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アメジストの魚3-1
要と再会して3日が経って、僕は熱を出した。
生え変わりの影響で熱が出てしまうことがあるらしいと前にサイトで見た気がする。
頭はぐらぐらして喉は焼けるように痛んで食事もろくにできない。鱗に触れると一枚、また一枚と剥がれて床やシーツにパラパラと落ちた。
(古い鱗ごと心につかえているものが一緒に剥がれ落ちてくれたらいいのにな。)
そんな事を思いながら僕はそれを拾ってゴミ箱に放り捨てた。
体調もある程度回復した数日後の午前10時28分。不意に電話が鳴った。
画面には【要】と表示されている。
応答のボタンをスライドしてスマホを耳に当てた。
「もしもし」
「あ、出た。」
「どうしたの?」
「特に用事はないんだけど、体調崩したって聞いたからどうしてるかなぁって思って。」
「この通りもうすっかり元気だよ。
そうだ、丁度暇にしてたんだ。要の都合が良かったら家に映画でも観に来ない?」
「大丈夫なの?」
「平気だよ」
「分かった、ならお邪魔しようかな。」
「家の場所は覚えてる?分からなければ迎えに行くよ」
「大丈夫だよ、覚えてる。」
「ん、分かった。それじゃあ後でね」
そう言って通話を終えた。
部屋はそこまで散らかっていないので適当に時間を潰して彼女が来るのを待った。
30分程経った頃インターホンが鳴る。
玄関の扉を開けるとずぶ濡れで大きなコンビニの袋を引っさげた要が立っていた。