2021年に読んで心に残っている本5冊【読書のきろく】

今日が終わると、2021年も残すところあと2日です。
僕は誕生日が11月29日で、もう一ヶ月が経ちました。ちょうど誕生日あたりからバタバタといろんなことが起きていて、なかなか心が落ち着きません。なんだか年末感を感じないまま年の瀬を迎えています。

noteに書き綴っているネタのひとつが、【読書のきろく】。
本を読むのが好きで、投稿内容の割合を見ると一番多くを占めています。だけど、最新の投稿は12月7日。
この時期に新たに取り組みたいことができて、好きな本を読む時間とnoteを更新する時間を、その勉強に充てています。少しずつ手応えを感じられるようになってきたので、この調子でコツコツと積み重ねていきたいです。

でも、せっかくの年末なので、今年読んだ本の振り返りを。

2年前くらいから、ビジネス書や何かの学びの本よりも、小説や児童書を読む割合が増えてきました。今年も、約6割がそれらの物語でした。

直接紹介してもらったり、SNSで紹介されているのが気になって手に取ったり、たまたま図書館や本屋さんで出会ったり、気に入った作家さんの他の作人を探してみたり。
無限と言いたくなるほどたくさん存在する本の中から、何らかのきっかけで読むことになった本は、不思議なほどそのタイミングで読むことが運命づけられていたように感じることも少なくありません。
現実世界で向き合っていることとリンクしていたこともあれば、頭の片隅でうっすらと気になっていたことを目の前に取り出して直面させてくれることもあります。物語の世界に没入して、感動の涙を流すことが必要だったんだと感じさせてもらうこともありました。

そんな今年読んだ本の中から、特に心に残っている本をピックアップしてみます。

【1】かがみの孤城

「人のつながり」の、哀しみと喜びを感じる

作者の辻村深月さんは以前から知っていて、別の本を読んでいた時に長男から「かがみの孤城の人だよね?」と言われたのが購入のきっかけ。買ったまますぐには読まず、積ん読になりかけていたところに、本好きの先輩がつぶやいた「かがみの孤城、激推し!」の投稿が読んだきっかけ。
そんなきっかけ続きも、今年の思い出のひとつです。

今年、文庫本も出版されたので、本屋さんで見かけた人も多いと思います。

鏡の向こうの不思議な世界で出会う、中学生たちの物語。それぞれが抱える事情に胸が苦しくなったり、心が通い合う瞬間にほっとしたり、子どもたちと一緒に体験する時間に、哀しみと喜びを感じます。
登場人物同士のつながりと、物語の点と点がつながる様と、丁寧に紡がれた作品に感動しました。
個人的には、男の子たちが交わす約束が好き。生きる力を与えられることに心が揺さぶられ、物語の伏線に鳥肌が立ちました。

【2】エーミールと三人のふたご

ハッとして、グッとくる、大人向けの子どもの話

ドイツの作家、エーリヒ・ケストナーの作品で、『エーミールと探偵たち』の続編として書かれたもの。ケストナーの作品は、『飛ぶ教室』を最初に読みました。
どれも、子どものことを尊重していることが伝わる作品で、児童書だけど大人が読むべきだと感じます。子育てをしたり、子どもに関わる活動をしている人は、ハッとすることが多いかも。
僕がハッとしたのは、子どもと大人を対等に扱う描き方。たとえば親子は、「大きい○○さん」と「小さい○○さん」と表現されています。大人だから、親だから、子どもよりも偉いという存在ではなく、どちらも人として対等。表現だけに限らず、一人ひとりが人生に精一杯向き合っていることがグングン伝わってくるのです。自分は果たしてそんな接し方ができているのだろうかと、反省させられます。
そうやって、登場する子どもたちと同じ目線でその世界を観ることができるから、感動もダイレクトに伝わってくる。後半、何度も涙がこぼれました。
勇気も届けてくれる作品です。

【3】水を縫う

好きなものは好きと言える気持ち、大切にしたくなる

去年、たまたまネットで見かけた紹介記事が気になって、図書館で予約をしました。その時点でかなりの順番待ちで、1年経って僕のところに回ってきたのが今年の10月。なぜだか、妙にタイトルが心に引っかかって、ふとした時に思い出しては予約の進み具合を確認していました。
待ち焦がれたその時間も加味されたからかもしれません。「ああ、読んでよかった」と心から思いました。
登場するのは、とある男子高校生とその家族、そして友人。章ごとに誰目線で描かれるかアングルが変わっていく構成で、それぞれの想いと、自分から見る他者の姿のギャップが浮き彫りになります。近い存在だからすれ違ってしまうもどかしさと、少しずつ折り重なる愛おしさを味わいながら、自分自身の大切なものにも向き合っていく感じがありました。
「好き」であることに筋が通る瞬間は、電撃が走ったような感覚があり、後半を家で一人でいる時に読めたので遠慮なく泣きました。

【4】鳩の撃退法

不思議な世界がクセになりそう

佐藤正午さんは、僕が今年読んだ小説家の中で、一番多くの作品を楽しませてもらった作家さんです。その作品の中で、今年映画化されたのが、『鳩の撃退法』。
小説の中に小説家が登場し、その小説家が体験している「現実」と彼が書いた「作品」が交錯しながら物語が進むので、読みながら一体今どこにいるのか見失いそうになってしまいます。だけど、混乱することに不快感はなく、振り回されていること自体が楽しくなってきて、その不思議な感覚がなんともクセになる。
しかも、たまたま僕が仕事で最寄りの駅を歩いている時に、目の前に札束が落ちてくるという場面に遭遇し、物語の鍵を握るアイテムのひとつが札束だったりするので、何が何だか分からないのがとっても楽しくなりました。

個人的に、佐藤正午さんの作品ですごく惹かれる部分は、雑談のシーン。普段の僕らの雑談は、話しながら別のことも頭をよぎったりするから、急に話が飛んだり、聞いてないから聞き直したり、何となくで返事をしたりします。その雑多な会話が、見事に文字で表現されているんです。紙の上の文字は重ねて書かれていないけど、頭の中で言葉が重なる様子を味わってみてください。

【5】ゆっくり、いそげ

人のつながりが愛おしくなる

noteの共同運営マガジンの仲間が紹介していた本。
「人を手段化しない経済」と副題にあって、経済的なやり取りの中にいかに人の心の交流を取り込めるか、という姿勢は、共感でき、勉強になり、とにかくすごく心惹かれました。
大量生産大量消費や効率化とは対極にある、ゆっくりと時間をかけて紡いでいくもの。そこには、作る人、受け取る人、つなぐ人など、一人ひとりの生活や想いが込められています。
「仕事」という言葉で括ってしまうと、何となく無機質になってしまうような気がする。だけど、そこには必ず人が存在している。
どんな仕事も、どこかに必ず人がいるということを、思い出させてくれます。
ただ、それを継続させていくには、経済も必要になります。どちらか、ではなく、どうやって最適に交わるかを考えることが欠かせません。

そんな仕事との向き合い方に加えて、地域の人とのつながり方にも示唆を与えてくれたのがこの本。僕たちが生活する地域は、強く意識していなくても誰かの何らかのはたらきによって成り立っています。それは、「地域の人」とひとまとめに考えずに、特定の誰かを意識することで見えてくることもある。
特別な何かをしなくてもいいので、せめて自分が受け取っていることを意識するだけでも、お互いさまの心地よい生活に近づく。そんな暮らし方を見せてくれました。

■さいごに

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

いかがでしょうか?
気になる本はありましたか?

どの本も、自信を持ってオススメできます。年末年始のお供になれば幸いです。

この他にも、今年もおもしろい本にたくさん出合いました。
【読書のきろく】は、こちらのマガジンにまとめています。

4月頃まで、ゆっくりじっくり本を読む時間は少しお預けになりそうです。また本の時間を堪能するためにも、自分で決めたことにしっかり取り組みたいと思います。

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