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うまくしゃべれなくなるスマホカバー【ショートショート】

「コロナ禍でなんかギスギスしてたから、ちょっとでも笑いにつなげられたらいいかなと思って。」
開発者の高校生がインタビューに答えていた。

友だちがTwitterでアップしたのがきっかけで大ヒットしたのが、通称「かむスマホカバー」。

会話のスピードを拾うチップがスマホカバーに埋め込まれていて、普段の速度以上でしゃべると微妙な振動を発する仕組みになっている。
その振動が身体に伝わると、しゃべりに揺れが生じる。その結果、しゃべりが上滑りしてしまうのだ。そう、かむ。

イライラして攻撃的な気持ちになった時などは、人は無意識のうちにしゃべるスピードが上がりやすい。電話で会話している途中に飛び出した、ささいなひと言が気に食わなくて、気持ちが高ぶったままつい言わなくていいことまでマシンガンのように相手にぶつけてしまう。
そんな時に、速くなった会話のスピードを察知して、スマホカバーが微妙な振動を発する。そうすると、口から飛び出しかけた暴言も揺れて、かんでしまう。

緊張感が高まった場面で急に飛び出す、ちょっとおかしなセリフ。言ってしまった自分も、聞いてしまった相手も、思わずクスッと笑う。その時に、イライラしていた自分に気づき、ゆっくり話すように心がけることで気持ちも落ち着きを取り戻す。
そんな体験に救われる人が増えた。

「ごめん、ちょっとイライラしてしまってた。そんなに怒ることじゃなかったな。」
「いやいや、オレの方こそ、ムキになってたとこあるから。ごめんな。」

ケンカしてもすぐ仲直りできる。
怒りっぽいパパが、穏やかでやさしくなった。
おちついてしゃべれるから、なんだか自信がついたみたい。

Twitterに、新たな書き込みが並んでいた。

ー 了 ー

「物語の発想法を学ぶ」講座で学んだ、ショートショートの作り方。

受講していた期間にいくつか書きました。
とりあえず「書けた」けど、まだ「書けるようになった」という感覚には至っていません。

きっと何事もそうで、その時だけで終わってたらもったいない、というか、身に付かないはず。
できれば週に一回は、ショートショートを書き続けたいと考えています。

ちなみに、今回の「うまくしゃべれなくなるスマホカバー」は、こうやって生まれました。
もとになった単語は「スマホ」と「黒飴」で、そこからの以下のように発想がつながっていきました。

「黒飴」→「なめる」→「かむ」
「かむ」+「スマホ」→「かむスマホ」
「かむスマホ」→「しゃべれなくなるスマホ」→「しゃべれなくなるスマホカバー」

#物語の発想法を学ぶ

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