歴史と経済3〜中国の台頭〜

ある統計がある。
2016年の統計ではGDPは高い順番にアメリカ、中国、日本、ドイツとなっている。
2050年の世界(PwC)によると2030年のGDPの順位は1位中国、2位アメリカ、3位インド、4位日本となる。

そして、2050年には1位中国、2位アメリカ、3位インド、4位インドネシア、5位日本と予測されている。

何てことはない、中国がGDP世界第1位となるのはほぼ確実視されている。
今、アメリカと覇権争いしている中国が世界首位の座に就くのはおそらく止めることはできないだろう。

しかし、当然と言えば当然な気もしてくる。

中国の国土は日本の25倍、人口は11倍。
こんな国を相手に日本はよく2010年まで2位でいられたものだ。
アメリカの国土も中国とそう変わるものではない。
人口は日本の3倍はないにしろ、日本より多い。
ユーロも面積は日本の11.6倍、人口は4倍近い。
こうしてみると、日本の世界経済への健闘ぶりは驚嘆に値するとさえ感じてくる。
そんな日本はプラザ合意であっさりと日米貿易摩擦を回避する方向性を打ち出した。
もちろんこれには、アメリカが日本やドイツに対して為替面において相当割を食っていたという事実がある。
日本も円安ドル高のレートのおかげで躍進できた。
しかし、中国はどうだろう。

米中貿易戦争などと言って、アメリカと正面から構える姿勢をとっている。
株価が最高値38915円を記録した1989年においてさえ、日本が進んでアメリカに対抗して、世界の覇権を握ろうとした印象はないだろう。
この点において、中国と日本は大きく異なると言わねばならない。

それもそのはず、1820年の時点では世界のGDPの比重で最も多くの割合を占めていたのは中国であった。
その前の時代に遡っても、中国と争える国はヨーロッパというよりはむしろ、インドである。
そう、中国やインドは元々世界の覇権を握りうる国家であったということ。
それを踏まえれば、統計による予測はむしろ原点回帰と表現した方がいいのかもしれない。

確かに19世紀後半以降、欧米の台頭に凌駕されてしまってはいる。
しかし、これからの30年間において世界経済の重心がアジアへと移ってくる可能性は高いと言えるだろう。

その時に、日本の立ち位置はどうなるのか、どうするのか?
日本国内は世界一の少子高齢化が進行していっている。
ここを真剣に考えなければいけない。

自分たちの所属するエリアが世界の市場になる。
しかし、肝心の国内は元気いっぱいの状態とは言い難い。

もちろん、アメリカが覇権をおいそれと中国に渡すこともないだろう。
しかし、統計は統計で受け止めといた方がいいかもしれない。
日本がテクノロジーの力で経済力を増し、社会の進展を図るシナリオもないことはない。
あるいは、本当に世間一般で言われているように、凋落の一途を辿り、領域や外交上の主導権も諸外国に掌握されていくことも想定できる。

所詮、統計だと思って鷹を括っていていいことは一つもない。
歴史的に見れば、中国・インドは世界的な帝国なのだ。
インドネシアの台頭も国土、人口を考慮すれば驚くには値しない。

前提条件を変えて、リアルに考えると思考力が研ぎ澄まされる。
そして、経済を歴史的に考えれば、これからの未来においてどのように行動すべきなのかを考えることができる。

国外へと脱出を図る選択肢も国の再起を図る選択肢も取り得る。
今このことを真剣に考えてみる時期としては、決して早くない時期だと思う。

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