高くなる)

・労働科学研究所 佐々木司慢性疲労研究センター長

肉体の疲労は眠りの前半に回復して、ストレスは後半に解消する

睡眠不足は、怒りの発生源の扁桃体を活性化
→パワハラ・セクハラ・不祥事等のモラル崩壊の引き金となる

※中高年の睡眠
6時間以下で認知症のリスク3割増
→寝ている間に認知症の原因となる物質が洗い流されることが判明している

睡眠不足がもたらす学校の先生のモラル低下

学校の先生の睡眠不足
→モラルの低下による不祥事につながる

侮辱的な言葉やマネジメントを受ける子どもたちは大人のように離職できない(逃げ道がない)
抑圧された子どもたちは社会に出てからクリエイティブになれない
→自分の会社の経営だけではなく、社会全体に目を向ける(全てはつながっていることに気をつける)

日本社会全体に目を向けると、経営者は自分の会社だけに目を向けるのではなく、生産性低下の原因にもなっている学校の問題にも関心を持つ必要がある
→残業代の出ない「定額働かせる放題」の教育現場

全部繋がっていることを知る
学校の給特法には経済界にも考えておくべき

経営者・リーダーが取り組むべきこと

ウェルビーイングは1人では達成できない

「変える会議」
無記名で同時に意見を出し合う会議

フラットな関係が構築できているか

立場の異なる人同士がフラットな関係で話し合えるよう、安全性が確保された状態を作れるか

どれだけ優しい上司でも必ずベテランに忖度が起こっている

・鹿島建設
 いろんな立場の人が無記名で投票したことで、工事が始まる前に事前に問題を発見できた
 (工事が始まった後に計画を変えると大きな損失につながる)

メンバークラスにできること

自分の1日の戦略を立てて夜に振り返る
→やろうと思ったことと、やったことを比べる
 どれぐらい好き嫌いで仕事をしているかが分かる

残業の要因は外的要因ではなく、内的要因が多い
知識・スキル不足
(あの時にあの人から話しかけられたから、と思いがちだがそこに至る仕事の進め方に目を向ける)
→大きな仕事を無意識に後回しにしてしまい、上司に相談したりすることを後回しにしてしまう(就業終わりの前に新たな問題が発見され、相談する人が帰ってしまい困ってしまう)

・アンコンシャス・バイアス
自分とは違う価値観の人たちに相容れずに否定してしまう

・ライフスイッチ(ゲーム)
引いたカードの人になりきってワークとライフのタスクをこなす
どの企業が業績を上げるのかを競う
50代の男性が30代女性の人の立場を理解する(ライフのタスクが多いことに気づく)
仕事のできる人に任せすぎるとバーンアウトする

質疑応答

意思決定の人たちにどう広げていくか

年齢が高い人にとって響きやすいエビデンスを
自分が押したいものではない
(勤務間インターバルなどはEUで法律になっている)

産後うつは夫を責めることにつながる
子どもが0〜1歳になる時に妻と夫愛情は20%開きその後は変化しない
ライフ面での経営者の課題
→そういったことは意思決定者にも身近なデータになり得る

外資系企業は長時間労働で成果を出しているのではないか?

結果は出しているがライフで失っているものが多い
ワークで失ったものは取り返せるが、ライフで取り戻せないものはいっぱいある

自分のウェルビーイングだけではなく、配偶者のウェルビーイングがまわっているか
それが子どものウェルビーイングにつながる

長期のタスクに取り組むには

大事な仕事に取り組む時間が減るという考え
そういった優先度が高い大事な仕事を長期で毎日着実にするためのエネルギーと気力をためる
くだらない仕事を減らしていく

無駄な仕事は偉い人がこだわって残している可能性が高い
→メンバー層が辞めたいと思っている仕事を、偉い人のこだわりを辞めていく

未来のイノベーションにつながるものは気力がわかないこともある
→毎日15分ずつでも取り組んでいく余裕を残しておく

長く働く方が良いという日本人としてのマインド

・日本の法整備の問題
 日本の残業代が他国よりも安い
 EUではインターバル(11時間空けないといけない)仕事が属人化しない
 →日本はどちらにも入ってない(労働法整備の不備)

・マネージメントの仕事内容は変化した
 人口増加時代では強いマネージメントが求められていた、そういったカリスマ性やスタープレイヤーで仕事をこなしていた
→人口減少時代は、いろんな制約を抱えているチームでうまくパスを回していく必要がある

心理的安全性が高いチームは生産性が高い

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