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それでよかとよ、ってことかな【これからの家族かたち】

家族の中に、「悩んでもいいんだよ」という認識が、当たり前のこととして存在するようになってほしいな。

改めてそう思ったのは、この記事を読んだから。

男性の育児休業制度が本格導入されることになったのをきっかけに、父親の育休にまつわる記事を見かける機会も増えました。夫婦ともに、そして社会全体で、子育てしやすい環境が整うのはとっても大切です。

でも、その過程の中で、SNSやメディアの弊害が大きくなっているようにも感じます。その意義や充実感、楽しさなど、明るい部分に目が向きすぎている気がして、もやもやしてしまうんです。明るさが強くなればなるほど、影が濃く、格差が大きくなっている、そんな不安感が拭えません。

僕自身、父親としての生き方や働き方などを世間に向けて問いかけていくNPOで活動しているから、自分の中に矛盾やもどかしさも感じています。

ひとつ、とても残念だった思い出があります。
NPOの活動のおかげでテレビや新聞などの取材を受ける機会が何度かあったけど、ある放送でナレーションにショックを受けました。
僕の紹介が、「長男の出産を機に会社を辞めた吉村さん」だったんです。インパクトがあると判断されたからかもしれませんが、事実ではありません。
僕が会社を辞めた時期は長男が小学校に入学した後だし、子育てが理由ではなく自分のやりたいことに挑戦するため。だから、子育てと会社を辞めることを単純に結び付けられるのは、すごく嫌です。
「企業に勤めていたら子どもと関われない」みたいなイメージは間違っていると、声を大にして言いたい。

少なくとも僕は、会社員時代にも子どもと関わっていたし、そんな人たちはたくさんいます。2年ほど前、たまたまバス停でバスを待っている時に、会社員時代の同僚にバッタリ会いました。育休中で、赤ちゃんと一緒に散歩をしていた彼女は、「最近では、育休を取得する男性社員もいるよ」と教えてくれました。僕がいた頃も、働きやすい配慮をしてくれましたが、さらに環境が整っているようです。

僕はどちらかと言うと、個人で仕事をするようになってからの方が、余裕がなくて休日に子どもと遊べていません。今でも、なかなか思うようにいかなくて不安になることはあるし、考えすぎて眠れなくなる日もあります。
もちろんそれは、僕の実力不足だったり、やり方がうまくないとか理由はたくさんあって、単純には語れない。

そう、単純には語れないから、よさそうに見えることばかりで片づけられないんです。

先述の記事には、

国立成育医療研究センターが2020年、国の国民生活基礎調査(16年)を分析したところ、1歳未満の子どもがいる約3500世帯のうち、父親の11・0%が精神的に不調を来す恐れがあると判定された。母親(10・8%)とほぼ同じ水準だ。

※一部補足

と書かれた部分があります。
取材を受けた方は、「パパだって孤立すればうつになる」と語っています。

悩んでしまう状況は、きっとひとつの理由だけが原因ではなく、いくつもの要因が重なっているはずです。
その中には、「こんなことで悩んでいて、なんて自分はだらしないんだろう」という考えも含まれていることが少なくない。これは、カウンセラーとして見たら、悩みを重くするだけのもったいない悩み方。

「不調」や「悩み」をどのレベルで捉えるかにもよるけど、そもそも大変だし悩んでもいいんだ、悩んで当然だという認識が広まったら、もう少し楽になれるのではないでしょうか。

「悩んでもいいんだよ」は、そのもつれて絡み合った糸のたった1本。

だけど、その1本を解くことで、次の糸口が見えてくる可能性が大いにあります。

もう10年近く前、夫婦で【「産後うつ」と向き合う】というテーマの取材を受けました。
その最終記事に掲げられた言葉が、僕はとても大切だと思っています。

一緒に戸惑い 一緒に喜ぶ どちらも当事者

身近な場所に、当事者として語れる場やコミュニティがあるのも大事。だけど、そういう場が苦手な人もいる。僕は苦手。

だから、「悩んでもいいんだよ」と思える生き方を教えてもらいたい。そして、大変で当たり前だと言い合える人が少なくてもいいのでいてほしい。

そう思います。

それは、子育てに限らず、いろんな悩みに対して。

まずは、家族の中でそんな感覚が当たり前になったら、これからもっと生きやすくなるんじゃないかな。

毎週テーマを決めて共同運営を続ける日刊マガジン『書くンジャーズ』。
今週のテーマは、【 これからの家族のかたち 】でした。

もやもやを言葉にして書き出したのは、土曜日担当の吉村伊織(よしむらいおり)でした。

せっかくだから、大切な人の心が軽くなったらうれしいな。

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

メンバーたちが描くこれからの家族のかたち、読み応えバツグンです!こちらのマガジンでチェックしてくださいね。

それではまた、お会いしましょう。

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