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「従業員パフォーマンスの向上」を要素分解してみた

こんにちは。XTech Venturesのたかしみずです。

今回はあえて、人材領域ではフォーカスのあたりがちな「採用」ではなく、「従業員パフォーマンス向上」にはどんな要素が必要なのか、スタートアップ事例と合わせてまとめてみました。


「従業員パフォーマンス向上」に必要な要素は何か?


>まず、なぜ「従業員パフォーマンス向上」なのか?

HR Tech Conference 2020で発表された今後予測されるHR分野の主要な動きについて以下記事がわかりやすくまとめてくださっています。
https://note.com/iwacciii/n/n5e1a6ba03f6c?magazine_key=m9d693a822bdf

簡潔にまとめると、、
1. HR TechからWork Techへ
ー個人がパフォーマンスを出すための環境や仕組みをサポートすることの重要性が増している
2. HR Action Platformへの進化
ー従業員の声を集めて改善対応をするだけではなく、能動的に良い行動を促すレコメンドをする

3. ジョブベースからスキルベースに
ープロジェクト型の働き方が増え、スキルベースでの人材把握が急務になっている
4. 社内外問わないタレント活用へ
ー外部タレントの獲得
5. 高い次元のウェルビーイング
ー心身の健康をビジネスパフォーマンス・社会貢献につなげること

1、2、5について従業員のパフォーマンスをどう企業価値向上につなげるのかにつながるテーマであり、重要な課題として認識されていることがわかります。


>ではどのような要素が従業員パフォーマンスの向上には必要か?全部で7つに分解してみました。事例は大小様々ですがご参考まで。

①適切な内定〜入社までのフォロー

→入社前の条件交渉や配置に関する本人とのすり合わせはセンシティブかつ、想像以上に重要で、入社後のパフォーマンスまで影響します。エージェントをしていた時に痛感させられました。。

BluElement(インド)のEngageLoopというサービスが面白い取り組みをしています。

候補者と会社間のセンシティブな内容をすり合わせやすくするため、(給与、役職、ストックオプション、福利厚生など)面接時や、エージェントとの話し方、声のトーン、適性検査などを分析して、それぞれの観点について候補者の満足度スコアをつけます。そのデータをもとに話し方のレコメンドをしてくれ、エージェントや企業から適切なアプローチをすることができます。

②適切なオンボーディング

→そして適切な入社時研修や、OJT、入社後のフォローやサーベイを活用。企業によってはインターンや副業として実際に働いてもらってから採用をするケースも。以下は一例です。

③働く環境/ツールの整備

→Work Techに代表されるもので、ここでは割愛させていただきますがコミュニケーションの環境を整えるバーチャルオフィスや、共同作業を容易にするチーム作業用ツール、カレンダー、タスク管理ツール、日報など様々です。

④状況把握と行動促進

→サーベイなどによる従業員の状況把握にとどまらず、行動促進につながるレコメンドや、コーチングを一緒に行うことが肝になってくるのではないかと思っています。1on1のための管理ツールや、コーチング提供も増えています。

Hibob(アメリカ)は、Slackなどのツールと連携させることで、日々の会話量・タスク状況から、企業内のリアルグラフの生成、パフォーマンスを発揮する人、離職リスクのある人の発見、そして対応方法の提案ができます。

⑤スキル教育

→企業向けの教育コンテンツ、教育会社も数多くあります。個人へリカレント教育の軸足が移る一方で、企業としても優秀な人材をつなぎ止めるため、そして採用が難しい分野において自社で教育するという動きが大きいです。

⑥適切な人事評価と給与・役職への反映

→適切なフォローやスキルアップができる環境であっても、それが評価や給与・役職へ反映されないと持続的なパフォーマンスの向上、定着は難しいと考えます。

例えばPave(アメリカ)では、給与・報酬管理ツールを提供しており、複雑化する株式報酬のベスティング計画やボーナス、過去の人事評価も一元管理ができます。2019年に創業しましたが、今年の夏にシリーズBを終え、累計60億円ほどを調達しています。

⑦ライフイベントに合わせたウェルビーイング

→最後にウェルビーイングとしてはサービスの幅がとても広いですが、福利厚生などをどうパフォーマンスと社会的意義のあるものにつなげるかが重要であると思っています。

わかりやすい例として、コロナ禍で幼稚園が閉鎖される中、アメリカでは子供を持つ従業員向けにチャイルドケア施設の確保や、ベビーシッター料金の補助を行う福利厚生が急増しました。それにより子供が安全に、かつ働く親が仕事に集中できる環境を作ることができます。


以上全てが従業員パフォーマンス向上に重要であり、広い意味でのHR Techと言えるのではないかと思っています。


日本企業の人事データ活用の現状とHR Tech

そもそもHR Techの中でも採用に直接関わらない分野(従業員満足度向上、従業員評価・配置など)が導入され、うまく活用されるには、人事データが従業員一人一人に紐づいてしっかり整備される必要があります。

HR領域は、採用情報、異動情報、退職、エンゲージメント、スキル、トレーニング、パフォーマンス、評価、給与。さらには誰が誰とやりとりしているのかというコミュニケーションやネットワークデータなど様々なデータが存在します。

しかし、データ整備・活用という面で日本の人事領域は遅れています。データを用いて自動で社員への行動促進をするなど、データを取り込み、管理し、分析し、アウトプットを経営に活かすというサイクルを作るのが難しいケースが多いのではないかと感じています。

ただ中長期では変化していく可能性があります。人事の抱えているペインは採用にとどまらず、社員にどうパフォーマンスを上げてもらうか、どう気持ちよく働いてもらうかが重要です。そして従業員の定着・活躍が採用の成功へもつながります。


さいごに

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