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オランダの子ども向けニュース番組で紹介された「子どもの権利条約の日(de dag van het kinderrechtenverdrag)」【351】

 先日、オランダの子ども向けニュース番組'NOS Jeugdjournaal'(ノス ユーショナルが近い読み方だと思います)で、「子どもの権利条約の日」について紹介されていました。
 日本では、2023年4月に子ども基本法が施行され、「子どもの権利」について少しずつ考え方が広がってきたのかなと思っています。子どもの自立に重点を置いているオランダでは、子どもの権利についてどのように報道されているのか気になったので、詳しく見てみることにしました。

ニュースに関する動画はこちらです。
もちろん現地のオランダ語での報道になります。

Kinderen praten over hun rechten: 'Wij zijn toch de toekomst'
子どもたちが自分たちの権利について話す
「私たちは結局は未来なのです」(直訳)

11月20日は「子どもの権利条約の日」

 ニュースの概要は以下のように書かれています。

子どもの権利について、毎日考えることはあまりないかもしれません。
11/20は「子どもの権利条約の日」であるため、この権利に関しハーグで9つの異なる学校の子どもたちが集まり、子どもの権利について話し合い、議論しました。

デン・ハーグで9つの学校が集まって議論

 ニュースの中では子どもたちが意見を出し合う様子が簡単に写っていました。その後の子どもたちのインタビューの中で出ていた話が印象的でした。

「投票権がなくても行動することが次の何かにつなげたい」
「子どもが自分の意見を言えるのは重要なことだと思う」
「自分らしくいられることが重要だと思う」

など、子どもたちから権利の意識や、個人としてのあり方について考えることが、その後の子どもたちの人生において重要になると感じました。

子どもの権利条約とは?

子どもの権利条約について(番組内で紹介されていました)

子どもの権利条約で特に重要なポイントは、
・外で遊ぶこと
・自由な時間が十分にあること
・自分の意見を持つことが許される

1989年の制定当初の子どもたちは

1989年の子どもたちが意見を表明している様子
字幕は「私たちは戦争について心配しています」

 当時の子どもたちは、「戦争についてもっと考えなければならない。爆弾や戦争ではなく、良いことにお金を使わなければならない」という話をしていました。おそらく、冷戦や内戦が背景にあり子どもたちの関心は平和に向いていたのかもしれません。

 当たり前のようなことに感じますが、私は「子どもの権利」というのは意識しておかないとついつい忘れてしまいます。将来の社会が未知数なだけに、親としてはいろんな不安がつきまとい、子どもたちの「今」を大切にする視点は持ち続けておきたいと思います。

子ども基本法は機能しているのか?

 改めて、ニュース内では「自分の意見を表明することは重要だ」という意見が子どもたちからよく出されていました。オランダで生活していると、なるべく子どもたちの自立を願った声かけや育て方をしている人が多いと感じます。一方で、日本ではどうでしょうか。
 私はもう日本を離れて3年が経過しますが、オンラインで日本にいる子どもたちの授業をしていると、まだまだ子どもの自立について大人が理解できていないことが多いと感じることがあります。ほんの一部ですが、中高生でも横で授業を聞いていて、子どもの代わりに話そうとする保護者もいます。

 いまだに子どもの意見や考えを「わがままだ」とか「子どもは未熟だから大人の言う通りにしてれば良い」という考えが、日本でも世代によっては残っているのかもしれません。
 しかし、これからは社会がどう変化するかわからない状態で、自分で考えて決断し、自分の力で周りの人と助け合いながら、その都度決断していかなくてはなりません。しかも、その時には親はその判断に関われない可能性が非常に大きいです。だからこそ自立が今後は必要不可欠になります。
 私も含めすでに古い価値観に縛られている大人に邪魔されることなく、その時代に合わせた生き方を子どもたちができるようにすることが必要だと感じました。

 日本では「自分らしく」や「自己主張」は、自分勝手と捉えられることもあるかもしれません。
 自分らしさ、個性、自立を認めてもらいにくい時代で育った人たちは、時代が変化していることを認識できておらず、「そうはいってもなかなか思い通りにはいかないものだ」といって、その時代の価値観を押し付けてくることがあるかもしれません。
 しかし、自ら環境を変える意思を放棄してしまうと、結局は何も変わらず、いつの間にかその責任を他に押し付けたり、他に頑張っている人を非難してしまうようになるのではないでしょうか。私がこれまでに出会ってきた人たちの中にも、思考停止状態を自分で認識できておらず、何かにつけては人の批判ばかりする人がいました。実はその人自身が、無意識に一番苦労しているのかもしれません。

オランダ語に触れる大切な機会としての(子ども向けの)ニュース

 私自身、オランダで放映されているニュースは言語的にハードルが少し高いような気がするので、子ども向けのものがちょうどよく感じます。また、子どもに社会への関心を持たせるための子ども向けのニュース番組ではどんな内容が報道されているのかが気になったので、子どもと一緒に見ています。

 オランダ生活をしている私にとっては、自分のオランダ語の勉強になるとともに、娘がニュースを知ることで世の中に関心が持てるようになってほしいと思います。

 それにしても、'NOS Jeugdjournaal'はテンポがよく事実のみが報道され、イスラエルの戦争のことや世界の気候変動のことが話されたり、オランダで起こったこと、その他エンタメ系などバランスも取れています。
 また、コメンテーターや専門家が登場して同じ議題に対してずっと話し合うこともなく、どちらかというと子どもたちにインタビューをしたり、現地の人の声を届けていました。


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