間違わないで! 自己肯定感の正しい高め方 【Beingへの自己受容】
こんにちは、野口嘉則です。
自己肯定感が高い人は、「メンタルが安定していて、人間関係を楽しむことができ、人生に対する満足度が高い」ということがわかっています。
ですが、多くの人は、間違った方法で自己肯定感を高めようとしていて、そのため逆効果になっています。もしかして、あなたはそれをやっていませんか?
今日は「自己肯定感を高める、たった一つの効果的な方法」についてお話ししていきます。
<自己肯定感についての勘違い>
自己肯定感を高めたいと思っていろいろやっているのに、自己肯定感がなかなか高まらない、という人は少なくありません。
自己肯定感とはなにかというのを誤解していて、間違ったやりかたで高めようとしているからなんです。
自己肯定感というのは「自分が自分であるという確かな感覚」のことを言います。「自分は自分であっていいんだという感覚」、それが自己肯定感です。
この自己肯定感が低い人の特徴を以下に挙げてみますね。
実は、昔の僕がまさしくこのすべてに当てはまっていました。
だけど、自己肯定感が高まってくるにつれて、人の目があまり気にならなくなり、人の言葉や態度で傷つきにくくなりました。また、相手が思いどおりにならないことを受け入れることができるようになりました。
自尊心が高まって、自分を大切にできるようになるとともに、相手のあり方を尊重したり、相手と自分の違いを尊重したりできるようになったわけです。
では、どうすれば自己肯定感を高めることができるんでしょうか?
自己肯定感は、たとえば仕事で大きな成果を出したからといって高まるわけではありません。学業で優秀な成績を取ったり、難関大学に合格したりしたところで、それで高まるわけではないんです。
実際、仕事はそれなりにできるのに自己肯定感が低い人や、高学歴なのに自己肯定感が低い人はたくさんいますよね。
また、自分のいいところを見つけて肯定したり、自分のできているところを見つけて自分を褒めたり、そんなふうに自己肯定をしても、自己肯定感は高まりません。
自分を肯定したり褒めたりすると、一時的に自信がつくことはあります。
だけど、自信というのはなくすこともありますよね。自信というのは、その時々によって上がったり下がったりするんです。
一方、自己肯定感は、積み上がっていきます。
一度積み上がった自己肯定感は落ちたりしないんです。
<自己肯定感を高める唯一の方法>
自己肯定感を確実に高めるたった一つの方法、それはスバリ「自己受容」です。
「自己肯定感は、自己肯定ではなく自己受容によって高まる」ということがさまざまな研究によってわかっているんです。
<いちばん重要な人間関係>
自己受容について話すにあたって、ひとつ、質問をします。
あらゆる人間関係の中で、【いちばん重要な人間関係】は、誰との関係でしょう?
いちばん重要な人間関係…。
その答えは、【自分との関係】です。
だって僕たち、自分とは24時間ずっと一緒にいるわけです。
いつも一緒にいる人との関係がよくないと、生活していて居心地悪いですよね。
そして、自分との関係は、他のありとあらゆる人間関係の「ひな型」になります。
ちなみに、「こころの中にあるひな形」が人間関係に影響する、という話は前回の記事でお話ししています。
前回の記事はこちら↓
そして、こころの中のひな型でもっとも重要なものが、「自分との関係」なんです。
「自分との関係」が、自分をとりまくすべてての人間関係に大きな影響を及ぼすからです。
ここでいう自分との関係とは、こころの中にある「見つめる自分」と「見つめられる自分」の関係のことです。
<自己受容と他者受容は比例する>
あなたのこころの中にいる「見つめる自分」は、受容的ですか? けっこう手厳しいですか?
もしも、「自分を見つめる自分」が手厳しいと、なにかにつけ「こんな自分じゃダメだ」「こんな自分って情けない」と感じちゃいますよね。
そうなると、自分との関係はあまり良くないことになります。
逆に、「自分を見つめる自分」が受容的だと、どんなときの自分もありのままに受け入れることができます。
そうなると、自分との関係が素晴らしくいいということになります。
この状態を「自己受容」っていうんですね。
そして、自己受容と他者受容は正比例するということがわかっています。
つまり、僕たちは、自分のことを受容することができればできるほど、他者のことも受容することができるようになるということです。
ここで、3人の娘を持つ母親が、心理学者とした会話を紹介したいと思います。
母親いわく、長女と次女は外交的な性格なのに、三女は自分に似てとても内向的な性格だとのこと。
そして、母親は、内向的な自分を受けいれていませんでした。
「内向的な自分はダメだ」「自分はもっと外向的にならなきゃいけない」
というふうに、自分のことを受容できていなかったんですね。
なので、自分そっくりの三女も、受け入れることができなかったというわけです。
この気づきをへて、自己受容に取りくんでいった母親は、結果的に三女のこともそのまま受容することができるようになりました。
まさに、自己受容と他者受容は正比例するという話ですよね。
良好な人間関係を築けることは、幸せな人生を実現するカギとなりますが、それにはまず自己受容が大切なんです。
<Beingを受けいれる>
ではさっそく、自己受容とはなにか、という話を具体的にしていきましょう。
さきほど、自分の中に「見つめる自分」と「見つめられる自分」がいると言いました。その「見つめる自分」が、ありのままの自分をそのまま受けいれること、が自己受容です。
でも、ありのままって言葉が抽象的でわかりにくいですよね。
ありのまま、を具体的に説明するために、僕たち人間を以下の3つのものに分けて説明します。
Doingというのは、行為のことです。
「仕事をがんばる」
「いい子にしている」
「人にやさしくする」
これらはすべて、自分の行為のこと、Doingです。
次に、Havingというのは手に入れたものや持っているものことを言います。
「仕事で出した実績」
「勉強の成績」
「手にいれた地位やポジション」
「才能」
これらのものはすべて、手にいれたものや持っているものなので、Havingです。
そして3つ目のBeingは、自分の存在そのもののことです。
何をしていようがしていまいが、何を持っていようが持っていまいが、今自分がここに存在している、その存在そのものがビーイングです。自分の命と言ってもいいですね。
「自己受容」とはありのままの自分を受けいれるということでしたよね。
そして、ありのままの自分を受け入れるとは、自分のBeing・存在を受け入れるということなんです。
そして、大事なポイントとして「DoingやHavingにおいて、自分を褒めても、自分のBeingはちっとも安心できない」っていうことがあります。
むしろ、DoingやHavingに焦点を当てればてるほど、Beingは不安になっていくんです。
アドラー心理学では「褒めることの弊害」を指摘しています。
よくある褒め言葉を例に考えてみると、
「仕事が早くてすごいね」「休まずがんばっててエラいね」はDoingを褒めてますよね。
「年収がそんなにあるなんて立派だね」「たくさん友達がいて人気者だね」はHavingを褒めてますよね。
褒められるということは、評価されるということです。子どもは、いつもDoingやHavingを褒められてばかりいると、人の評価を気にするようになってしまいます。
そして、褒められる自分でないと価値がないと感じるようになり、自己肯定感が下がってしまうんです。
「〇〇をやっているからすごいね」「○○を達成したから素晴らしいね」っていう条件つきの褒めかたを、「条件つきストローク」といいます。
僕たちは、条件ストロークばかり与えられていると、存在そのものが不安になってくるんです。
<誰でも今日からできる自己受容>
自己受容とは、自分のBeingを受けいれることです。
では、「Beingを受け入れる」というのはどういうことなのでしょうか。
「Beingを受けいれる」というのは、自分が感じていることを、いい悪いの判断をくだすことなく、そのまま受けいれるということです。自分の感情をあるがままに受け入れるということです。
そして、誰でもいますぐ始めることができます。
例えば、自分のことが嫌いな人がいるとしますよね。
そんな人に、自分のいいところを見つけて自分を肯定しなさいと言っても、それができなくてそもそも悩んでいるので、ますます追い込まれていくわけですよね。
でも、自己受容であればすぐにやることができます。
「自分は自分のことが好きじゃないんだな、それが自分なんだな」と認めるだけなんです。
無理して自分のいいところを見つける必要もない。自分のことを好きじゃないありのままで、自己受容は始めることができるんです。
そして、実際に自己受容が深まっていくと、結果として自己肯定感が高まり、自分のことを好きになっていきます。
<子育てにおけるBeingの受容>
子育てしているときにも、このBeingの考え方はとっても大切です。
子どもは、親から自分の感情や感じていることを受容されると、自己肯定感が育ちます。
子どもが悲しくて泣いてるときに、「いつまでも泣いてないで元気出しなさい」って、親はよく言っちゃいますよね。
でもこんなふうに励まされると、子どもの悲しい・泣きたいという感情が受容されないままになってしまいます。逆に「悲しいよね」って受容してもらえると、子どもは自分自身が受け入れられたと感じるんです。
また子供が怖がってるときにも、「大丈夫だよ、怖くない怖くない」ってついつい言っちゃったりしますよね。
そうすると、子どもの中にある怖いという感情は無視されてしまったことになるんです。逆に「怖いよね」としっかり寄りそってあげると、子どもは自分という存在・Beingを受けいれられたと感じるんです。
自分の感じていることを受容しつづけてもらえると、子どもは自分が感じていることに対して、「これでいいんだ」と思えるようになります。
こうやって自己肯定感が育つんです。
子どもが怖がっているときに「怖いんだね」とかえすことを、ハインツ・コフートという心理学者は、「映し返し」と呼んでいます。
まるで鏡になるように、子どものこころの中にある感情を、そのまま言葉にして返してあげるわけです。
コフートは、自己愛の研究で非常に有名な心理学者ですが、自己愛が健全に育つ条件として、子どものころに映し返しをたくさんしてもらうことを挙げています。
また、ウィルフレッド・ビオンという心理学者がよく使ってる言葉として「ネガティブ・ケイパビリティ」というものがあります。
ネガティブなものをネガティブなまま受けいれるチカラのことです。
落ちこんでる子どもに対して、ムリに元気にさせようとさせず、「落ちこんでいるんだね」と受けいれてあげられるチカラとも言えますね。
「ネガティブ・ケイパビリティ」の能力は、心理カウンセラーのような仕事をするうえでとっても重要です。
なので、プロのカウンセラーは「ネガティブなものをネガティブなまま、わからないものもわからないまま、不完全なものを不完全なまま、今ある状態をあるがままに受け入れる」っていうのを訓練しているんです。
心理療法家のカトリン・アスパーの事例をひとつ紹介します。
子どもだったクライアントは、感じていた「悔しさ・悲しさ・恥ずかしさ」をまるでないものかのように扱われてしまったわけです。
これを、「情緒的見捨てられ体験」といいます。
そして彼は、この出来事のあと、こころを閉ざしがちになってしまったんです。
もちろん、彼の母親に悪気はありませんでしたし、母親が悪かったという話ではないんです。
ただ、母親に「ネガティブ・ケイパビリティ」がなかったんですね。
ただ、プロの心理カウンセラーじゃない普通の人が「ネガティブ・ケイパビリティ」をしっかり備えてるってことはそうそうないことですから、この母親が責められる話ではないということです。
この例では子育ての観点から話をしましたが、自分が悲しいときに、自分に対して「悲しいんだね」と、自分で映し返しをしてあげれば、これが「自己受容」なんです。
<まとめ>
今日お伝えした「自己受容」は、だれでもいつでもやってみることができるものです。
ぜひ「自己受容」を実践して、着実に自己肯定感を高めていってくださいね。
僕のnoteでは、読めば読むほど「自己肯定感が高まり」「人間理解が深まり」「人間力が養われる」コンテンツをお届けしています。
これからも確実に自己実現へ向けて進みたい方、ぜひフォローをしてたくさんのヒントを受け取ってくださいね!
ではまた、次回の更新をお楽しみに!
動画で観たい方はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=OPjh6pD2dK8
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