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映画「硫黄島からの手紙」からの学び[094]

 映画を観て考えたことを記録しています。この映画は、第二次世界大戦時に激戦地であった硫黄島での戦いを日本側からの視点で描かれている作品です。

 相手を「知らない」状態というのは、人間に強い恐怖や不安をもたらすということを改めて感じさせられました。
 1人のある若い日本兵が、アメリカ人に対してかなりネガティブなイメージを持っているのですが、彼はアメリカ人に一度も会ったことがありせん。
 これまでに、学校などで教わってきた誇張された負のイメージをそのまま植えつけられているのです。
 そんなアメリカ兵に対して、とても悪いイメージを持っていた彼ですが、戦闘中に捕虜を捕まえた際に、その捕虜を生かすか殺すかという判断をするところで、敵であるアメリカ兵にも同じ家族がいて、家族への思いや家族との繋がりは日本人と変わらないことが分かります。
 そこで、自分が抱いていたこれまでのイメージと現実が違うことに困惑するのです。

 この作品の中では、「相手を知る者」と「相手を知らない者」の間で、考え方や行動に大きな違いがあらわれていました。

「俺は敵のことを何一つ知らない。」
 知らないということは、不確かな情報も鵜呑みにしてしまうということです。
 また、誤解によって生まれた対立や闘争は、後になってからでは取り返しがつかないことも、人類は既に経験しています。

映画を観て考えたこと

 ある事柄について、まだそれをよく知らない人へのイメージの刷り込みは本当に恐ろしいものだと思いました。
 海外で子育てをする時に、親が子どもの前で現地の人々に対する差別的な発言を繰り返していると、子ども自身も無意識に差別の意識を持ってしまうという話を聞いたことがあります。
 そして、その子が現地の学校に通っている場合、その学校にいる間は不安定な気持ちになってしまい、本人の精神や学力にも影響してくると言われています。

 たまにそういう差別的な発言を子どもの前でしている人を見かけるのですが、「この人も何か嫌な思いをした経験があって苦しみを背負っているのかな。」とも思います。
 しかし、その意識が継承されてやがて大きな対立を生み出す可能性だってあります。

 多様性が進み、不安が立ち込める現代だからこそ、自分たちの発言や考えを一度俯瞰して見る必要があるのかもしれません。

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