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Eduble日本語教室、オンライン家庭教師記録(2020〜)

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オランダのデン・ハーグで運営している学習教室や、オランダ以外の日本その他の国在住の生徒のオンラインサポートの記録をしています。授業で大切にしていることや、私自身が学んで気づいたこ…
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#最近の学び

自立型自習に必要な「読んで理解する基礎的な力」②-教育のための科学研究所のRSTから学んだこと【Aflevering.153】

 前回の記事にて、私がこれまでに経験してきた学習方法を脱し、時代の変化に合わせて学習方法も変えていこうと思ったきっかけについて書かせていただきました。今回この記事では、高校の学校現場にいた時に実践したことや考えていたことをまとめておきたいと思います。 穴埋めプリントが子どもたちから奪っていたもの 私は初め、穴埋めプリントに対して何の疑問も抱いていませんでした。教科書の内容を分かりやすくまとめ、板書の時間を省くことで効率よく学習が進められると思っていました。しかし、それがまさ

自立型自習に必要な「読んで理解する基礎的な力」①-教育のための科学研究所のRSTから学んだこと【Aflevering.152】

 子どもたちの教育に関わる上で、何を大切にすれば良いのかについて考えたことをまとめています。私が教育に携わる者として、そして子育てをする親として、子どもたちにどんな力をつけさせてあげるのが良いのか、自分が受けてきた教育とこれから目指したい教育の狭間で迷っていました。  そんな時に、新井紀子氏の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』『AIに負けない子どもを育てる』の両著書が、悩んでいた私に一筋の光をさしてくれました。今回は、これらの著書を読んで感じたことをいくつかの記事に

小学生の対面授業とオンライン授業の違い【Aflevering.116】

 今日は、対面とオンラインの両方の小学生日本語学習サポートの授業をさせていただきました。対面では1年生、オンラインでは4年生と5年生の授業でした。今日は、対面とオンラインの授業をそれぞれ比較して考えたことをまとめておきたいと思います。  私の中では、子どもの学習意欲や集中力の継続の有無によって、オンライン学習を充実させられるかどうかに大きく影響してくると考えています。 小学低学年は対面が圧倒的に有利 対面では生徒観察が容易です。目の前の子どもたちは、集中している状態なのか、

「集団の学び」と「個別の学び」【Aflevering.123】

 私は「教育」に対してずっと考えていたことがありました。  それは、学習内容の決定権をどれぐらいの割合で進めていくかということです。それは、年齢や子どもの性格、学習の目的によって変わってきます。  子どもたちの自主性を保ちつつ、学びを先につなげるためにはどうすれば良いのかということを考えていました。  ある時、そのヒントになるものをある書籍から見つけました。教育とは「啓蒙」としての役割を一部持っている、という考えです。  特に幼い子の場合、読み書き計算など社会生活に欠かせな

数学の指導から感じる「言語」の大切さ【Aflevering.121】

 今日は久しぶりに高校レベルの二次関数の授業をオンラインでさせていただきました。  数学の授業をするのは約10年ぶりでしたが、高校生時代に苦労して習得した「二次関数」は今でも忘れることはありません。  とは言っても、工業高校の教員をしていた時に、企業の就職試験や公務員の試験に関数はよく出てきていたので、その感覚が残っていたのかもしれません。 高校数学(基礎)に触れて 私は今、日本語学習のサポートとして主に未就学児や小学生を中心に国語や算数の授業をさせていただいています。  

漢字学習と語彙力【Aflevering.92】

 日本語教室の小学生の授業で重点的に取り組んでいるのは、語彙力の強化と表現力の向上です。  これには毎日の家庭学習が欠かせないのですが、週1回の授業であっても何か学習の刺激になっるために取り組んでいます。  語彙が増えれば、自分の言いたいことも表現できます。日本語が自然とどこにでもある環境であれば問題ないのかもしれませんが、海外のように日本語に触れる機会が限定的であれば、子どもたちの語彙も限定的になります。  子どもたちに会うことができるのは、たったの週1回90分です。そ

大人が考えた「学ぶべき順番」よりも、子どもが考えた「学びたい順番」の方が大切な時もある【Aflevering.72】

 昨日、日本から送ってもらった荷物が我が家に届きました。その中には、日本語教室で使おうと思っていた「将棋セット」も入っていました。そこで早速、授業終盤の自由時間で将棋好きの生徒たちに見せてみました。  生徒たちは嬉しそうな表情を見せて、それぞれ木の駒を持って打ち方の練習をしたりしていました。  夏休みを利用して日本に帰る生徒が、日本にいる祖父と将棋をしてみたいから授業に取り入れてほしいという要望がありました。そのため、授業の一部を将棋かつ漢字の学習として取り入れています。

高校入試対策 - 日本の公立高校とIBDPの入試問題演習【Aflevering.53】

 日本語教室の中学生クラスでは、生徒それぞれが希望する進路に合わせた授業をしています。  具体的には、帰国に向けた普通科高校の入試対策や、IBDPの入試対策などをしており、主に読解問題や文法、小論文など多岐にわたります。 問題傾向の違いについて 日本の一般的な高校入試の場合、私がこれまでに演習でみてきた限りでは、読解問題となると問題作成者の意図に沿って答えを出さなければならないことが多く、正しく読めたかどうかに焦点が当てられています。  問いから少しでも逸れた解答を書くと、

思い出は「感情」と紐づけられている【Aflevering.50】

 今週の日本語教室では、先日行われた「あおぞら教室」の振り返りを授業の中で行っています。生徒たちの日本語に関わる活動を、教室での学びとつなげて、自身の「体験」をアウトプットしていきます。  今回の振り返りでは、「どんな活動があったか?」、「あおぞら教室の具体的な感想(楽しかったのなら、何をしている時が楽しかったのか)」、「次の活動までの課題(次は説明が始まったらすぐに静かにするなど)」について話し合いました。  また、その振り返りをノートに記録してもらうのですが、あおぞら