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オランダ人パイロットのパパが教えてくれた「幸せに生きるために必要なもの」 - ビーチでクラス会② 【Aflevering.76】

 Scheveningenのビーチでのクラス会について、昨日の記事では、クラスメイトの保護者の人たちとまだ慣れない英語でコミュニケーションを取ろうと頑張った話をまとめました。

 今日は、そのクラス会で世話役をしてくれたパパと話したことについてまとめておきたいと思います。

ライフワークバランスの取れた日々

 彼の仕事は飛行機のパイロットです。かつて10年ぐらい前は、日本の小学生がなりたい職業の上位にランクインしていた花形の職業です。
 そんな彼は、パイロットの仕事も家庭も両立しています。奥さんの調子が悪い時は、3人の子どもの世話をしながら、フライトの仕事や他のスタッフのコーチングなどをしているそうです。

 オランダの人たちと話していると、仕事と家庭の両立は当然という感じで話している人が多いように感じます。
 私が日本にいた時は、「時短勤務は選びにくい」とか、「出産したら働きたいけれど子どもの世話もしたいから諦める」と言っていた友人がいましたが、オランダでそういう声を今のところ聞きません。例外ももちろんあるとは思いますが、制度としてそういった働き方が選べるようになっているんだと感じます。

「両立することは大変?」と聞くと、
「まあ大変だけど、今は妻が体を動かすのが辛いし、3人の子どもたちの面倒を見てあげたいからどっちも楽しんでやっているよ!」と答えてくれました。

 私も比較的ポジティブ思考で生きてきたと思っているのですが、オランダの人たちの話を聞いていると、それが基本スペックという感じでいつも驚きます。

パイロットを本格的に目指したのは17歳

 彼は17歳の時にパイロットになることを考え始めたそうです。
 当時は、パイロットになるための学校ではなかったので、学年を落としてパイロットになるために必要な学び直しをしたと教えてくれました。
 学び直しを決してネガティブだと考えることなく、自分の決意を前に進めようとする考えはとても魅力的に感じます。

彼が話の中で語ってくれた、
「難しくはないけれど、たくさん努力はしたよ!」

という言葉の中には、彼の自信のようなものを感じました。

「学び直し」をどう捉えるか

 仮に日本の高校生が、17歳でパイロットを目指した場合、進路を実現するために専門学校や大学を探して勉強し始めると思います。
 しかし、もし既に高校3年生とかになっていて選択科目などがうまく噛み合っていない場合、どのような選択をするのでしょうか?

 日本の学校では、同年齢の意識が強いため、他の年齢の生徒がクラスにいるというのは違和感を抱く生徒が多いと思います。
 その原因として、義務教育段階では原級留置はなく、同年齢が当たり前という意識が高校になってもそのまま続くからではないでしょうか。
 そうすると、「学び直し」は他の人と「違う」「遅れている」というような、同質集団から離れた存在として見られ、さらに競争意識の強い学校の中ではネガティヴに捉えられがちになってしまいます。

 その一方で、オランダに暮らしてから、留年経験のある子どもの話を聞いたり、自分の進路実現のために学年を下げて勉強し直した話をいくつか耳にしてきました。
 少なくともそのパパの話を聞いていると、彼が自分の夢に目覚めた時にやり直しができる雰囲気で、進路に合わせた選択ができるというのは重要だと思います。

厳しく見えるオランダの教育制度

 オランダの教育は、小学校を卒業する段階で進学できる学校が分かれるため、一見厳しい制度に見られます。
 しかし、進学する学校を決める時は、テストの成績も含まれますが、それ以外の要素も含めて総合的に判断されます。ただ、進路の決め方に関しては、学校や先生によって異なるようなので、一概には言えません。
 仮に、中学校に進学した後に自分の希望する進路に合わせて学校を変更することも可能です。しかし、今回の話に出てきたように相当な努力を必要とします。

 オランダの教育の特徴については、私がオランダの教育について調べて学んだことを、こちらの記事にまとめています。もしよければご覧ください。

 このように、中学生から学校のレベルが分けられることに対して、日本の学校教育の感覚としては違和感を覚えますが、そもそも学習に対するハードルの高さは日本に比べ低く設定されており、その後も調整できる余白を残していることがポイントです。

学び直すチャンスで子どもは輝く

 社会制度上、すべての要望は受け入れられないとしても、なるべく子どもが見つけた夢や目指したいものに対して、それを支えてあげられる柔軟性はとても重要だと思いました。

 ただそれらは、制度以上に私たち一人ひとりの意識が子ども一人ひとりに向いているかどうかが重要なのかもしれません。他と比べてどうではなく、その子自身を見て、その子にとっての幸せは何かを考えてサポートすることだと思います。

 オランダの子どもたちは、いろんな大人や社会制度に守られて子どもらしく育ち、自己肯定感を高めていきます。
 仮に途中で他の人より遅れて学び直したとしても、そのことすらも成功体験としてその人の人生の糧となるのです。そうやって育った子どもたちは、やがて「幸せな大人」になります。

 すると幸せな大人が、「幸せだ」と感じながら子どもを育てて、その子どもも幸せになる。
 そういった循環が、オランダの子どもたちが世界一幸せと言われる要因なのかもしれません。

 パイロットの彼が、今大変なこともこれまでにしてきた勉強の苦労も素敵な笑顔で話してくれるので、その表情を見た私は「この人は間違いなく、自分は幸せだ!と思っているだろうな」と思っていました。
 気になって「今幸せですか?」と聞いてみると、やはり彼は「幸せだよ!」と答えてくれました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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